音本ライブ【朗読】山本周五郎朗アワー「奇縁無双」 朗読七味春五郎 版元丸竹書房
山本清五郎 作紀 無双 1クス兵は不合そうな男である飯田ハ堀大 の神不の家臣で300国の近板を務め父は すでになく母に妹の二瀬とジョーカ荒まに 住んでいる そこには呪者打春台の成果の後があって 春台が幼児手塚植えたという末が残ってい た異は少年の頃から豪気不屈の学者春台の 自責を聞きまた長石この打の末を親しく見 ながら育ったので一本で偏屈なところは いくらかその影響があったのかもしれない 尺に余る身のたでいつも髭の剃り跡のああ とした顎を持っている大切なことには口数 を惜しばないが帳簿精油の挨拶や世間話 などにはあえて応酬しようとし ないそれでも別に反感を持たれることも なく晴がクロスのいいところさという風に 見られているのはそれだけ備わった人徳が あるからで あろう安2年6月初めのことだっ た雨上がりの松川で半日魚釣りに教示た兵 がうへ帰ろうとして町外れの道に 差しかかった 時後ろから馬を煽ってきたものが凄まじい 勢いで異を追い抜い たぬかるみの道でよける暇もなくに泥を 浴びた異は下ろ待てと絶叫したゲロという 声が耳に入ったか相手がタを絞りながら 止まるのイが追いついてみると若い娘だっ た通日のつっそでに馬乗りバカまで黒髪を 背に垂れ額つきの修礼な売れた山武の身の ようにつやつやと黒く美しい瞳を持った 18区の乙女で ある降りろお前は馬をやる方を知らないの かイはビクと竿を持ち替え ながら武を追い越す時には釈をすべきだぞ ことにこのようなぬかるみをかけるには 注意しなければなら ぬこんなに泥を浴びせながら詫びもせずに 行くとということがあるかこのようなこと 措置などから教えを受けようか乙女の 美しい瞳が起こっ たどしなら多少は武道の心もあの人に上場 の作法を教えるより自分で羽を避ける工夫 をするが良い美は白のまんじ過言であろう ぞたれげろ は叫びながら手を伸ばしたあっという間も なく馬上の乙女は暗から引き下ろすれ 花びらのような方にはしと高く異の平手が 鳴っていた思わず腕を上げて避けようと するところをぐいと引き寄せてもう1つ 強くはないが音は暖かかっ たこの知者がイはめけながら 人に泥を浴びせて詫びもせぬばかりか姫神 の名を盗み申すとは許しがきやつ だお前は下せ物で知るまいがゴミ分のある 小方がともも釣れずこのような場外をお 1人で歩かれると思うかまして一刻一条の 姫組となれば礼儀作法もよくご存知だお前 のような無法なことを遊ばすはずは ないブ打ちにすべきだが今度だけは見逃し てやる再びこのようなことをすると 切り捨てる ぞ生をつく暇も与えずそれだけ言うと異は 乙女を押しやっ て拙者はクルス兵というものだ覚えて おけそうい捨てて立ち去っ た直道を左へ折れてしまったのでそれから 乙女がどうしたか知らなかったが異の唇に はかかな笑いが刻まれていたあれが ジャジャ馬殿かそう思ったので ある飯田上州堀大和の神永の女に姫という のがあるこの飯田で生まれた即の娘で男 まりの気象と飛び抜けて美しい気量を持っ ている近には4な七所の子があったがこの 舞姫に対する愛情は格別でそばを話すのが 惜しさに家臣へ嫁入らせようと考えている ほどで あるこうした父の愛情は男まりの姫を さらにわがままなものにさせ たナナと小には優れた腕があるし上場はこ に抜群だったそれで遠乗りなどに出ると友 を後ろに追い捨てては勝手なところを 駆け回ってハラハラさせるある時などは 御坂峠を超えて美野の国境までも行き深夜 になって見つけられたことさえもあった 使用のないじじ馬殿のという陰口が広まっ たのはその頃からのことで あるイはまだ万姫を知らなかっ た奥と表との差別は厳重であるがこの狭い 上下にいてこれだけ暴れ回る美しい人を 知らぬものはある まいしかも板を務めながらにこれまで知ら