【全話フル|日本語字】側室にされた私、十万騎兵に迎えられ女帝となる#短編ドラマ

私 元は南詔国の長公主だった 祁凰長公主にお目通り申し上げる 殿下、千歳千歳千千歳 平身 しかし、不完全な夢のせいで 身分を隠して雍国に来た 瀕死の晋王を救治した 晋王妃となった しかし、晋王が太子に立てられた時 側妃に降格された 大将軍の娘、雲家の雪瑶 私に取って代わった そして、私が心を込めて救治した晋王は これに耳を貸さなかった 傾雪 この件 確かに私があなたに申し訳ない だが、父皇は 宮中であなたと争いたくない 傾雪 感情というものは やはり頼りにならない 男女の情でも 救命の恩でも 男の目には 権力の重さには及ばない あなたの心中の悔しさは分かっている しかし、これは皇帝のご意思だ 私と太子の婚礼は 来月だ 太子の冊立大典と 同じ日 これは皇帝が 私の雲家に与えた面目だ あなたは側妃だ 今後、私に会ったら礼をしろ 私と話す時は態度を恭敬にしろ あなたはまだ結婚していないじゃないか 結婚する前は あなたはまだ太子妃ではない 皇族の礼節によれば あなたは 私たちのご令嬢に礼をすべきだ 何て言った? 私が言うには、あなたと太子は ただ婚約しただけだ しかし、あなたはまだ嫁いでいない 私のご令嬢があなたに礼をさせようとは 夢にも思うな 来人 掌嘴 掌嘴 私が彼女の口を打ち壊せ 皇帝が自ら賜婚した太子妃が このような教養と気度か そうだな 雲将軍は京城で 20年以上立脚しているが しかし、顕赫は まだ5年に満たない なるほど、雲姑娘は このように粗野で横暴なわけだ やっと太子妃の位を得たばかりで こんなに待ちきれないほど 私に自慢しに来た 彼女の口を掌嘴しろ 主従二人 一緒に打て はい 人を侮辱しすぎだ あなた あ、あなた、私を打つなんて 打ったらどうした あなたたちのような 勢いに乗じて人を欺く輩は 打たれるべきじゃないのか 小さな卑しい婢が 私のご令嬢に手を上げるなんて 私が見るに あなたたちは 熊の心臓と豹の胆を食べたのか あ、あなた、放して あなたたち、何をしている あなたたち、何をしている 太子殿下 ぜひ私のために裁きを 蕭姉さんが委屈を受けたのは知っている だからわざわざここで待っていた 彼女に謝罪しようと思って しかし、私が思わなかったのは 彼女が侍女に私の人を打たせたことだ 太子殿下 これは皇帝が御賜した婚礼だ 蕭姉さんがこんなことをするのは 蕭姉さんがこんなことをするのは 聖命を蔑視している もし皇帝に知られたら あなたが手を下したのだ そうだとしてもどうだ 明月 跪いて雲姑娘に謝れ 思いも寄らない あなた おそらく太子殿下が あなたたちを甘やかしすぎた すべて甘やかして天高地厚を知らず 尊卑を分かたない この卑しい婢め 太子に不敬を働くとは 罪に当たれば誅殺される あなたたちのような者 私たちのご令嬢の前で 尊卑を口にする資格があるか 本当に可笑しい 放肆 明月、跪け 私の婢女は 誰も彼女に跪かせることはできない 太子殿下 彼らを見てください 傾雪 本当に私があなたを甘やかしたからか でたらめ 2年前、もし私のご令嬢がいなかったら あなたはとっくに閻魔様に会いに行っていた 何の犬屁太子にもなれない 何の太子妃も娶れない あなた 明月 あなたの言う通りだ 私のものは 私一人だけのものだ もし他人に汚されたら それなら私は玉砕する 瓦全を選ばない 裴子琰 邸に戻ったら あなたに和離書を書く これから男は婚し女は嫁ぎ 互いに干渉しない 明月、行こう 本当に荒唐だ あなたは わざと太子殿下を脅しているのか あなたは皇族の結婚に 和離の先例がないのを知っているだろう あなたのこの3年の時間は 本当に無駄に浪費した 早く知っていれば当初は 明月 私は後悔していない 小姐 私がここに来たのは 不完全な夢のせいだ 私が知りたいのは あの不完全な夢の後で 何が起こるかだ 今、私は答えを知った 結果は思わしくないが しかし、私は心にやましいところがない 一つの願いを果たしたと思おう 来人 孤の坐騎を連れて来い 太子殿下 蕭側妃はただあなたを脅しているだけだ 彼女は一介の医女だ 頼るものがない 絶対にあなたと和離できない 彼女に騙されるな 駕 太子殿下 蕭傾雪 今日私が受けた侮辱は 来日、必ず十倍百倍にして返す あなたに痛みで生きる気をなくさせる 生きる気をなくして死ぬほどに 小姐 傾雪 3年前のこの時 私は一人でここに来た あの時の晋王府は静寂で寂寥としていた 人気が少しもなかった 王府の下人は みな怠けて居眠りしていた そして貪欲な婆さんが 府のものを盗んで売り払っていた あの時、王爺は床に臥せっていた 自分で身の回りのことができなかった 誰も進んで世話をしたがらなかった 傾雪 私は知っている あなたが私に救命の恩がある また、私たちが互いに支え合ったことも この情誼は実に貴重だ しかし、あなたはただの一介の医女だ 太子側妃になれるのは もう皇帝の大いなる恩寵だ 皇帝の大いなる恩寵だ 裴子琰 私は一度も考えたことがない あなたの王妃になることを ましてや側妃など欲しくもない もし2年前に あなたが自ら御前に行って 賜婚の聖旨を求めてこなかったら もしあなたが口で約束しなかったら この生涯、決して妾を娶らないと どうしてあなたに嫁ぐことを承諾しただろう しかし、私は今貴い太子だ 今後は避けられない! 