おらおらでひとりいぐも

原作/若竹 千佐子 (わかたけ ちさこ)
監督・脚本/沖田 修一(おきた しゅういち)
 南極料理人(09)、キツツキと雨(12)、モヒカン故郷に帰る(16)

現代の桃子/田中裕子
昭和の桃子/蒼井優
周造/東出昌大
寂しさ1/濱田岳
寂しさ2/青木 崇高(あおき むねたか)
寂しさ3/宮藤官九郎

おらおらでひとりいぐも
原作/若竹 千佐子
監督・脚本/沖田 修一
田中裕子、蒼井優
濱田岳、青木崇高、
宮藤官九郎、東出昌大 ほか

世代によって意見が真っ二つになると思われる作品
ただし、年令を重ねている人が見れば観るほど深みがあり
人生そのものについて考えさせられる1本

今でお茶を飲みながら、ボーっとしている女性
これが主人公の日高桃子(田中裕子)さん

夫に先立たれてしまってからというもの、人生に張り合いがなく、
ただ毎日なんとなく生きている。

していることといえば、
朝起きて目玉焼きを作って、
テレビを見ながらトーストと一緒に食べて
たくさんの薬を飲んで
腰に湿布を貼って
定期的に病院に行って、たくさんの薬をもらって
図書館で46億年の歴史を勉強して、イラストを自分で書く
帰ってきたら、ちょっと手抜きの晩御飯を食べる

そんな桃子さんの目の前に、3人の男が見えるようになる
その3人は口々に
「おらだば、おめだ」
と口にする

桃子は理解していた、目の前に現れた3人は自分が脳内で作り上げた空想なんだと…でも会話をする。会話をするときは生まれ故郷の岩手の、東北の方言で…。

日常では標準語でも、3人との会話ではつねに東北弁だった。

繰り返しの日常の中にもちょっとした変化はあった。
 古くなった車の買い替えのための営業マン
 疎遠になった息子の同級生の警察官
 図書館の受付をしてるひとは 、大正琴や太極拳を誘ってくれる
でも、全ては ひとときの会話でしかなかったし、何かを始めることはなかった

そんな繰り返しの毎日になったのは、周造が亡くなってから

3人との会話をどこか ボケ・認知症だと思ったものの、病院では「様子を見ましょう」で片付けられる。そんな不満を解消しぶつけるのも、空想の3人との会話から生まれる、カラオケだったり……するのだが……

 
そんな中3人との会話の中で、
上京してきた理由、
結婚する周造との馴れ初めにいたるまでを思い出す(3人に語る)桃子さん
 
家に決められた結婚から逃げるように上京した桃子さん
住込みで働き場所を探し、必死に東北出身を隠そうとする
都会の生活になれてきたころ、東北弁を語る男性、周造に出会い、恋をする

彼のために家庭に入り、子を育てたものの、
本当は自由になりたかったのではないのか?と自問自答することも
そういった自問自答を繰り返していくなかで、
今の寂しさはなんなのか?なぜ寂しいのか?を探し続ける桃子さん。

自分の子育てが間違っていたのか?

そういった自分自身を見つめ直している中、彼女は日常の中で、自分のための生き方を模索していくのだった。

コメディでありながらも、
オレオレ詐欺に騙された過去
お金の無心となるのを判っていながらも孫の可愛さ故に家に来ることを良しとする部分
など非常にシュールで現実的な一面も多数あり

最後直前のお墓参りのために、歩いていくシーンがもっとも心象的かもしれない
そこでみせる、蒼井優とのワンショットの映像
若き周造(東出昌大)のシーン
は一番良かったところかもしれない