なかったのだからいかにも異の気質をよく 表して いるけれど馬上の乙女が 自ら白のまんじと名乗った時無論すぐに そうと感づいたのであるかづきながら あえて姫の方を打ったの だ勝ちの姫はどうするであろうか 異の覚悟のできていること は 2その翌日の 夜黒の晩餐には吉澤育郎が客としてつった 育郎は槍行の子で異とは幼少の頃からの友 でありまだ正式に話はないが妹の二瀬とは いつか結婚するものに決まっているような 間柄であっ た今日は面白いことがありましたよ育郎は 食後の茶をすすりながらその絵元三郎知っ ていますねあいつがとうとジャジャ馬殿に 捕まって下やられたそうです横浜に大きな コブを出して来ていましたよ まあそ様もですの二瀬は呆れたように目を 見張っ たでもそ様は体操堅実がご自慢だと伺って いましたのに何自慢するほどの腕ではあり ません河野でさえ叶わなかったのですから そがやられるのは当然ですなんの話だそれ は珍しくイが口を挟んだ普段なら耳にも 止めるところだったろうがじじウどのと 聞いて今日そられたらしい育郎の方はまた 改めてなんだと聞かれたのに驚いたそれが 姫神に打ち据えるた話さどこで親方の庭で だ姫神の親方へ召されるものもあるしまた 外でいきなり相手を申しつかりこともある みんな隠しているがだんだん分かってきた の さわけのわからぬ話ではないかイは目を あげて全体その親方へ召されるとか相手を 申しつかりというのは何のことだ驚いたの 気候は何も知らないのが知らないから聞い ているもう半月も前からの評判だ ぞ育郎もしかし詳しいことは知らなかった なんでも半月ほど前から城中の若侍たちが 次々と万姫の館に呼ばれあるいはまた野外 へ連れ出された上長キチの相手をめられ 散々な負け方をしているのだというので あるそれも姫の独断でやっているのでは なくて主君近長校も承知の上らしいという ことだっ た固くを禁じられているそうで誰と誰が 本当にやられたのかわからないが下田一野 金や橋本敬之助それにソとこの4人がやら れたのは確かだ正しはもが揃っているな異 は苦しげに言ったその橋本はしようがない が高野とだもう少し心のあるやだと思った も言えないだろうが育郎は取りなすように 何しろ主君の姫でいずれにしても婦人の ことだからないかに武術の試合とはいえ 思い切って打ち込むこともできないだろう しそれなら初めから相手になるのが良い そうできればいいができるさできないのは 水晶の心があるからだ俺ならと言いかけて イはふと自分の右の手のひらを見た昨日 花びらのような頬の上に心よい音を立てた 平手打ちの感触が手のひらの皮膚に まざまざしく蘇ってきたので ある聞こならどっちにしてもとイは目を 背けながら言った拙者なら追しもにはなら ん育郎は二瀬と目を見かわした2人の目は 同じように微傷してい た本当にイならどうするだろうというよう にイはそのまま座談の中間から離れて しまった育郎から聞いた話はなかなか頭を 去らなかっ た主君大和の神が万姫を出来合いしている ことは知らぬものはない 一生そばを離したくないために江戸屋敷へ も移さず国元に置くほどだから大抵の わがままは笑って許されてきたしかし乙女 の身で少しばかり武芸の心得があるからと 言って家中の武士に立ち合わせたり慰み 半分の相手をさせたりするというのはどの 過ぎたこと だそれを許す主君の気持ちが果たしてただ 出来合いの結果であるかそれとも何か他に 理由があるのか異はもう一度自分の右の 手のひらを見合っ た 3激しい雷雨があってつは心よく上がった 何事もなく立った直道のことがあって以来 異は今にも何か沙汰があるかと途上する たびに待っていたがある日のことを召され て午前へ思考すると大和の神のそばに万姫 がいたさてはいよいよ来たかそう思ったが そしらぬ顔で平服し たこれがクス兵だ 近長は姫の方へ行った何か訪ねたいことが