私はあなたに約束を履行することを強要しない 私たちは和離すればいい 不可能だ 傾雪 私は絶対に あなたと和離しない 考えるな このことはあなたが決めることではない 私のご令嬢から遠く離れろ この恩知らずの小人め 明月、放肆するな 明月はただ実話を言っただけだ あなたはなぜ恥ずかしがって怒る必要がある 傾雪 3年前 あなたは病膏肓に入っていた 満朝の太医が手をこまねいていた 皇帝はすでに旨を下すつもりだった あなたに後事を準備させようと 私が優れた医術によって 無理にあなたの命を 閻魔様から奪い返した しかし、あなたはどうやって 私のこの救命恩人に 利を見て義を忘れ、信を背く 裴子琰 あなたは人としての資格がない 蕭傾雪 私はあなたを気にかけているから 忍耐強くあなたとこのことを相談している 太子殿下の好意は 心に領します しかし、私の決意は固い 私はあなたの側妃にはならない 和離の件は あなたと相談するのではない 私はあなたの側妃になることは不可能だ 私は自ら下堂を請う 位を空ける あなたが望むように迎えさせて 大将軍の娘を あなたは鉄心で私と和離したいのか はい 荒唐だ 皇族に嫁いだ女子は 名前はすでに族譜に入っている 和離の道理はない 傾雪 もしあなたがこの方法で 私を脅そうとしているなら 脅しではない 通知だ ただ一つの和離書で 私たちはこれで一刀両断 もう関係ない もう関係ない 私は同意しない 皇族に嫁いだ女子は 和離の先例がない 考えるな あなたは同意するだろう 理不尽だ 小姐 構わない 男の約束はでたらめだ 当初、小姐は昼夜寝ずに 彼に解毒と治療をした時 彼は誓って言った この生涯、決して小姐を裏切らないと これだけの時間が経っただけで すっかり忘れてしまった 明月 女の子なのに そんなに粗野な話し方をしないで 奴婢はただ悔しくてたまらない 関係ない 愛は人生のすべてではない 私はただ体験しに来たと思おう 幸い、たったの3年だ 私はまだ若い まだたくさんの良い時が私を待っている 必要ない 一人の男のために怒る 小姐が考えを開いたのは 奴婢はとても嬉しい しかし、裴子琰を思い出すと 得をしてさらにいい子ぶる 彼が今得ているすべては 私が彼に与えたものだ 私が去る前に これをすべて取り戻す 小姐の言う通りだ 奴婢は今すぐ片付けに行く 裴子琰 真心を裏切る人は 必ず何もなくなる ものはすべて持ち帰らなければならない 裴という姓の者を安くさせない 小姐 金銀細軟 私はすでにすべて片付け終わった 持ち帰る 私たち自身のものだけでいい 王府に属するものは 一つも取るな 承知しました、小姐 隠風 小姐にお目通りします 小姐、何かご用でしょうか 今夜、この手紙を送り出せ はい 裴子琰(はいしえん) 私への借り 一つ残らず 返してもらう 王妃様、お目通りを 何事だ 徳安長公主が薬を取りに人をよこしました 王妃様が前回 処方なされた薬湯が もうなくなったと こう伝えなさい 長公主府の使いに うちのお嬢様は 本日ご機嫌斜めにて 薬を調合できないと 王妃様 明月(めいげつ)の言うとおりに 晋王(しんおう)と 離縁の話し合いをしていると伝えよ 薬を調合する気になれないと もし長公主が私のために 離縁状を一枚手に入れてくださるなら 薬の処方箋を両手で奉げると 二度と人に頼る必要がなくなるようにな 何の問題もなかったのに なぜ急に離縁を 行け 王妃様 周(しゅう)ばあや あなたはただ お嬢様の言うとおりにすればいいの 他のことはあなたに関係ない 余計な心配はしないで はい、すぐに使いに伝えてまいります 長公主府 王妃は長公主府を 断るよう言ったほかに 何か申していたか 王妃は もし長公主が薬を急いでいるのなら あなた様に離縁状を一枚賜るようにと もしこの離縁状があれば 処方箋を奉げ 長公主が二度と人に縛られぬようにすると 何だと! 何だ 太子殿下 失せろ 蕭傾雪(しょうけいせつ) 分かっているだろう 私が長公主府の後ろ盾を必要としていることを 私が長公主府の 支持を得てこそ この東宮の位を保てると 私を追い詰める気か いいだろう 見ていてやる 私の支持なくして お前のようなただの医女が この皇城でどうやって生きていくのか 雪瑶(せつよう) 食事は兄を待たなくていいと言っただろう なぜまだ… 兄様 どうしたのだ 兄様 嫁ぎたくありません 馬鹿なことを これは陛下がお与えになった婚姻だ もし嫁がなければ 聖旨に背くことになる それに 以前、お前は太子殿下に 一目惚れしたのではなかったか なぜ急に嫁ぎたくないなどと 兄様 太子殿下のお心には 全く私がおりません それにあの蕭傾雪 彼女は太子殿下の寵愛を盾に 私をいじめ、侮辱するのです 全く人を人とも思っていません 蕭傾雪だと 晋王妃か 彼女がお前に何をした 彼女は自分の侍女に 小桃(しょうとう)を叩かせました 小桃、早くこちらへ 若様にご覧いただきなさい 彼女の顔の傷を なぜ彼女たちは小桃を叩いたのだ 私にお辞儀をしろと言いました たとえ私が陛下に 