まさに天才子役と言えるのが芦田愛菜ちゃんです。

ドラマ『Mother』は、児童虐待という暗い社会現実を背景に、人間が倫理と良心の狭間で下す選択を描いた、重厚かつ衝撃的な作品です。主人公・鈴原奈緒は、児童たちに囲まれながらも、内心では孤独を抱えた小学教師です。彼女がクラスの児童・道木怜南の異変に気づいた時、そこには家庭内で続く耐えがたい暴力とネグレクトが隠されていました。
しかし、周囲は制度の壁や無関心から動かず、怜南は救われることなく傷つき続けます。その状況を前に、奈緒は「誘拐」という、社会からは非難される道を選びます。ふたりは逃亡生活に入り、常に追い詰められる不安の中で、次第に心を通わせ合うようになります。
本作は、「正しいこと」と「優しいこと」が一致しない現実を突きつけます。制度が救えない命を、一人の人間の良心が救おうとする姿は、強い倫理的な問いを投げかけます。また、捨てられた側である奈緒が、今度は捨てられかけている少女を守る側に回ることで、自らの過去とも向き合っていく過程も丁寧に描かれています。
単なる涙の物語ではなく、社会の闇と人間の温かさが同時に描かれた『Mother』は、日本の社会派ドラマの傑作として、今もなお多くの人々に深い考えさせる力を持ち続けています。