あるなら声をかけてやるがよいイ万姫じゃ はイは平服したきりだっ た姫は住んだ瞳でじっと異を見下ろしてい たがやがって冷やかな声 で来る水兵とはそなたか と言ったよろします表を上げ ほほ表を 上げイよ静かに顔をあげたその真正面へ 行かれる瞳が矢のように刺さっ たそなたの顔はどこかで一度見たように 思われるがそなたは万に見覚えはありませ んか恐れな 異は平然とし て式日の檻など松さより配しましたのみ にて近に嫁通りつまりまするは今日が 初めておはおそれいり建まり まするではよく間の顔見て 大き姫の声はかかに震えを帯びてい たこれから後 両ないずれで会う屋もしれませんその時 見忘れのないよまの顔をよく見て覚えて おきれいり祭り まするよく見ましたか ほもう見忘れはしますまいねキュっと引き だ唇怒りの光を帯びて一層美しく輝くと 蒸気してぽっ赤みのさした匂うような 方異はぬ目で下と見上げながら思わ ずお美しいのと胸の中でつぶやい た午前を下がってからまず思ったのはこれ は考えていたより面倒なことになるぞと いうことだっ た姫はの出来事を近長に告げていないらし 告げれば自分が叱られると思ったのかいや そうではあるまいおそらくは父の力を借り ずに自分の手で復讐をするつもりなので あろうその前提として顔を見知らせ今度は 万姫という存在でのっぴきさせず抑える 考えに違いない 美しさのどこにあんな激しい気象があるの かと思いまた同時に油断はならんぞと異は 珍しく緊張し た人の心ほど微妙なものはない日頃の異は 腹痛そのものの武かぎで合法にまで出所 身体を割り切っていたのが今度はどうやら それが危ななてきたらしい自分が正しいと 信ずる限りどんなに困難な状態が起ころう とびくともしなかった心構えが妙に 落ち着きのない不安を感じらしたので あるなぜ だろう相手が主君の姫だから か復讐が怖くなったのかどうもそんな単純 なものではないようだ本当のわは別の ところにやる らしいただ生まれて初めて経験する感情な ので自分では全く気づかないので あるではその原因は 何か異が緊張し始めたにも関わらずそれ からさらに数日が経って梅雨明けの日々は 次第に暑さを加えてきた イはおぎが好きで夏になると天竜側へ 出かけていくのが毎年の霊である城下町 から南へ1ほど下がるとほとんど人の来 ない藤ヶという場があった着物を脱ぐ場所 から少し下がると両岸の段階が高く祈願 生立して愛迫り壁玉のように住んだ水がふ をなして流れも緩く猿の声でも聞く他は 全く人形の外にある有すなところ だイはもう数年この方そこをほとんど自分 1人の泳ぎのようにしてい たその日も朝から暑かっ た藤口へやってきた異は衣服大将をたねて 岩影へを置き静かに流れの中へ身を浸した とそのまま背に乗って淵の方までぎくっ た大きな岩角を曲がって淵へ出た途端の ことだっ たかつて自分より他に人の来たことがない ふの水面に45人のものが泳いでいるのと ばったり顔を見合わせ たおやと思って目をあげた途端イは我知ら ずあっと叫びそうになっ た泳いでいるのは女であっ た 4壁Young食の水について白い滑らか な肩が固く匂やかに膨らんだ胸がすんなり と伸びた腕がまるで怪しい魚のように奉仕 な姿で踊っている 異が危く叫びそうになったと同じ 時乙女たちもそれと気づいては晴れ人がと 強制をあげたしかもその乙女たちの中から きっとこっちへ振り返った1人の目はイの 全身をしびれるように差し貫いたあまりに 意外な人万姫イはそう感ずるより早く身を ひがして水中に潜っ た水に潜りながら異は事情を知っ た図られたので ある万姫はここがイの泳ぎであることを 知り密かに次女たちと先に来ていたのだ そして画業の乙女たちの中へ異を取り込め ようとしたの だ思い切った仕方である 同時に辛辣極まる方法だもし取って抑え られたとしたら姫の泳ぎを裸で犯したこと