フィギュアスケート 全日本選手権最終日(23日、札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ) 女子フリーを行い、ショートプログラム(SP)2位の浅田真央(22)=中京大=は合計193・56点で2年連続6度目の優勝を飾り、14年ソチ五輪出場枠が決まる来年3月の世界選手権(カナダ・ロンドン)代表に選ばれた。SP5位と出遅れた村上佳菜子(18)=中京大中京高=は2位となり、SP首位の鈴木明子(27)=邦和スポーツランド=は4位。SP3位につけた14歳の宮原知子(関大中)は3位で初の表彰台に上がった。
4分間を滑りきった真央は、大きく息を吐いた。「失敗が引っかかっているが、よかった部分もある。今後の課題が見つかって、次の試合の向けて一層頑張っていきたい気持ちが高まった」。今年最後のフリーで完璧な演技はできなかったが、GPシリーズを含めて今季4連勝は自身初の快挙だ。
プログラム冒頭、前日のSPで失敗した3回転ループを成功。2回転半―3回転、3回転ルッツと苦手意識のあるジャンプも無事に降りたが、最後に挑んだ3回転フリップが2回転になった。「いつもは失敗しないところなので余計に悔しい」。それでも、バレエの「白鳥の湖」に乗せてなめらかに滑り、表現力の得点はトップ。フリーの自己ベスト133・13点に迫る高得点を出した。
目標の2連覇で世界選手権切符を手にしたが、「自信にはなっていない」と表情を引き締めた。SPで回避したトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)はフリーも温存。「焦らないのが一番だが、自分は2連続3回転や3回転半をやっていた時期がある。それを試合でできた時に、喜びを得られると思う。まだ満足できない」と大技への強い意思を明かした。
3回転半は今季一度も試合で跳べていないが、練習での成功率は上がっている。「世界選手権まで3か月ある。まだ冒険した練習をしていないので、これからしていこうと思う。3回転半や2連続3回転を入れていた時と変わらないレベルでできるか、楽しみにして頑張りたい」とレベルアップを誓った。
ソチ五輪出場枠をかけた世界選手権にはバンクーバー五輪女王の金妍兒(キム・ヨナ、22)=韓国=も出場予定。金と戦うのは昨年4月の世界選手権以来、1年11か月ぶりだ。「今年の世界選手権はソチにつながる。自分の力を出し切ったと思えるような演技をしたい」。残り1年2か月を切った大舞台へ、真央が着実に歩を進めていく。
◆姉・舞が応援 真央の姉で元フィギュア選手の浅田舞(24)が、強力な”応援団”として会場に駆けつけた。姉妹は親友のように仲良しで「普段はスケートよりも旅行や恋愛の話が中心」(舞)という。
昨季成績不振に終わり、目標を見失った真央を支えたのも舞だった。オフに真央は「スケートをやめたい」と漏らしたが、舞は「とりあえずリフレッシュしよう」と食事や買い物に連れ出した。山梨で野菜を植えたり、姉と気分転換しながら真央は元気を取り戻した。
舞は年明けから東海テレビでスポーツキャスターに転身し、3月10日の名古屋ウイメンズマラソンにも挑戦する。「真央の方がマラソンに興味があるので、いつか一緒に走りたい」と夢を語った。