定められた太子妃だとしても 永遠に彼女を超えることはできないと 小桃が私のために憤慨すると 彼女は自分の侍女に 私の小桃を懲らしめさせたのです 兄様 あれは小桃を叩いたのではありません 私を叩いたのです 私たち雲(うん)家の面子を潰したのです では太子は その時どこにいたのだ 太子殿下は… 太子殿下は蕭傾雪を寵愛しており 当然、私の味方などしてくださいません 蕭傾雪は医女の出身ですが 太子殿下の寵愛を受けています それに彼女は王妃です 私たち雲家は 何をもって彼女と張り合えましょう むしろ彼女を避けるべきです 意気地なしめ 父上が普段我々に何と言っておられる 私たち雲家の者は外で 他人にいじめられてはならぬと 今後、誰かがお前を叩こうとしたら 容赦なく叩き返せ 分かったか 行くぞ 今すぐ晋王府へ行く この兄が自らお前のために晴らしてやる 太子殿下 輔国大将軍府の 少将軍が面会を求めております 少将軍を広間へ通せ 結構です 下がれ はっ 太子殿下に拝謁いたします 楽にせよ 少将軍が深夜にお越しとは 一体何用かな 太子殿下 雪瑶が殿下に嫁ぐことを賜ったのは 陛下の聖旨によるものです 我が雲家が強いたものではございません 側室が不満を抱いていたとしても その侍女に 雲瑶をいじめさせるなど許されることでしょうか 本日、宮門の外で 彼女の侍女が 雪瑶の侍女を叩きました これは御林軍の目には 側室が 未来の太子妃を叩いたと映ります これは下の者が上の者に逆らう行為です 太子殿下には公正な処分を望みます どうしたい 臣は考えます あの侍女を打ち殺さないまでも 二十叩きの刑に処すべきだと 殿下は臣の言が 少し道理に合わないとお考えですか 殿下は今や皇太子であられます 諸皇子と 君臣の模範となるべきです 府内の上下関係を正し 賞罰を明確にしてこそ 衆を服させることができましょう 殿下、どうか公正なご決断を 少将軍の言うことは理にかなっている この件では妹君が辛い思いをした こうしよう 明月に自ら妹君に謝罪させる それでこの件は水に流すということで いかがかな 殿下… この処置で満足かな わたくしは… わたくしは殿下のお考えに従います よろしい、では今すぐ 私と共に来てもらおう 安心せよ もしあの明月が謝罪を拒むなら お前たちの好きに処分してよい 殿下、そのお言葉は真ですか 無論だ 傾雪 今日はお前に見せてやる 私の加護がなければ お前は自分の侍女一人守れぬということを 誰だ 私だ、門を開けろ 裴子琰… こんな夜更けに 彼が何をしに 何をする気です 傾雪はどこだ お待ちください 用件があるなら早く言え お嬢様はあなたに会いたくないそうだ 無礼者! 誰の許しを得て 私にそんな口を利く 卑しい侍女ふぜいが 太子殿下に向かって 無礼な口を利くとは 今日、私が太子殿下に代わって お前をしっかりとしつけてやる やめなさい 夜更けに この王妃の部屋に押し入るとは これがあなたたち大雍(たいよう)の 客のもてなし方か 君は君らしくなく 臣は臣らしくない 恥さらしめ 傾雪 臣はもとより粗野な人間です 確かに存じません くだらない作法など 臣が知っているのは 恨みには報復あるのみ お前はこの卑しい侍女に 私の妹をいじめさせた 今日 その命で償わせてやる 雲驍然(うんぎょうぜん) 私がいるのだぞ ここで好き勝手はさせん 確かに先に非があったのは明月だ ひざまずいて雪瑶に謝罪させよ 明月は私の人間よ あなたたちに 指図される筋合いはないわ それに 先に仕掛けた方が悪いのよ 雲雪瑶が先に侍女に 私に手を出させた たとえ明月に殺されたとしても 自業自得だわ 誰も恨めない お前… そのとおりです 先に手を出したのは向こうなのに なぜ私が謝らなければならないのですか 私がお前に命じる 今すぐひざまずいて雪瑶に謝罪しろ あなたに私を命令する資格が? 私はうちのお嬢様だけを 主と認めています そしてあなたは 物の数でもない 道理をわきまえぬ奴め 雲少将軍 はっ この卑しい侍女はお前に任せる 今日 私は彼女に見せてやる この皇城の下に 私、裴子琰が 手に負えぬ者などいないということを 御意 明月! 傾雪 太子殿下 兄様! 将軍! 兄様、大丈夫ですか 兄は大丈夫だ 蕭傾雪はただの 一介の医女ではないか なぜ彼女のそばにいる ただの侍女が これほど武術に長けているのだ お嬢様 ご無事ですか 私は平気よ それならよかったです お嬢様 次からはこんな無茶はしないでください あんな三流の腕で 私を傷つけることなどできません 私一人で 彼を片付けられます 大口を叩くな 私の兄は我が大雍朝で 最も勇敢で戦上手な少将軍だ お前のようなただの侍女が 彼と肩を並べようなどと いい度胸だな 誰が彼と肩を並べたいものですか お忘れなく 彼は私の手にかかって負けたのですよ お前…! 兄様! 兄様、大丈夫ですか お前、武術が使えるのか 当たり前でしょ あたしが 少しも護身術を心得ていなかったら どうやってお嬢様をお守りするの 医術で世を救うお嬢様が 人にいじめられた時 どうやって晴らしてあげられるの 道理で あれほど横柄なわけだ 武芸を身につけていたからか だが、多勢に無勢だ 今日、お前を逃がしはしない 者ども! 