イギリスで流行する新型コロナウイルスの変異種が静岡県で見つかりました。変異種は今後の感染状況にどう影響していくのでしょうか。感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授に聞きます。

イギリス由来の変異種ですが、ウイルスの突起物“スパイク”の一部が変化して、人の細胞にくっつきやすくなっている可能性があります。
(Q.具体的に感染力が高くなるというのは、どういうことなのでしょうか)
少ないウイルスで感染が成立するということです。感染者の飛沫が、少ない量でも感染してしまうこともあり、その人の中でウイルスが増えて、ほかの人に広げてしまう。結果として、多くの感染者が出てくるということになります。

静岡県外の感染者が、サンプル調査を受けましたが、ウイルス量が少なく「変異種の疑いがある」ところまでしかわかりませんでした。濃厚接触者をたどりますと女性2人、さらに、同じ保健所内で検体を調べていた感染経路が不明な感染者からも確認されました。
(Q.市中感染はどこまで広がっていると考えられますか)
1人だけが感染経路が不明ということですが、それ以外にも感染していても、把握していない人がいるということだと思います。実際に調べられている数が少ないので、どのくらいの広がりかはわかりませんが、少なくても感染者は市中にいるということはいえます。

(Q.最初の人は、静岡県外の感染者で変異種の疑いがありましたが、静岡だけで広がっていることなのでしょうか)
この人が静岡の人だけに感染させたとも考えにくいので、ほかの地域でも感染者がいる可能性は十分あります。

変異種の感染状況を調べるために必要なのが“遺伝子解析”ですが、国内で解析できているのは約1万4700検体で、18日時点の感染者全体でみますと約4%にとどまっています。
(Q.遺伝子解析をどう進めていったらいいのでしょうか)
4%というのは限られた数ですので、もっと広げるべきだと思います。ただ、全部、調べるということではありません。重要なことはポイントを絞ること。例えば、現時点では、静岡をターゲットにしなければいけない。また、感染者の多い東京など、これからの戦略もありますので、変異種がいるかどうか、きちんと把握していくべきだと思います。

(Q.変異ウイルスに対して、どう備えたらいいのでしょうか)
残念ながら症状などで、変異種かどうか見極めることは無理です。感染対策で新たな方法が加わることはなく、今までやっていることを、さらに徹底すること。感染者を減らしていくという姿勢が大事だと思います。
[テレ朝news]