前作では、田所博士や山本首相の行動を中心にストーリーが展開され、小野寺と阿部の交際は中心的な位置づけではなかったが、本作ではストーリー展開の主軸となっている。
原作では、田所博士の唱える「日本沈没」説が検証し切れていない仮説の段階から始まっていて、立証データ収集の調査や対応策の検討を秘密裏に進める必要から政界のフィクサーである渡老人の支援のもとで幸長助教授・邦枝・片岡・中田といった見識ある実力者が集められ、体制を整えていく。また「日本沈没」の情報の真偽に苦悩する政府の姿も描かれる。
一方、本作では、まず学界の最高権威(アメリカ測地学会)より「40年以内に日本は沈没する」と説明される[注 9]ことにより、政府が「日本沈没」を既成事実として受け入れてしまい、渡老人の登場や政府の苦悩を描く必然性がなくなっている[注 10]。
原作や前作では、物語終盤にて日本政府や世界各国が日本人救出に全力を尽くすが、本作では逆に、政府首脳が“難民受入交渉”と称し我先に海外逃亡、また世界各国があまりにも多く押し寄せてきた日本人の受け入れに難色を示すなど冷淡な態度を取られる。一方で日本海溝にあるプレート切断作戦のために掘削機を提供したりするなど協力してくれる国もある。
原作では南関東直下地震で250万人、73年版では360万人の死者・行方不明者が出る。それに対し、2006年公開版では東京は終盤の全ての住民の退避後に津波が襲来している[注 11]。
作中での時代設定は2007年。