少将軍 この卑しい侍女を捕らえよ なりません 少将軍 大変です 大変です 趙(ちょう)じい なぜここへ た、大変なことに 珍宝閣(ちんぽうかく)の主人が請求書を持って 金を取り立てに 若奥様が、若様とお嬢様に すぐにお戻りになるようにと 請求書? 何の請求書だ 珍宝閣の者が言うには お嬢様が彼らの店で 宝飾品をつけで買ったと 墨宝閣(ぼくほうかく)も それに繍羅閣(しゅうらかく)の人も お嬢様が借金していると 将軍府の門の外に 十数人が集まっています 彼らは 待ってくれると言ってませんでしたか 雪瑶(セツヨウ) 本当にツケで買い物を? 兄上 太子殿下 借金取りに押しかけられるとは どうやら雲(ウン)少将軍は ここに留まって 妹さんのために出る幕はなさそうね 雲大将軍と 雲少将軍の俸禄で 雲お嬢様の借金を返せるかどうか もし足りなければ どうなるのかしら まさか 軍資金にまで手を出すのでは? この下女め でたらめを言うでない 雲少将軍 明月(メイゲツ)に図星を指されて 逆ギレですか お前こそ たわ言を言うな 我が雲家は代々忠良 このような 不忠不義のことはいたしません それなら結構 もし軍資金に手を出せば 御史(ぎょし)に知られ 皇上に奏上されたら あなたたち雲家は 一族皆殺しをお待ちください この女 よくも雲家の名誉を汚したな 今すぐその顔をズタズタにしてやる やめなさい まだ恥をかき足りないのか 屋敷に戻って 事情をはっきりさせてから 改めて落とし前をつける 行くぞ 太子殿下 様子を見に行かれないのですか どうあれ 彼女もあなたの未来の太子妃です そなたと祝言を挙げて二年 知らなかったとは 明月がこれほどの手練れだったとはな あなたの知らないことはまだ多いわ 蕭傾雪(ショウケイセツ) 私を愛したことは? 本当に私を愛しているなら なぜ隠し事をするの あなたも私に隠し事をしているでしょう とっくに知っていたはず 皇上が雲雪瑶を あなたの太子妃にすると でもあなたはひと言も言わなかった それに あなたに隠し事をしなければ 分かりもしなかった あなたが 信義にもとる小悪党だと 蕭傾雪 お前は一体何者だ ただの医女なのに 侍女の武術が これほどとは 勇猛な雲驍然(ウンギョウゼン)でさえ 歯が立たない 一体 どれだけ隠し事をしている 多いですよ ご覧ください ええと 雲お嬢様 珍宝閣(ちんぽうかく)で ツケでお買いになった髪飾り一式と 腕輪、首輪を合わせて 合計で 銀二万三千両です いつお支払いいただけますか 繍羅閣では 三千四百二十両のお買い上げです いつお支払いを? 雲お嬢様 墨宝閣でご注文の硯は 千八百両です あなた 兄上 一体何を買ったの こんな大金 皇后様には 髪飾り一式を買ったわ 太后様のお誕生祝いには 白玉の屏風を贈った 腕輪は 自分用よ あれだけで二万三千両だぞ 太后様と皇后様への贈り物よ 一番良いものを選ばないと 仕方ないじゃない 硯は? お前が書道を嗜むとはな あれは太子殿下への贈り物よ 今も あなたの部屋に置いてあるわ まだ渡してないけど 少将軍 雲お嬢様のツケがあまりに 多すぎるのです 我々もどうしようもなく 少将軍に妹君の代わりに この借金を返済していただきたく 我々も店へ戻り 主人に報告できますので 我々は皆、小商いです 将軍府のように裕福ではございません どうか少将軍 我々を困らせないでください 妹が各店で ツケで買い物をしたこと 私は存じ上げませんでした これほどの大金を すぐには用意できません こうしましょう 店の主人の皆様 少し時間をください 必ず用意します 三日以内に 金銭を工面し全額お返しします 決してご迷惑はおかけしません いかがでしょう よろしい、三日なら三日で 少将軍、お約束は守ってください 三日経っても返済がなければ 我々はこの帳簿を持って 役所に訴え出ます 約束します ただ、もう一つ質問が 三人のご主人に お答えいただきたい 以前、妹から聞きました 期限は 二カ月だと なぜ本日 示し合わせたかのように 一斉に借金の催促に? それとも 裏で誰かに唆されたか 少将軍、ご冗談を 我々は雲お嬢様に 二カ月の期限など設けておりません ただお嬢様が すぐに銀子を お持ちすると しかし、いくら待っても 半月以上経っても お嬢様はお見えにならない やむを得ず 本日、催促に参りました もしご迷惑でしたら どうかご容赦ください 本日はこれにて 失礼します 者ども 少将軍 調べろ あの三人の主人の 裏にいる黒幕は誰か 近頃 誰と親しく接触していたか はっ 兄上 つまり 彼らは誰かに唆されたと? でも私はこれまで 誰とも恨みなどないわ 蕭傾雪 まさか彼女が? あり得ない 蕭傾雪は ただの医女だ 王妃になったとはいえ まだ二年足らず どうして 三つの店の主人を 意のままに動かせる あの三つの店は この都で 長く続いてきた 裏の勢力は侮れない でも普段 他の人とは揉めてないわ もういい、その話は 聞くが この借金 どうするつもりだ 私に策などありません 兄上 お金があるでしょう? いっそ だめだ 近頃、国境の戦況は逼迫しており 軍資金も不足している 戸部(こぶ)の役人どもは 毎日私に 国庫は空だ空だと言う 私がこの時に 