に なる兵は息の続く限り潜っ たしかしその淵を30件も下ると川は滝の ようなはせになる流れは乱立する岩を噛ん で引き裂けしを上げながら矢のに本する うっかりそこへ巻き込まれたら命は ない異は辛くもその寸前で川中の巨岩に身 を支え た振り返ったがさすがに乙女たちの姿は 見えなかったようやくほっと息をついたが これからどうしたら良いか旗と遠したこの 給を泳いで登ることは不可能である騎士を 伝っていくとしてもふには姫たちが 待ち構えているだろうでは帰るまで待つ かいかに思わず異は呟いた着物があること によると姫はあれを持っていくかもしれ ないそうすると裸で帰らなくてはならぬ いいなそれだけじゃないぞさっきはそれと 認められぬうちに水へ潜ったから泳ぎを 犯した証拠を危なく残さずに住んだがあの 衣服大将を取られたらおしまいだイは即座 に騎士へ泳ぎてい た平部のように衝立した切岸であるしかし こっちは懸命だった岩の下めや藤などを 手がかりにして登り始め た高さは80尺を越していたであろう風 もしている岩はもろくてかけた手や足の力 で何度も駆け落ちたその度にイの体は ぐらりと落ちかかりもうだめかと肝を 冷やし た幾度も休み何回も息をついてしかし ついにギリの上へ登ることができ た上は道であるイは裸のまま走り出し た真昼の日は眩しく照りつけている他の 草取りに行くらしい3人ずれの農婦が 通りかかったがびっくりして押し合い へし合い阿道へ逃げ込ん だそして天狗でも見つけたように行天下目 をむき出しながら走り去る異の姿を見送っ てい たさらに2組の納にあっ その次にあったのは目方の若侍であった これも驚いたらしい傘をあげながらク数字 ではございませんかと呆れて声をかけた この日その姿はどうなすたのです丹念だ体 の鍛錬だイは走りながら答えたこれが クロス竜の体の鍛え方だ人間の体はこうし て鍛えるのだしかし秘宝だから必ず他言は 無様だ ぞ若侍はあけに取られて見をっ たようやく元の場所へ駆けつけてみると 衣服大将は岩影にそのままあったしかし それは本の危ない切だったので ある流れるような全身の汗を吹く糸間も なく異が大急ぎで着を墓をつけ大将を腰に 差し込んでいる時岩を越して姫と女の一向 が現れ た藤が淵で待つうちイの戻ってくるのが 遅いので姫の方でもそれと気づき急いで ここへ駆けつけたのであろう異を見つけた 途端姫はしまったという表情を見せたああ これは 姫君イさも意外なという様子で両手を膝に 当てながら神戸を垂れたクス異ですねほ異 にございますそう言って静かに表を あげこの初中かな場所へお運びは水ぎなど 遊ばしまするのか平目も以前はよくここへ 遊びに参りましたが深い縁で危のござり ますゆえこの説は足踏みもいたしません ひ組にももしお水浴びなどを遊ばします ならよくよくご注意の ほど へこれを とらす姫は次女の手から白布を取って異の 手に投げ与えながら行っ た神から体まで汗が流れていますそれで 吹いてお帰り ほ裸でかけた姿はさぞ立派だったろうね 次女たちがぷっと吹き出し た 5有江様吉澤様が見えました俺にようなの かはいお2人きりで 何か朝食の後判なので今に引きこもって ずっと初見をしていた異はそう言われて机 の前から向き直ったじゃあここへ 通せ縁先のすだれを下ろして妹が去ると 吉沢育郎が入ってきた異の癖で相手が座る より早くなんだ何か給養でもあるの か順番が回ってきたよ郎の美装はわってい た番霊の姫のお相手だまさかと思ってい たらとうとこの俺に当たってしまったどう いうのだ今日八班に証言払え恋いとある 証言払えか多分をはかるので親方へ召さ れる他はいつも一目に遠い場所が選ばれる のだそれできこどうする郎は再び硬い美笑 を見せながら 少なくとも気候の言う追者にはなら ぬしかしお相手はするよ存分にお相手を するそして拙者で霧をつつけるつもりだ 