イギリスでは、連日、新型コロナウイルスの感染者は3万人を超え、23日には4万人近い感染者が確認されました。従来のウイルスに比べて感染力が最大1.7倍にも及ぶという変異種は、ヒトの細胞内に入り込む時に使われる突起部分が変異したことで、感染力が強まったとされています。政府は、ロンドンなどで行っているロックダウンの対象地域を広げる決定をしました。
こうしたなか、新たな“変異種”が見つかりました。
ハンコック保健相:「イギリス国内で別の新たな変異種による2例の感染が確認された。2人とも数週間前に南アフリカから入国した人との接触があった。非常に懸念している。この変異種も感染力が強まっていて、イギリスで発見された変異種よりも、さらに変異が進んでいるようだ」
新たに見つかった変異種は、いま、南アフリカで第2波を引き起こしている要因とみられているものだといいます。南アフリカは、9月にロックダウンを解除して以降、一日の感染者は2000人前後でした。しかし、先月から再び増え始め、23日には初めて1万4000人を上回りました。多くを変異種による感染が占めているといいます。さらに、南アフリカ政府は、重症化する若年層が増加していることも、特徴の一つに挙げています。イギリス政府は、即座に南アフリカからの入国を一時停止するとともに、2週間以内に滞在歴がある人へ自主隔離を求めています。
◆ロンドン支局の大平一郎支局長の報告です。
変異種が相次いで見つかったことで、クリスマスムードに包まれていたロンドンの空気は一変してしまいました。急なロックダウンだったということもあり、街の中のクリスマスの飾り付けやセールのサインはそのままとなっています。イギリスで見つかった南アフリカからの変異種2件のうち、1件はロンドンで見つかったことがわかりました。また、南アフリカの研究者によりますと、ウイルスの変異は最大で40カ所で起きていたといいます。イギリスの変異種は23カ所だったので、かなり上回っています。イギリスで変異種が立て続けに見つかる背景には、イギリスが世界で一番多くの新型コロナウイルスの“遺伝子解析”をしているという事情があります。感染拡大し始めた今年3月から、保健当局と大学や研究所などが共同で大規模な遺伝子解析のネットワークを作りました。これまでに約15万のサンプルを検査して、大小4000の変異を発見しました。南アフリカの変異種を発見したこのネットワークの情報が早期に政府にもたらされて、今回の入国停止措置などの対策に結び付いたわけです。変異種を発見しやすいイギリスの事情を考えますと、専門家は「南アフリカの変異種が他の国々に広がっていると考える方が自然だ」と話しています。
[テレ朝news]