大金を出して お前の借金を返したら 戸部の役人たちに 何と言われる 皇上には何と言われる まさか雲家に かぶせたいのか 軍資金横領の罪名を こうしろ お前の那些 高価な宝飾品を 質に入れるんだ 太子妃に冊封されたばかり この矢面に立つ時に しくじるわけにはいかない もし問題が起きれば 御史(ぎょし)に弾劾され 聖顔を汚し お前の太子妃の座は なくなるぞ でも私の宝飾品はもともと少ないのよ なのに質に入れろと? じゃあ私はこれから何を身に着ければいいの その時に 名家の令嬢たちに笑われたら どうすればいいの お前は そんな言い方はよせ 私は未来の太子妃よ もし手元にお金がなければ 東宮に入ってから どうやって下人たちをまとめるの どうすれば彼らが喜んで 私のために働くの 兄上も私のことを 少しは考えてくれてもいいじゃない 何を言うか お前が 東宮に嫁ぐ時 我々雲家がお前に 嫁入り道具を用意しないとでも? 今日、我が家は 数万両の銀子すら 用意できないのに 私が嫁ぐ日に 家は私に どれだけの嫁入り道具を用意できるというの 知らないわ あの宝飾品は 一つも質に入れない 一つも渡さないから その考えは捨てて 雪瑶が先ほど 蕭傾雪と事を構えた直後に 三つの店の主人が 借金の催促に来た これは偶然か それとも 若奥様 のちほど皇后様にお会いになる際 私もお連れいただけますか 皇后様がお呼びなのは私だけ あなたは外で待っていて 私は 安心して 私は大丈夫だから それに この機会に 皇后様にお伝えしたいの 裴子琰(ハイシエン)との 離縁の決意を 願わくば皇后様が 私が裴子琰を救い 長年、力を尽くして 彼のために策を講じてきたことに免じて 離縁をお許しくださることを どうかしら 皇后様とあの裴という男は 実の母子ですもの きっと彼の味方をするわ ありがとうございます、皇后様 晋(シン)王妃のおなり 皇后様、拝謁いたします 皇后様のご健勝をお祝い申し上げます 楽になさい 座りなさい ありがとうございます 皇上からの賜婚の件 あなたたちも知っているでしょう 太子が あなたたち二人の賢妻を得られたのは 彼の幸運です これからは あなたと雪瑶は 仲良く太子を支えなさい 私は信じています あなたたちはきっとうまくやっていけると 皇后様 恐らく蕭お姉様は 私と一緒は嫌かと この良き内助の功を まさか まさか まさか 傾雪は常に分をわきまえております あなた様を不満に思うはずがありません 傾雪 そうでしょう 皇后様 皇太子の良き内助は 雲殿お一人で十分です 傾雪 僭越ながら 皇后様にお願いがございます 皇太子との離縁をお許しください 離縁状も用意しました 皇后様 お認めください 蕭傾雪 ふざけないで 皇后様 ほら ご覧なさい 妃は嫌がっています 正妃から側室に降格されるのを わざと離縁を口実に 皇太子を脅しているのです これでお分かりでしょう 雲殿 ご自身の物差しで人を測らないで わたくしはまだ そんな脅迫手段は使いません あなた 傾雪 わらわも分かっています 正妃から皇太子の側室への降格は あなたを傷つけました しかし皇太子は将来 一国の君主となるのです この皇太子妃の身分は 顕著でなければ 後宮を仕切れません それにそなたの出自からすれば 側室という地位は そなたを辱めるものではありません 子琰は今や皇太子 あなたは後宮を仕切り 天下の女子の手本となるのです つまらない真似はせぬように すぐに嫉妬に狂ったり 物笑いの種になってはなりません 女子は嫁いだ後 どんな要求をしても 嫉妬と見なされるのですか どういう意味です いえ 何も かつて私が皇太子を治した時 皇后様は 私にある約束をされました 覚えておいでですか もちろん覚えています 皇后様に その約束を果たしていただきたいのです 皇后様 皇太子殿下に この離縁状に署名させてください あるいは陛下に勅命を 私たちの離縁をお許しください あなた 傾雪 傾雪 そなたは道理をわきまえているはず なぜわらわを困らせるのです 困らせるつもりはございません ただ皇后様に かつての約束を果たしていただき 私の身を自由にしてほしいのです 知っているでしょう 大雍の建国以来 皇族の離縁という前例はありません その前例がないからこそ 皇后様にお願いしたいのです 約束を果たし 私のためにその前例を破ってください ありえません 蕭傾雪 その考えは捨てなさい 皇后様がお聞き入れにならないなら 無理強いはしません しかし皇后様と 賭けをさせてください 10日も経たぬうちに 皇后様から 皇太子との離縁を申し出るでしょう 蕭傾雪 何を言うのです そなたの医術が卓越しているのは知っています しかし医術は人を救うためのもの 人を害するものではありません せいぜい 皇后様 誤解です 他人が手を出してこない限り 私は決して毒を使いません 私が言った10日の約束は 医術とは無関係です 蕭傾雪 思わせぶりなことを言うのはやめなさい 10日の約束ですって あなたはただ 皇后様を脅したいだけでしょう 雲殿 他人のことに 口出しする暇があるなら 早く屋敷に戻って 借金返済の算段でもしたらどうです 皇后様 彼女の戯言をお聞きにならないで 仲違いさせようとしているだけです 