榎並大二郎キャスターが、福島第1原発を取材した。
原発事故から10年。
榎並キャスターは、これまで2回、原発の取材を行ってきた。
困難を極める廃炉に向けた作業。
増え続ける汚染水。
そして、ふるさとに立ち入ることすらできない、住民たち。
10年目の福島第1原発では、変化を感じた一方で、今もなお残る、多くの難題を目の当たりにした。
目の前にそびえる原子炉建屋。
今も事故の深い爪痕が刻まれたまま。
榎並キャスター「むき出しになっています。爆発の爪痕がそのまま残っています」
福島第1原発に入るのは、今回で3回目。
7年前の取材時に見た、建屋内にあふれていた緑色の汚染水。
その処理は今…。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、作業に遅れが出ていた。
明らかになったのは、廃炉計画に立ちふさがる数々の難題。
10年目の現実。
福島第1原発の今を取材した。
人が住むことが許されていない帰還困難区域。
榎並キャスター「民家が見えてきましたけれども、バリケードで入れないようになっていますね」
家の前に設けられたバリケードは、無人の住宅を狙った窃盗事件を防ぐためのもの。
この先に、福島第1原発がある。
事務所を出発して、原発の敷地内へ。
榎並キャスターが入るのは、7年ぶり。
以前の取材では、防護服と防護マスクが不可欠だった、敷地内部。
しかし…。
榎並キャスター「降りていいんですか?」
東京電力担当者「平服のまま、降りても大丈夫なエリアです」
榎並キャスター「7年前と明確な違い、この格好で。今、すぐそこに建屋が広がっているんですけれども、降りてもいいと。かなりの軽装でいてよくなりました」
現在は、敷地内の96%は、防護服なしで歩けるようになっていた。
当時、津波によって電源を失い、核燃料の冷却ができなくなり、立て続けに水素爆発が発生。
中でも、損傷が最もひどかったのが、3号機建屋。
大量の放射性物質を放出した3号機は、10年たって、どうなっているのだろうか。
榎並キャスター「ちょうど今、2号機と3号機の間の通路を通っているんですが、側面ですね、もうむき出しになっていますね。爆発の爪痕がそのまま残っています。3号機の建屋の内部が見えてしまっていますね」
爆発でむき出しになった鉄骨やがれきは、当時のままの状態。
この3号機に、今回入ることが許された。
ここからは、防護服が必要になる。
手袋は3枚重ねで、靴下は4枚重ね。
肌が露出しないよう徹底する。
榎並キャスター「この感じ思い出しましたね。これが苦しいんですよね…ちょっと」
許された取材時間は、10分。
屋上まで、階段を使用。
そして…。
榎並キャスター「地上30メートルほどの高さに来ました。もう目の前に3号機のカバーがあります」
目の前に現れたのは、使用済み燃料プールを覆う、巨大な筒状の屋根。
幅およそ23メートル・奥行き57メートル。
事故から7年後に、ようやく完成した。
東京電力担当者「(3号機では何が行われている?)3号機の燃料取り出しを進めているところ」
2月末、ドーム内で行われていた、プール内の核燃料の取り出し作業が完了。
ここから、廃炉に向けた最大の難題に取りかかる。
それが、茶色くいびつな形をした燃料デブリの除去作業。
燃料デブリとは、事故で溶け落ちた核燃料が、金属などと混ざり合って固まったもの。
高い放射線を放っているため、扱いが困難。
そのため、ロボットによる取り出し作業が、2021年から始まる予定だったが、ここに来て、1年程度の延期を余儀なくされた。
東京電力担当者「(燃料デブリ取り出しのための)装置開発をイギリスで行っている。これも、世界的なコロナの影響で開発が遅れている」
課題は、まだある。
7年前、目の当たりにした緑色の汚染水。
当時、建屋内にあふれかえっていた。
汚染水が増える原因の1つが、壊れた屋根から漏れる雨水だった。
今、その屋根は…。
東京電力担当者「(青く覆われているものは?)3号機のタービン建屋の屋上。雨が降ると雨水が建屋の中に浸入しまして、損傷部分を覆う作業をした」
事故当時、爆発の影響で建屋に開いた穴。
屋根から侵入した雨水は、放射性物質に汚染された内部を通って、汚染水になる。
これを防ぐため、カバーを取りつけることにした。
しかし、放射線量が高すぎたため、作業は難航。
2020年になって、ようやくカバーを設置することができた。
東京電力担当者「(7年前は1日400トン汚染水が出ていたが、現状は?)昨年1年間の実績だと1日あたり140トンまで低減できている」
しかし…。
榎並キャスター「すごい量のタンクが並んでいます」
汚染水を処理した水をためる巨大なタンク。
かつて、「野鳥の森」と呼ばれるほど、緑豊かだったエリアは、タンクで埋め尽くされ、見る影もない。
タンクの数は、すでに1,000基を超えていて、早ければ、2022年の秋には、限界を迎える。
水の処分をめぐっては、海洋放出を軸に、政府内で検討が続けられているが、地元の漁業者らの反発は強く、結論は出ていない。
事故から10年が経過してもなお、福島第1原発は、わたしたちに多くの課題を突きつけている。
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