『ホテルローヤル』は第149回直木賞受賞作品。北国の湿原を目の前にしたラブホテルを舞台に、そこでの人間模様が描かれている。全部で7つの短編が収められているが、作品は徐々に時間を溯るスタイルがとられている。ただ、個々の短編の発表時期を見てみると、作品は必ずしも順番に書かれていたわけではなかった。第2話「本日開店」は単行本が刊行される際に書き下ろしとして加えられ、そこではホテル創業者である田中大吉の寂しい死が語られていた。最終話「ギフト」でホテル創業に意欲を燃やしていた若き頃の大吉とは実に対照的である。