女優の吉高由里子さんが主演するNHKの連続テレビ小説「花子とアン」の週間平均視聴率が21%超えが続くなど好調だ。テレビ文化を題材にした文化論が専門の早稲田大学演劇博物館館長の岡室美奈子教授は、人気の理由を「貧しさを乗り越えていくというようなリアリズム路線のドラマではなく、マンガ的な世界、『赤毛のアン』のような世界が展開されている。貧しさはあっても軽やかに生きているヒロインが魅力的」と語り、少女時代から「赤毛のアン」に親しんできた女性層を中心に支持を集めているという。「花子とアン」の好調の理由に迫った。
ドラマは、「赤毛のアン」などを翻訳した主人公・村岡花子(安東はな)の明治・大正・昭和にわたる波瀾(はらん)万丈の半生を、「Doctor-X」(テレビ朝日系)などを手がけた中園ミホさんの脚本で描く。原案は、花子さんの孫・村岡恵理さんの著書「アンのゆりかご」。はなは、山梨の貧しい家に生まれ、東京の女学校で英語を学び、故郷での教師生活をへて翻訳家の道へと進んだ人物で、吉高さんが10~50代の花子を演じる。
少女マンガ的な世界観とヒロインがマッチ
17日まで放送していたドラマの第2~7週は、東京の女学校に編入したはなの夢のような学校生活が描かれた。大きなリボンやあざやかな着物、袴を身にまとった令嬢たちの「ごきげんよう」といった”お嬢様言葉”が飛び交う寄宿舎での生活や帝大生との恋など、まさに少女小説や少女マンガのような世界が繰り広げられていた。そんなマンガのような世界が描かれながらも視聴者を白けさせないのは「吉高さんの持ち味に負うところが大きい」と岡室教授は語る。「『おしん』のように田舎から出てきた女の子が(令嬢との)環境の違いに負けないでガチ(本気)で頑張るという汗と涙のドラマではないのが面白い。(実家が貧しいという)厳しい状況もあるが、軽やかに生きているヒロインの姿が共感を呼んでいるのでは」と分析する。吉高さん演じる軽やかなヒロインとドラマの世界観がマッチしたことが人気の一因といえそうだ。