雲殿は珍宝閣に 2万3千両の借金があります そのうち5800両は 先月 皇太后様への誕生祝いの贈り物 また4600両は あつらえた 黄金の髪飾りの一揃え 半月前に 皇后様に贈られました 残りの1万両余りは 雲殿が ご自身の装飾品を整えたものです そういえば 陛下は皇太子に まさに 家柄の立派な皇太子妃を選ばれました この気前の良さには 傾雪も到底及びません ただ この銀子を返せなければ 天下の笑いものになりかねません 皇室の面目を潰します 傾雪が言ったことは 全て真実ですか なぜ こんなに高価な装飾品を買ったのです 私は ただ 他の貴婦人たちに 見劣りしたくなかったのです 名家の貴婦人たちの装飾品は せいぜい数百両 数十両の銀子で すでに上質なものが買えます あなた 1万両以上も使ったのですか 皇后様 皇太子殿下のお成りです 母上様 お気を鎮めて 臣は朝議を終え 母上様にご機嫌伺いに参りました 母上様 どうなさいました 母上様 どうなさいました どこかお加減が悪いのですか そなたの皇太子妃候補に聞きなさい 贅沢が過ぎ 金遣いが荒いのです 雲大将軍と 雲少将軍の 一年の俸給を合わせても 彼女の浪費には足りません 雪瑤 そなたがそのような わらわはどう安心して 皇室の後宮を そなたに任せられましょう 私は わざとではありません 皇后様と 皇太后様への贈り物ですから 一番良いものを贈るべきだと 値段は考えていませんでした そなたの言うことは 2万両余りはすべて わらわと皇太后のためだと 忘れてはいけません 1万両余りは そなた自身のために使ったのですよ 私は あなたのせいよ あなたが言わなければ 皇后様がどうして 人に知られたくなければ 自ら行わぬことです この世に 隠し通せるものはありません なぜ知っているのです 私が具体的にいくら借りているか まさかあの店主たちは あなたが呼んだのですか 傾雪 あなた 雲殿 ご冗談を 私はただの医女 どうしてこの都で 最も儲けている三つの店の店主を 私のために動かせましょう 私はただ 未来を予知しただけです 傾雪 何かまだ 私に隠していることがあるのか 我ら夫婦は一心同体 隠し事をすべきではない 蕭傾雪 この腹黒い女め あなたは表向きは 皇太子との離縁を望んでいるようですが 実際には ただ仲違いさせたいだけ 私と皇太子の関係を あなた…恐ろしすぎる 好きに思えばいい 皇后様 これからの10日間 ご機嫌伺いには参りません 次にお会いする時が 私が離縁状を手にする日です 次にお会いする時が 私が離縁状を手にする日です 傾雪 母上様 彼女の言葉はどういう意味ですか まさかあなた方で 何か合意したのですか かつて傾雪がそなたを治した時 わらわは彼女に一つの約束をしました 今日彼女は離縁状を持ってきて わらわに裁可を求めました そなたたちの離縁を ただそれを かつての約束を果たすことだと そんなこと 私は彼女と離縁しません それに 我ら皇室には 離縁の前例がありません そなたの言うことは分かります だからわらわは 離縁状を破り捨てました ただ ただ ただ 傾雪はわらわと賭けをしました 10日以内に わらわが自ら そなたたち二人を離縁させると 彼女は何を企んでいるのです 今すぐ彼女に会いに行きます 問い質しに 子琰 皇太子殿下 お待ちください 陛下は皇太子に 良い皇太子妃を選ばれました 贅沢が過ぎ 贅沢が過ぎ 分をわきまえない 仕方のないことです 皇太子殿下は昔 お体が弱く 長く病床にありました 朝廷に基盤がなく 将軍府との姻戚関係を 結ぶことでしか 支持を得られなかったのです 支持を得られなかったのです さもなくば皇太子の位は不安定になり 帝位など望むべくもありません そなたにさえ分かることが なぜ傾雪は 分かろうとしないのです 彼女はかつて 寝食を忘れて なぜ今になって 恐らくは愛しすぎるあまり 目に 砂が入るのを許せないのでしょう 皇后様 ご心配には及びません 側室は出自が低く 皇室に嫁げたことは すでに彼女への恩恵です 皇太子殿下がよく言い聞かせればよいのです どうしても聞かないのなら いっそ謹慎させればいい 皇太子が婚礼を挙げ東宮に入れば 全ては決着します 側室も自ずと この事実を受け入れるでしょう そうするしかありませんね 傾雪が 傾雪が わらわの苦心を分かってくれることを願います 傾雪 はっきり言いなさい 母上様とのあの賭けは 一体どういう意味だ 皇太子殿下 お待ちください あなたの婚約者が会いに来たわ 皇太子殿下はまず彼女をなだめてください 蕭傾雪(しょうけいせつ) 皇后様の前で 私の悪口を言ったそうね まだその落とし前をつけてもらっていない なぜ逃げるの 皇太子殿下 私に何の落とし前をつけろと? 珍宝閣での件で まだ足りませんか 黙りなさい 雪瑶(せつよう) よくも私を叩いたわね あなた ここは宮中ですよ 何をする気です 宮中だと分かっているなら 皇太子殿下 あなたの次期皇太子妃をしっかりとしつけてください もし彼女の口が また不潔な言葉を吐き続けるようなら 味あわせてやります 言葉を失う味を 同じことを 二度とは言いません せいぜいお気をつけください お嬢様 お嬢様 妃殿下 長公主様がお話があるとのことです どうぞ 長公主様 私に人を遣わして伝言を? 