【プラスチックの海】海に棲む生き物たちのラブレター💌(脅かされる生き物たち)
⭕️あめつちの便り「土の音」🌺
【海から森へのラブレター①】
「豆腐を切って焼いたように、白い真帆(四角い帆)に風をはらんだ帆かけ舟がたくさん浮かんで、それは見事な光景やった」
能登・中島町の海岸沿いで米寿を迎えた老翁は、大正時代の中頃までの往時を振り返った。
若い頃から木こりの山仕事で鍛え、畑を耕し魚を追った。闊達なな語り口だ。
人類の歴史のつい今しがたまで帆船は海上交通の主流であった。帆で走る原理は鳥が翼に風を受けてできる揚力によって滑空する帆翔(はんしょう)飛行と同様。
小さな渡り鳥が大洋を自在に往来できるのも、風を見、波に聞き、星の光を感知し、大自然のクリーン・パワーを巧みに感受しているゆえんだ。
「当時の海はとてもきれいで、魚は湾の奥まで湧く程に回遊してきた」と老翁は自慢げだ。
燃料を乱費して遠洋に魚や鯨を追う必要はなく、生物の多様性に富む自然海岸に寄りつく魚や海藻などで沿岸漁業は成り立ち食生活にムダはなかった。
今の和倉温泉に隣接する港で「ステキ!」と感嘆するのは決まって巨大都市からの旅行客。足元には透明度が2〜3メートルの汚水がよどむ。
本年二月下旬、川県美川町の海岸でゴミに埋まるようにカマイルカが漂着していた。死因は解明中。 3年前に内灘海岸に漂着したハナゴンドウ鯨の胃には7リットルものビニールがつまっていた。
この前年、風通過後の金沢市金石海岸に11トンダンプ7台分の空き缶ゴミなどが打ち揚がり、市内の河川から流れ出たポイ捨てゴミだと考えられた。
近年、海岸でとりわけ目立つのはプラスチック系ゴミ。海鳥が飲み込み腸閉塞から餓死に至ることのある “レジンペレット” (プラスチック製品を作る小粒)が無数に散在する。外国製品のゴミも急増している。
海流ビンによる調査からは、金沢など都市の河川から流れ出るゴミの一部が吹送流などで七尾湾に入り込んでいると考えられ、過疎化に反してゴミが増えている理由が推察できる。
これら難分解性の廃棄物は底生生物に被害を与え、それを餌とする漁類などに悪影響を及ぼす。湾内の漁獲高は20年間で半減、カキ貝やナマコも不漁で奇形魚も増えている。
七尾市の市民グループの調査では湾岸に残された自然海岸は17.5%。工事困難ながけ地を除くと3.5%で、水質浄化に有用なヨシ群落の水辺はわずかである。
魚が豊かな森林のある所に寄りつくことはかつて経験的に知られ、江戸時代にはこの森を「魚付林(うおつきりん)」などと呼んだ。
明治期の乱伐で魚獲量が減り、北海道庁が「禁伐林」を設け日本が「森林法」を定めて一時乱伐が防止された。 しかし近代機械船による遠洋漁業が主流になるにつれ忘れられていった。
幸い私は森と海の強い絆を身をもって世に示す人に会えた。気仙沼でカキ貝を養殖しながら森を育てる運動を展開している畠山重篤さんだ。
その姿にかの老翁が重なって見えた。
(日曜エッセー「道標」北陸中日新聞1994.5.15)
☆【海と森・いのちの物語】ほうき星号で自然学修
:https://youtu.be/96_SpEJ3IAc
☆ 【プラスチックの海】海に棲む 生き物たちの ラブレター💌(脅かされる生き物たち)
:https://youtu.be/VjdsXT9QafE
