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新型コロナ・ウイルスの軽症者で「脳の萎縮」を確認 = イギリス研究チーム / ブレインフォグ・認知機能悪化・思考力低下との関連は?



■ニュースの概要■  2022年3月11日、英国BBCニュースが伝えたところによると、新型コロナ・ウイルスに感染した患者では、軽症であっても、脳の大きさが縮小していたことが分かった。今回の研究は英国・オックスフォード大学ウェルカム統合神経画像センターのグウェネル・ドゥオー教授が主導したもので、その結果は学術誌・ネイチャーに掲載された。この研究チームは、51歳から81歳までの新型コロナ・ウイルスに感染した401人について、感染から平均4カ月半後に核磁気共鳴画像法・MRI検査を実施し、感染しなかった384人の結果と比較した。すると、新型ウイルスに感染した人の脳では、その大きさが0.2~2%の範囲で萎縮していたことが確認された。これは通常の人が経験する脳の老化の、1年から6年分に相当する量だという。また特に、脳内の記憶に関連する部位・海馬傍回(かいばぼうかい)と味覚・嗅覚を分析・判断する部位・眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)の2つの領域で、神経細胞の集まりである灰白質が減少していたことも確認された。新型ウイルスの症状から回復した人たちは、複雑な知能タスクをこなす能力が低下していたことも分かった。ドゥオー教授は、「我々の研究は、軽症で回復した人たちを対象にしたものであったが、僅かとはいえ感染によって脳の萎縮、脳の変化が実際に起き、それが確認されたことはとても意外だった」と説明した。新型コロナ・ウイルスに感染し、その後回復した人たちの後遺症としては、認知機能の悪化、思考力の低下、頭がモヤモヤする「ブレイン・フォグ」、味覚・嗅覚の異常などの症状が知られている。今回の研究は、こうした症状の存在を科学的に立証し、原因を究明し、対策を検討するために、今後の研究に大いに道を開くことになりそうだ。ただし、ロンドン大学・神経学研究所のデイヴィッド・ウェリング教授が「オミクロン株との関連は今後の調査次第だ」と指摘している点にも留意が必要だ。なおBBCニュースによると、英国在住のポーラ・トタロさんは、2020年3月に新型ウイルスに感染した後、嗅覚を失った。「匂いが分からなくなった時は、泡の中か真空の中で生きているようでした。本当に世界から隔絶されているような気がしました」とトタロさんは語る。その後トタロさんは、味覚や嗅覚を失った人たちに支援を行っているある慈善団体の協力を得て、嗅覚の訓練を開始した。訓練の内容は、ものの匂いをひたすら嗅いで、その匂いは何かを必死で考えることで、脳を鍛えていくというものだった。現在、トタロさんは、匂いを感じることが出来るまでに回復したが、まだ匂いの嗅ぎ分けには苦労する段階だという。さて今回の研究成果は、感染により脳の萎縮・脳の変化が起きるということが科学的に立証された画期的なものであった。だが、これらが長期的に持続するものなのか、あるいは徐々に回復していくものなのかは、現時点では明らかになっていない。研究を主導したドゥオー教授は、「まず脳には優れた可塑性、つまり自己治癒の能力があるということを念頭に置く必要がある。時が経てば、感染による様々な後遺症が緩和していく可能性は十分にあるだろう」と説明した。
引用・参考:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-60702748
https://theconversation.com/even-mild-covid-can-cause-brain-shrinkage-and-affect-mental-function-new-study-shows-178530