皇太子との離縁を望んでいると 皇太子を脅しているの? それとも私を脅迫しているのかしら あるいは 本心から 皇太子との離縁を望んでいると? もちろん後者です 長公主様が裴子琰(はいしえん)に 離縁状に署名させることができれば 約束します すぐに処方箋を差し上げます そうすれば長公主様は 二度と人に言いなりにならずに済みます 皇太子は私を 叔母上と呼びますが 彼は畢竟 我ら大雍の皇儲です 地位も権力も高い 私の一言で どうこうできる相手ではないわ あなたは無理難題を言っている 長公主様 覚えておいでですか 二年前の私たちの約束を もちろん覚えているわ 二年前 私は病に苦しんでいた あなたのおかげで かろうじて命拾いした あなたはどんな褒美も要らないと言い ただ私に求めた 珊珊(さんさん)をあと二年手元に置かせてほしいと あまり早く嫁がせないでと 定国公府の小侯爵に あなたの狙いが 何なのかは分かっていたわ 定国公と賢妃は兄妹の情が深く 賢妃の子である睿王の 皇位継承における大きな後ろ盾となっている もし定国公府と 長公主府が縁組をすれば 皇太子にとって脅威となるでしょう 裴子琰はまだ 皇太子の座を固めていなかった もしあの時 長公主府が 定国公府と縁組をしていたら あなたの目には 私はそんな 実の娘を利用するような小者に見えるのかしら 珊珊郡主は 長公主様の一人娘です 誰もが知っています 長公主様が彼女を深く愛していることを たとえ天の星であろうと 郡主が望めば 長公主様は方法を考え それを取ってくださるでしょう 口がうまいのね 娘はいつまでも手元には置けないもの 珊珊もいずれは嫁に行く 私が屋敷に戻ったら 小侯爵に縁談を申し込ませるわ 叔母上 叔母上 あなたがやったのね 思ったより手が早いのね ご冗談を 他に御用がなければ 傾雪はこれにて失礼いたします 行きなさい 皇太子 叔母上 傾雪は各地を巡り医術を施し 自由気ままな生活に慣れている この皇城での退屈な日々は 彼女には合わないわ 彼女に離縁状を渡しなさい 自由にしてやりなさい あり得ません 皇太子 私はあなたに相談しているのではないの 忘れないで あなたが将軍府と縁組した目的を 離縁状一枚で 私が保証するわ あなたの皇儲の地位は誰にも揺るがせない たとえ将来帝位に就いても 盤石のごとく安泰よ でももしあなたが応じないなら 私は屋敷に帰って 定国公府の小侯爵と 珊珊の縁談を決めてしまうわ あなたも分かるでしょう もし定国公府が 長公主府と縁組をすれば それがあなたにとって何を意味するか 定国公と賢妃様は 兄妹の情が深い 兄妹の情が深い 賢妃の子である睿王を ことさら可愛がっている もし定国公府が 長公主府と縁組をすれば それは睿王が もう一つ 帝位を狙える切り札を得ることを意味する あなたは今、皇太子といえども 一日でも帝位に就くまでは その皇太子の座も安泰ではない それは無理難題です 私があなたを困らせたいわけではないの ただ私の体も とても大切なのよ そう思わない? あなたがこの皇太子の座のために どれだけの努力を払ったか 叔母上はすべて見ているわ 男女の私情のために あなたが苦労して手に入れたものを手放さないで 叔母上が言えるのはここまでよ せいぜい善処なさい 屋敷に戻るわ お嬢様、これをどうぞ 傾雪 傾雪 もし私が 雲雪瑶(うんせつよう)を好いていないと言ったら 彼女との結婚は ただのその場しのぎの策だとしたら たとえ彼女が東宮に入っても あなたの待遇は 以前と変わらない あなたは それでも私と離縁するのか? 裴子琰 あなたは 突然危機感を覚えたから 私と交渉しに来たのね 徳安長公主が あなたに何か言ったのでしょう 当ててみましょうか 定国公府との縁組についてね なぜそれを なぜなら それが私が彼女を治療する条件だったから 傾雪 知らなかった あなたが陰で 私のためにこれほど多くのことをしてくれていたなんて 安心してくれ ここで君に約束する 私が無事に帝位に就いたら 私が育て上げた 私自身の文官や武将たちができ もはや 輔国大将軍の庇護が不要になったら 私は雲雪瑶を廃する 君を私の皇后にする 君をこの天下で 最も尊い女性にする 皇后になんてなりたくもないわ あなたのような利己的な小者には 到底分からないでしょう 真心がいかに尊いものか お嬢様はあなたに山のような恩があるのに あなたは私利私欲のために 信義に背いた 雲雪瑶はあなたを一途に想っているのに あなたは 彼女を利用し尽くした後 あっさり切り捨てるつもりだなんて 本当に吐き気がするわ 真心は尊い だがもし だがもし 私がその地位に就けなければ 真心どころか 命さえ危ういかもしれない 私は心から傾雪を好いている だからこそ、すべてを顧みず あの地位を手に入れたいのだ 私は傾雪と添い遂げたい 私は 裴子琰 そこで自己欺瞞はやめて あなたはただ 愛を口実にしているだけ あなたのすることはすべて 自分のためでしょう 蕭傾雪 聞くが あなたは本当に決心したのか 私と離縁すると 分かりきったことを うちのお嬢様は とっくにあなたと離縁したがっています あなたがずっと 黙れ! 