山口県上関町で、海上に架かる長さ220mのプレストレスト・コンクリート(PC)箱桁橋の桁端部が跳ね上がり、橋台側との間に約20cmの段差が生じた。2020年11月14日午後8時ごろに通行中の自動車が衝突した。桁の浮き上がりを防ぐために桁と橋座をつないでいたアンカーが損傷したとみられる。
 事故があった上関大橋は、瀬戸内海に浮かぶ長島と本土をつなぐ唯一の陸路だ。張り出し工法で架設したPC3径間連続有ヒンジラーメン形式で、1969年に開通した。中央径間は140mで、側径間は両側とも39.99m。桁の中央は、モーメントを伝えないヒンジ構造となっている。幅員は8.8mで、片側1車線道路の両側に歩道がある。2017年の定期点検では、健全度が2番目に良好なII判定だった。

 橋の北側(本土側)の桁端部全体が20cmほど浮き上がって、桁と橋台をつなぐ鋼製の伸縮装置にずれが生じた。

 上関大橋は主径間の中央がヒンジになっているため、重量バランスなどの影響で、桁端部には常に上向きの力が作用する。その力で浮き上がらないように桁と橋座をアンカーでつないでいた。アンカーが何らかの原因で損傷した可能性が高いが、桁内に埋め込まれているので現時点で状況を確認できていない。
 県などが事故後に実施した調査で、桁中央のヒンジ部分に1cmほどの沈下が見つかった。北側の橋脚を中心に、桁が回転するように動いたとみられる。