「無断キャンセル」で、ついに逮捕者が出ました。逮捕された59歳の男は、居酒屋で1人1万3000円のコース料理17人分を予約しておきながら、店に現れませんでした。
今回は、「無断キャンセル」についてひもときます。

逮捕容疑は、嘘の予約をして店の業務を妨害した、偽計業務妨害にあたる。

無断キャンセルという行為は、店はもちろん、回り回って客側も損をしてしまう。

経産省の対策レポートによると、飲食業界全体で無断キャンセルによる損害は、年間およそ2000億円。

店は、本来得られるはずだった利益がふいになるのはもちろん、食材費や、当日のアルバイトなどの人件費が全て無駄になる。

また、予約の時間に客が来ないとなれば、席を空けて待っていることになるため、ほかの客を断った分の損失も出てしまう。

なぜ、無断キャンセルをしてしまうのか。

予約管理サイトの調査によると、1位が「とりあえず場所確保のために予約したため」と、予約したことをうっかり忘れたという回答が4割。

ほかにも、「複数の飲食店を同時に予約した」や、「人気店なのでとりあえず予約した」などの理由が続く。

しかし、無断キャンセルにあまり悪意がないということが、むしろ問題。
実はいろんなところに影響を及ぼしているという、想像力が足りていないのかもしれない。

しかし、こうした無断キャンセルが増えてしまうと、予約が取れない人気店の予約を取ることがさらに困難になってくる。

また、店側も無断キャンセルによる被害額を補てんしなくてはならず、メニュー価格に被害額を転嫁するなど、本来よりも高い値段を払うことになる可能性もある。

では、どうしたら防げるのか。
対策を見ると、さまざまな事例が出てくる。

例えば日本では、月額数千円の保証料を支払うことで、無断キャンセルの代金が補償されるサービスがある。

ほかにも、無断キャンセルの被害分をお店に代わって弁護士が代行回収するサービスも始まった。

海外の例では、アメリカでは予約の際、多くの場合、事前にクレジットカードの登録が求められるため、個人情報が明らかになる。
また、予約を守る利用者にはポイントを与えるサービスもある。

中国の病院の場合、無断キャンセルが1年以内に累積3回になると、3カ月間、予約システムの資格が停止されるペナルティーも科せられ、使えなくなるという。

悪意があると逮捕に至るという今回の事件が、警鐘を鳴らすケースになればと思う。

(2019/11/12)

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