浅田真央選手は、五輪を終えた直後から、
「基礎から見直すトレーニング」をしていたことは、
皆さんもよく知るところだと思います。
そこで注目されたのは、ジャンプの見直しばかりでした。

しかし、浅田真央選手が五輪後2年間かけて重点的に取り組んできたのは、
「スピードアップ」です。
それがよく分かる視点で見てみましょう。

3Aの助走を見て下さい。画面奥に進行するので分かりづらいですが、
その前の審査員席前を通り過ぎる速度が実際の速さです。
テレビではあまり速度が実感できませんが、こんなに速いのです。

そして次が重要です。「フリップ」と「ルッツ」は直線助走のため
速度の違いを非常に比較し易いです。
これまでの浅田選手は、コーナーから3F-2Lまでの助走を
9秒~10秒の間で跳んでいました。
しかし今シーズンでは、7秒台で跳んでいます。
たった2秒と思うかもしれませんが、観客の体感速度の違いは物凄いです。

3Lz前の助走も、秒数自体は9秒ほどかかっていますが、
テレビでは分からないのですが、直線に見えて、実は画面左上コーナーから、
グーンと前面に寄りながら助走しているのがよく分かりますね。
今までより、「リンクの端から端まで」大きく使うことで、従来より遥かに速度を上げています。

そして視覚的によくわかるのが次の2A-3Tです。
テレビでは手前に寄ってくるアングルが多いために非常に遅く見えるのですが、
実際は、たった数秒で画面右上から左下の審査員に迫るほどに、
ものすごい速度で跳んでいるのです。だから2Aの幅が出るようになったのです。

どうでしょうか。テレビでは先シーズンと同じ曲で、テレビで見たら
一見ジャンプや振り付けの変更以外違いのない演技に見えるかもしれません。
しかし、実際には、大幅なスピードアップを実現していたのです。

ところで、フィギュアスケートにおいても、
テレビと実際の競技場では、全く違う印象を受けることがあります。
ステップなんかはその典型です。見て下さい。
浅田選手はレベル獲得のため、ステップの総距離の半分以上を片足で行っていますが、
まさか片足ステップの間ここまで前進し、片足が終わった時には
ほぼ右端近くまで到達しているなんて、テレビでは見えましたか?
テレビでは丁度真ん中ぐらいで終えたように見えたと思います。
それぐらい、テレビと実際では印象が異なることが多いです。

これを機会に、ぜひそのことも頭において、テレビ鑑賞して頂き、
彼女の努力の成果を、ぜひ生で実感して頂きたいです!
有難うございました。