無論と言って育郎は腹へ横に手を引いた 覚悟はして いるそこで頼みだ郎は膝をたらし て拙者は以前から二戸の妻に申し受けたい と思っていた今でもその心に変わりはない しかしこんなことになってみるとそれが 果たせるかどうか分からなくなった順序を 外したことで叱られるかもしれないが せめてものやりにここで別解を組ませて もらいたいと 思うその言葉は俺も待っていた異は食い声 で言ったおそらく二瀬も待っていただろう 母も無論のこと だいとも内周源の意味も込めて小坂を やろう承知してくれるかかじけないだはお 2人には固くない緒だぞイは機上の鈴を 振っ たちょうどもう昼に近かったすぐに客間へ 支度ができて四角に妹と母を交えた小坂森 が始まっ た育郎はあまり酒を足しなまなかった しかし小原原のことがあるために酒もろ 飲めなかったと言われるのは辱だから異の 進めるままにいつかふざけをしてしまった もういかんこれでしまおう何まだいいこの 1本を開けよういやそれでは立てなくなる ならばいいさイは暗示するように一眠りし て真も体もすっきりと酔いから覚めたら 出かけるんだ時は十分あるそうか時は十分 あるか育郎は高く笑って逆月を出し たそれからまもなく育郎はついにそこへ 酔い倒れてしまった事情を知らない母とと は異のい方をハラハラしながら見ていたが 育郎が倒れてしまうと呆れてまあお前 こんなにわせ申してどうすんのです普段 からあまり召し上がらないのを知ってお いでのくせにハ様は今日は少し変ですわ何 えんだ内緒にしておけと頼まれたから言わ なかったがな実はイは声をを潜め育郎め 今日はふせに申し込みをしに来たんだま その祝いだよ まあ二瀬はさっと頬を染め [笑い] た異は珍しく笑ってだから酔いつれるまで 飲んだのさふせお前解放してやれそして目 が覚めたらこ言んだ証言バは異が引き受け た だからその後を頼むとそれは何のことです の言えば分かる母ちょっと出てまいります そう言ってイは立ち上がっ たうふの日から幾日イはこういう機械の 来るのを待っていたのだあの日の思い切っ た仕方から考えると姫のわがままはどんな ところまで行くかわからない 鉄は暑いうちに 打て災いの根は花坂ぬうちに立つべき だイは馬を引き出してただ1人家を出 た 6舞姫は5人の女と共に浄化を鍛え馬を 勝っていたすると時また号にかかる少し 手前のところで卒然と後ろからバテの音が 近づいてきて一気の武士が次女たちの馬の 間を駆け抜けると戦闘を走っていた姫に 迫ってその尻へはしと鞭をくれ たあっという間もなかった不に鞭を食った 姫の上場はいきなり矢のような勢いで走り 出す たし何よと姫が驚いてタを絞ろうとする ところへまたも追い迫りながら一向さらに 一向言うまでもなく異だ姫の馬は本した 次女たちの強制は立ちまち後ろへ引き離さ れたイは少しの隙もなく追いせまっては うちおいってはうちに地の方へ追い立てて いく姫はどうかしてその鞭から逃れようと したが石をかけた異には適することができ ず姉妹には暗から振り落とされまいとする 努力で精一杯になっ た2刀の馬はももたる土煙の中を狂った ようにシクし続け たどこをどう走ったかどのくらいの時間 そうしていたのか姫は半ば夢中だった続け 様の早駆けではあるしいつか道は険しく なっていたしもみに揉まれた体はクタクタ に疲れて乾きつきそうな喉ととに激しい めまいさえ感じ始め たりなさいそう言われて気がつくと馬は急 の道の下に止ま 姫は振り返って初めて異を見たお前は クルスおり なさいイは叱りつけるように叫んだ姫の唇 がキュっと歪んだそして疲れきった体の中 からあたの怒りを引き出そうと試みる らしいしかしもうその力はなかった た歩くのです さあ歩けないのですか姫は黙って歩き出し たイは二刀の馬を引きながらその後ろから 大股についていっ た道は尖った岩のゴツゴツした坂である 