■ニュースに対するネット市民の反応■  こうした記事の日本語版が大手ニュースサイトに掲載されると、日本のネット市民から以下のような意見が寄せられました。「私は3週間前に感染しました。発熱、喉の痛み、咳、下痢と次々に症状が現れ、治りかかっても急に頭痛が発生したりしました。今は仕事にも復帰していますが、集中力の低下、記憶力の低下、頭のふらつきを感じて、仕事の段取りが思うようにいかず、以前のように仕事ができていません。新型コロナに罹らなければ良かったのにと、本当に後悔しています」「私の職場関係でも、感染経験のある方は明らかにミスが増えているように感じますね」「味覚や嗅覚等に異常が出た理由が、脳への影響だったとすると、これはかなり怖い話ですね。感染しても殆どの人は無症状だから大丈夫、規制はどんどん緩和しようという最近の動きには、不安を感じずにはいられません」「私の20代の知人は、1年半が経過したいまもブレイン・フォグに悩まされています。職場でも感染した人の後遺症で多いのはブレイン・フォグのようです。早期にこの治療法が確立されることを望みます」「新型コロナはただの風邪だと考える人が少なからずいるようですが、脳の萎縮や肺へのダメージがあるとすれば、特に若い人は将来的な影響にも注意を払う必要がありそうですね。新型コロナに感染して自然免疫を獲得することが、本当は良いことなのか悪いことなのか分からないので、とても心配です」「一般的な仕事や生活に支障を来たさないレベルの、僅かな脳の機能低下は、見落とされがちではないでしょうか? ブレイン・フォグ研究の進展の、光明になることを期待します」「ウイルスの感染による影響だけでなく、mRNAワクチンの接種による脳への影響も併せて調査して、比較した研究も必要ではないでしょうか?」「昔から『風邪』とよばれてきた旧型コロナ・ウイルスを原因とする感染症においても、味覚・嗅覚の変調はありましたよね。新型コロナと風邪の違いをもっと調査・報告してほしいです」「2割近くの人が一年以上にわたって、ブレイン・フォグなどの後遺症に悩まされていると聞きますから、普通の病気と同じと考えてはいけないような気がします」「感染者と非感染者を比較したということですが、無症状の感染者に対してはどうなのか、さらに疑問が沸きますね」「陽性が判明した場合、軽症の患者でも、2週間程度、病院か自宅に隔離されていたわけですから、その間に自由に動けず、刺激も少なく過ごすことで、認知機能が低下したり、脳が萎縮することもありそうだと感じます」「重症化していない場合でも、脳に影響が出ていることが示唆されたという点において、この研究は非常に価値の高いものだと思います。こうした成果をもっと、日本のメディアは報道すべきだと思います」

今回のテーマは「新型コロナ軽症者で脳の萎縮を確認=イギリス研究チーム/ブレインフォグ・思考力低下との関連性は?」でした。さて、新型コロナウイルスに感染し回復した後、長期にわたってブレイン・フォグのような症状を経験する人は、寄せられた意見を見ても、とても多いように感じられます。頭のふらつき、めまい、ブレイン・フォグといった症状は、外見だけではとても分かりづらいため、周囲の人から誤解を受けたり、言い訳だと非難されることが多いにありそうですが、今回の成果のように脳の変化が画像で確認されたり、科学的な立証・解明が進むことは、こうした人たちに対する理解を深める上で、大きな助けになりそうです。なお、味覚・嗅覚の異常が、舌・鼻の機能の低下によるものだけではなく、脳の認知機能、判別能力の低下によって起こるということが示唆された点は、大変興味深かったと思います。今後の課題は、認知機能の低下、ブレイン・フォグなどの諸症状、味覚・嗅覚の異常が、治療やトレーニングによって、どこまで効果的に回復できるのか、回復させられるのかといった点が焦点になりそうです。また、現在流行しているオミクロン株、さらに今後に登場するであろう新たな変異株が脳に対して与える影響についても、早急に研究が進むことが望まれます。以上、甘井香織がナビゲートいたしました。みなさんは、どう感じられましたか?
引用・参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/6d65f0e929834a9590f547b9971655ae25e76367/comments

■使用楽曲提供:
「甘茶の音楽工房」様 https://amachamusic.chagasi.com/
「ミュージックノート」様 http://www.music-note.jp/bgm/

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