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 https://estar.jp/novels/25697808
 「濃姫って奥さんが、いるんだけどさあ」
 信長が性生活の相談をしたいってことで、瑠璃や甲斐を置いて野郎だけの飲み会が始まった。
 「こういう時、元康呼ぶんだったなあ」
 俺は瑠璃が美人過ぎて緊張するって相談を元康にしたことを懐かしく思い出す。
 「やめてくれえ」
 信長が悲壮な声をあげた。
 「何でだべ」
 「俺の悩みの根本原因は領土を奴に奪われたことだから」
 信長がイライラした口調で言った。https://estar.jp/novels/25697808
 「それと濃姫とどう関係あるの」義昭が興味津々で聞いてくる。
 「土地が減って家臣が離反するから、俺ジリ貧なのよ。だから美濃を取ってやろう思うのよ」
 「おお、歴史通りだべな」
 俺が言うと
 「どこがだべ。普通信長は元康なんぞに領土奪われねえもんだべ」
 信長は悔しそうに酒をあおる。
 「ああ、美濃は代替わりしたんだよね」
 事情通の義昭が言った。俺が同盟していた道三の子供の義龍は若死にして(俺が信長と戦ったニ年後に)、暗愚と言われた子の龍興が美濃を支配している。龍興には義理がないので、ここは転生仲間の信長をサポートしたいところだ。
「濃姫と子が出来れば、俺も美濃進出の口実が出来るわけ」
 マムシ(斎藤道三)の娘で有名な濃姫たん。斎藤道三は今川の脅威に対抗する為に最愛の娘である濃姫を信長に嫁がせて尾張と軍事同盟を結んだ。
 「なるほどねえ」
 俺は納得しながら、酒のツマミのスルメイカをほおばる。
 「美濃の民にとって、俺が美濃の血を引く後継者を持っていれば、印象は悪くないだろう」
 「しかし、ノブ君女性もいけるの」
 義昭が単刀直入に質問する。まあ、相談されてる身としては、全て情報出してもらわんと知恵は出せない。
「ほう、竹中半兵衛は稲葉山城を6人で奪ったのでござるか」
  元康が瑠璃の入れた熱い煎茶をすする。
 「諸葛孔明のような智謀の者が日の本にもいたのですね」
 また呼ばれずに駿府に付いてきた瀬名が、感嘆の声をあげる。
 「幕府は龍興が、我らが保護してる寺社領の権利侵害を理由に美濃の守を罷免する」
 義昭が、信長の美濃侵略のお膳立てをしてくれた。
 「義昭様ありがてえ。ついでに郎報だ。お濃が、竹中半兵衛に協力してくれと要請したら良き返事がきた」
 「どういった返事だ」俺が聞くと
 「将来お濃の子供を美濃の国守にすると約束するなら城を譲るという返事だ」
 美容師信長の報告に一堂ほくそ笑む。ただ例外が一人。
「でも、全て調子が良すぎませぬか?罠ということは」
 元康の言葉に、転生者たちは全員ビビる。最後は天下を統べるリアル将軍の警告は無視できない。
 「その竹中半兵衛にとって、望むものはなんでしょう」という瀬名の質問に
 「まずは、竹中半兵衛と親族の安藤伊賀守の所領2倍増。そして半兵衛自身を美濃の主要行政官にしてくれだと」
 「ああ、それは安心ですな」
 元康が豊かな頬を揺らして笑う。
 「うんうん、ちゃんと己の欲で動いてんだから」
  瀬名が夫に同調する。
 「では今川と松平は美濃の東の国境から龍興に攻めかかる」
 俺は以前からの手はずを確認する。
 「その間に我が織田軍は、稲葉山城に直接いき、城を接収する」と信長。
 「その後龍興を東西から挟み撃ちにしよう」
 俺はチームUJIZANEのリーダーとして締めくくる。
 「あんまり戦死者出さないでおくれ。保険金の支払いが難儀なので」
  将軍義昭のボヤキに一堂苦笑した。
 