左右はびっしりと枝を交えたひのきの森で まだ昼だというのにふの声がしていた 足がフラフラする体は濡れた布切れのよう に力がないそれを見られまいとして姫は歯 を食いしりながら登っ た2人とも無言だっ た道は無限のように続いているいつか森を 抜けてまらな雑木林の斜面へ出たその時 初めてもうに近いことがわかっ たこんな時刻なの だ姫は思わず振り返ったしかしイは怒った 顔のまますげなく背いてしまっ たこうしてさらに一時は登ったであろうか 黄昏れがすっかり辺りを閉ざして足元の 見分けもつかなくなった頃2人は切り立っ た絶壁の上へ出 た異は馬を木へついでこっちへ来るのです と姫を絶壁の橋の方へ押しやった姫は ぶるっと身を振るわせながら叫んだお前万 をとするつもりなの怖いのですかイは 冷やかに言った私がこっから突き落とすと でも思っていんのでです かそんなことはしませんからご安心なさっ てよろしいさあここを降りるのです嫌です もうたくさんです言う通りになさい出ない とイは姫の手を掴んだその強い力は姫の 体中へ火のようなものを伝えた姫は目を 伏せて異のする通りに絶壁の叫を降り た直立60畳に余る段階の上に自然の洞窟 があっ たそこは昔隣国の侵略に備えるための翔平 を置いた場所で昼なら稲を一望の元に見 せるところで ある伊平は姫と共に裂目を伝ってその洞窟 の中へ入っ たお座りなさい 立っていてもしよがありませんからマンは 城へ帰りますお座りなさい出ないと出ない とどうするのイは右手を見せ たいつかの道のことを忘れましたか異の 平手は遠慮しません よ姫は身を離して座っ たイはそれっきり黙ってしまったそのまま 時が立っていっ たあたりはうしのような闇になったよは ふけて行く らしいほんの時たまそれもごく遠い谷の方 から妙な獣の吠え声が聞こえて くる狼だ なイが独り言のようにくくく呟い たそういえばもう狼が幸自分だ植切って いる ぞ 7そんなそんな脅しには乗らないから姫は 背いたまま言った異は答えなかったそして 再び耳の塞がるような沈黙が襲いかかっ たしばらくすると狼の声が急に近くなって 聞こえた見越ほど吠えて消えたが姫の体は 自分でも気づかぬ力でじりっとイの方へ 寄ったするとイは急に立ち上がって洞窟の 口へ出ていっ たどうするの だろう姫はその方へ目をやった闇の中の ことでわからないがイは裂目をよじって 行くらしいしばらくバラバラと岩の 崩れ落ちる音がしていたがやがてそれも 病みイの立ち去っていく足音が聞こえ た減ってしまうの かしら姫は思わず身を起こしたイの足音が 全く聞こえなくなった時長く引き延ばした 狼の不気味な法制が 闇を伝わってき たそれは谷をこだましてまるで勇気の泣く ような虚しい反響を呼び起こし た姫は恐怖が身を引き裂くかと思っ たここがどこかも知らない一歩外は先人の 絶壁だ幸運で動乱になっている狼目の先も 見えぬ闇はそのまま恐ろしい壁のように のしかかって くる 怖い姫は突き飛ばされたようにいきなり 立ち上がりながら叫んだ来ておくれイ来て 怖い洞窟の壁に反響する自分の声がさらに 恐怖と絶望の混乱に叩き込んだへまが 悪かったから許してイ来て来ておくれ 怖い何か返事がしたザザと岩の崩れる音が してイが飛び込んできたその体へ姫は夢中 で飛びつき抱きすがった見えもはじいも なかった主人とケだということも男と女だ ということさえも忘れて異のたましい体へ しく身をすり寄せながら怖いかにしてどこ へも行かないでと泣きながら叫ん だ大丈夫です姫何も怖いことはありません 落ち着いてくださいひやひやマを置いて 行かないでここにいてここに一緒にいて おおその必要はないのです落ち着いて ください上お迎えのものが参っております からイはそう言って姫を押しはし た姫は泣きじゃくりをしながらいぶかる ようにイの方を見たイは静かな調子で行っ たここへ来る途中ずっと道しべを作って