来月3日アメリカ大統領選挙を控え、トランプ大統領とバイデン候補の最後の直接対決となるテレビ討論会が行われました。最後の討論会は大統領選にどう影響を与えるのでしょうか。アメリカ政治に詳しい慶応大学の中山俊宏教授に聞きます。
※今回の討論会をどう見ますか。
トランプ大統領はよく耐えたと思います。だから普通の討論になった。その結果、大きな特色はなかったと思います。もともとバイデン氏が優位だったのが、結局、大きな構図は変わらなかった。バイデン氏が優位のままという感じだと思います。ただ、バイデン氏が時計を見たシーンがあって、ドキっとしました。討論では、時計は見てはいけない。1992年の大統領選で、ブッシュ氏(父)が再選を目指していた時、討論で時計を見てしまった。これが自信のなさ、押し込まれているという象徴になってしまった。だからバイデン氏が時計を見たときは、それをやってしまったのかと思ったが、実際は、司会者が時間に言及し、それを確認したようでした。攻め込まれているということではなかったが、トランプ陣営は、そこだけ切り取って、「ビビっていた」と使ってくると思います。ただ、サプライズがないと、大きな構図は変わると想定できない。
アメリカの政治専門サイトの世論調査をもとにした予測では、バイデン氏が獲得すると予測される選挙人は232人で、トランプ大統領は125人となっています。11の州では『どちらか判定できない』となっていて、ここを全部取ればトランプ大統領の逆転の可能性はあります。ただ、アメリカメディアは、「バイデン氏優勢で固まった」としているところが多く、CNNは、前回トランプ氏が勝利したペンシルベニア州やウィスコンシン州でも、今回はバイデン勝利としている選挙人の数も290人と予測しています。
※今回、トランプ大統領が劣勢に立たされているのは、なぜでしょうか。
テキサス、ジョージア、オハイオなど、トランプ盤石のはずが接戦であってはいけない。トランプが取っていないといけない。前回、トランプ大統領の勝利の原動力なった“ラストベルト”と呼ばれる地帯もバイデン氏が優勢となっている。バイデン氏はペンシルベニア州出身で、ブルーカラーの気持ちがわかるということを全面に出しています。中西部の人は、謙虚で物静か。4年前は「典型的な政治家ではなく、トランプにやらせてみよう」となったが、今回は「ちょっとトランプ大統領は行き過ぎ。バイデンのほうがまとも」と見ていて、バイデン氏に流れができているのではないでしょうか。
※前回のようにトランプ大統領の逆転があるのではないでしょうか。
2016年、“隠れトランプ”が構図を反転させたというと、わかりやすいが、はっきりと証明はされていない。今年もトランプ大統領が、最後に反転させるのではないかという不安はありますが、今回は、前回の反省を踏まえ、サンプルの取り方とかを変えているので、例えば4%差といっても、前回とは意味合いが全く違います。もちろん選挙ですから、何があるかはわかりませんが、バイデン氏が優位だと言っていいと思います。
[テレ朝news]