おいたのです考えていたよりは少し生き方 が早かったちょうどけれども私の望んでい たことは果たされましたどうかお城へお 帰り くださいお別れする前に一言を申し上げ ます姫君は今悪かったと押せられました どうぞそれを忘れずにこれからは家中の ものを慰み者に遊ばさぬよう武士は主君の 小場然に死ぬべきものですイの臭み道具で はございませ んお分かりくださいました かわかりまし た姫はむせびながら言ったでもイは知ら ないのですまんは誰をも慰み道具にはし ませんわ父上様が向こにと選んでくだすっ たものを自分で試してみただけなん ですでもそれが女の身に二なみだと言い ならみますもうとはしませんイは愕然と 神戸を垂れ たむこみであったの か近長校が向こにと選んだものを姫は自ら 果たして自分の一生を託すにたる人物か どうか試みたのだというだから多言を禁じ たのだその法が並外れていたことは事実だ が決して慰み相手にしたのではなかったの で あるいえそこか酒の上から育郎の声がした 異は無言で姫をその方へ導いていっ たふきなやつごご道断なやつだ地は土星を あげて叫んだ 日頃の蝶にまじ気いの分際を持って姫を 誘い山中の洞窟へ押し込めにするなどとは 無動極まる出てまったら歯平めどうする か父様違います真姫は激しく頭を振って それは違いますの何が違うあつは見下げ 果てたいえいえ マンの言うことお聞きくださいましイの おかげでマンは色々なことを知りました 悪かったのはまんですなんだとわかばかり 武芸の真似事ができるのを鼻にかけてこれ まで家中のものに迷惑をかけたのは愚かで ございまし たマンは夕べで本当の自分が分かったので ござい ますはん ぞ父様くせえ嫁にやってください ましいいも終わらす姫は両袖に表を埋め ながら俯いてしまっ た109年の今日まで姫の体にこんな娘 らしい表情の現れたのは初めてで あるつい昨日まで 川これが男子であったらと幾度口おしく 思ったことであろうそれほど姫は男まりで あった髪飾りも化粧もその激しい気象を 和らげることはできなかったそれが今耳 まで染めながら表を袖に包んで教習に身 消えぬかの姿を見せて いる近は飛うめいた そうかそして急に振り返って誰ぞあるか すぐに言まで異を呼びに参れ急ぐぞは あつめ早まって腹などきもしれぬ世の前へ 来るまでちのなき よ厳しく警護して参るのだ急ぐぞ事のもが 走っていくをきした永は姫の肩へ手をかけ てまん修はいつが望み じゃ私こう思いますの姫は袖の中から言っ たイは多分承知してくれないでしょうと 馬鹿なことを言え無理押しつけでは理屈を こねるだろうがこっちにはのっぴきさせぬ 急所が抑えてあんのだ それがございましてイは満と2人切りで 人里離れた洞窟の中にトヤを過ごしたでは ないか ま姫は思わず表をあげたどうだ近永は超え た体をそらして笑ったこれだけで十分 だろう心配する必要はないから行って休む が良いよはこれから兵目とダンパじゃ あいつの驚く顔はさぞ見物であろう よ姫の唇にもようやく微傷が浮かん だ朝の光が今日の暑さを告げがに輝き始め たご視聴ありがとうございました よろしければチャンネル登録をお願い いたしますいいねとコメント もしく
今回の音本ライブは、「奇縁無双」
1939年(昭和14年)9月 『婦人倶楽部』
後年『椿説女嫌い』『しゅるしゅる』などの元になったお話で、ユーモアあふれる滑稽譚となっております。周五郎作品によく登場する、おてんばツンデレ娘が男どもをやっつけますが、伊兵衛はただものではなくて——
■拙作「ねじまげ物語の冒険」は、下記からご購入いただけます。
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■登場人物
来栖伊兵衛……飯田藩近習番。万姫の傍若無人の行いを諌める。
万 姫……親長の五女。武芸上手。
二 瀬……伊兵衛の妹。
堀 親長……飯田藩主。大和守
吉沢幾四郎……槍奉行の子。伊兵衛の友人。
曽根源三郎……飯田藩士。
霜田市之丞……飯田藩士。
河野 金弥……飯田藩士。
橋本啓之助……飯田藩士。
■用語集
奇巌……キガン・珍しい形をした岩。
碧玉……ヘキギョク・勾玉などによく用いられた石。ジャスパー
塵境……ジンキョウ・ちりに汚れた所。不浄なこの世。俗世間。
幽邃……ユウスイ・けしきなどが奥深くて物静かなこと。
放恣……ホウシ・勝手きままで節度がないこと。
奔騰……ホントウ・急に激しい勢いで上がること。
聳立……ショウリツ・まわりのものよりひときわ高くそびえたつこと
断崖……キリギシ
やつはん……三時
貪婪……ドンラン・ひどく欲が深いこと。
嬌羞……キョウシュウ・女性のなまめかしい恥じらい
■この動画の目次
0:00 奇縁無双 一
7:38 奇縁無双 二
13:15 奇縁無双 三
20:06 奇縁無双 四
27:07 奇縁無双 五
32:42 奇縁無双 六
39:32 奇縁無双 七
#朗読 #山本周五郎 #時代小説
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○iPhoneのブラウザで、YouTubeをひらく方法
①ブラウザから、「YouTube」を検索。
②表示された、YouTubeへの「リンク」を「長押し」します。
③ポップアップメニューに「新規タブで開く」と表示されますので、押してください。
ちなみに、アプリよりも、ブラウザの方が、通信容量や、バッテリー消耗などの負担が小さいそうです。
■そのほかの傑作職人もの
ちいさこべ → https://youtu.be/Wmzd48OURso
おたふく三部作 → https://youtu.be/I1rRxXQgWvo
立春なみだ橋 → https://youtu.be/rTwRZPWo7Os
■山本周五郎サムライ劇場
ちくしょう谷 → https://youtu.be/G_EzCJ9XFwo
日日平安 → https://youtu.be/4Aw1GrJCaj0
夜明けの辻 → https://youtu.be/Q9AbUKM73zY
町奉行日記 → https://youtu.be/1lhBF39QdGk
いさましい話 → https://youtu.be/QCcLS3e3VX4
大炊介始末 → https://youtu.be/gDXEmePeaH0
人情裏長屋 → https://youtu.be/dw4QwHmyJHQ
泥棒と若殿 → hhttps://youtu.be/W88fJoaBSOQ
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★鳴門秘帖 読了いたしました。
『一、上方の巻』朗読まとめはこちらから(1〜5幕分です)
『二、江戸の巻』朗読まとめ↓
『三、木曾の巻』朗読まとめ↓
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『四、船路の巻朗読まとめ』↓
『五、剣山の巻朗読まとめ』↓
『六、鳴門の巻』朗読まとめ!
★江戸城心中
上巻 https://youtu.be/gqgwmt2Ueh4
下巻 https://youtu.be/YSugcfmwEbA
■新書太閤記の再生リスト
■忠臣蔵
前編 https://youtu.be/UGFYWTl7QJc
後篇 https://youtu.be/DS1Xiq6zzBQ
■宮本武蔵
#朗読 #時代小説 #睡眠 #作業 #bgm
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七味春五郎はこちらです
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