蕭傾雪 これが嘘だと言ってくれ ただ私に拗ねているだけだろう そうだろう? 言って 私があなたに何を拗ねるというの それに、何か 駆け引きをしているわけでもない 私は本気であなたと離縁するつもりよ 無礼者! お前に何の資格があって 私に離縁を切り出すのだ 私と結婚して二年、子がいない これは「無子」 今また 皇太子妃の地位のことで 世間を騒がせている これは「嫉妬」 今日、鳳儀宮で 母后に不敬を働いた これは「不孝」と見なす 七去の条のうち三つを犯した お前のような嫉妬深く子を産まず 親に不敬な女には 離縁状がお似合いだ 裴子琰 あなたに言われて思い出したわ 確かに私は あなたに離縁状を求めるべきではなかった 私が 直接離縁状を叩きつけて そして明月(めいげつ)と高飛びすればよかった ここで あなたと無駄話をするべきではなかった 何様のつもりよ うちのお嬢様に離縁状ですって? 叩き殺してやる 明月 あなたの手を汚すことはないわ 蕭傾雪 大したもんだな 私と離縁したいだと? 出て行きたい、そうだろう 夢を見るな ここから出られると思うな たとえお前が死んでも この裴子琰の亡霊になるしかない この裴子琰の亡霊になるしかない 来い! 皇太子殿下 この霜雪院を隅々まで 前後左右 すべて人を配置して封鎖しろ 一人たりとも外に出すな 命令に背く者は斬れ はっ お嬢様、ひどすぎます 今すぐお連れして、ここから出ます いいのよ、明月 ちょうどこの機会に ゆっくり休みましょう 悪いことばかりではないかもしれないわ お嬢様 閉じ込められたというのに なぜ少しも焦らないのですか もし彼がずっと 私たちを行かせてくれなかったら 私達は ずっとここに閉じ込められてしまう 私を信じて 十日と経たずに 裴子琰(はいしえん)は 必ず私に離婚を申し出てくるでしょう その時になれば 私達は行きたいところへどこへでも行けます 徳安(とくあん)、皇后様にご挨拶申し上げます 皇后様、ご健勝をお祈り申し上げます 面をお上げなさい 席をお与えください お茶を差し上げなさい 良いお茶です これは西南から献上された 玉露紅螺(ぎょくろこうら)です 芽が柔らかく香りが高く 口に含むとまろやかで甘みが戻ります 今年新しく封じられた貢ぎ物のお茶です この私ですら 数箱しか持っておりません 徳安がお気に召すのであれば この私がお届けさせましょう 功なくして禄を受けず このお茶は 皇后様 ご自身でお飲みになってください 私は長公主(ちょうこうしゅ)と 二人きりで話したいことがあります 皆、下がってください かしこまりました はい 皇后様が周りを退けられたのは 何か秘密を 徳安と分かち合いたいからですか 徳安 私はあなたと回りくどい言い方はしません あなたに聞きますが 姗姗(さんさん)の縁談は 来年と決まっていたのではありませんか なぜ急に早まったのですか 定国公府の若き侯爵様と 姗姗は相思相愛で 昨年にはもう婚約したいと考えていました ただその時は 私は姗姗がまだ幼いと思い あと二年手元に置きたかったのです それで今まで延びていました この度 太子様にご慶事が二つ重なったので 彼ら二人も婚約させようかと 太子様のご利益にあやかろうと思いました 徳安: この宮廷の情勢はあなたもご存じでしょう もし長公主府がこの時期に 定国公府と縁組すれば 必ずや太子に打撃を与えることになります あなたは何かできませんか 皇后様には隠し立てしませんが 姗姗と若侯爵様の縁談は ずっと前に決まるべきでした これまで延びていたのは 私と晋王妃(しんおうひ)との ある合意があったからです ある合意? 何ですって それが蕭傾雪(しょうけいせつ)とどう関係があるのですか この蕭傾雪は太子に対して 本当に一途な想いを抱いているのですね 彼のために綿密に計画を立てておきながら 一言も口にしないなんて 惜しいことだ 残念なことです あなたは今 これはあなたと蕭傾雪の間での ある合意だと言いましたね 一体どういうことなのですか 私はこの数年 ずっと体調が芳しくありませんでした 女性は とかく 人には言えない持病があるものです ちょうど晋王妃が ある薬の処方箋を持っていて 私の体調を整えることができるのです 彼女は診察料も取らず 何の利益も求めませんでした 唯一の条件は 私が姗姗を あと二年手元に置いておくことでした 彼女の考えは当然わかります さらには 私は彼女の望みを叶えるつもりです 兄上が嫡子を立てることを支持します 姗姗の縁談を早めたのは 蕭傾雪に脅迫されたということですか 脅迫というほどのものではありません ただお互いが必要なものを得るだけです 晋王妃が求めているのは 離縁状です そして私が欲しいのは 彼女が持っているその薬の処方箋です 太子様が承諾して 離縁状に署名するだけで 晋王妃は 私にその処方箋を渡してくれるでしょう 処方箋が手に入れば 私は約束に従い 姗姗の縁談を 来年まで延期します 一年あれば 太子様が皇太子の地位を不動のものにするのに十分でしょう 彼女が望むのは ただ離縁状一枚だけですか ええ、ただ離縁状一枚だけです 他には何も求めていません 「他には何も求めていない」とは、うまいこと言ったものだ 彼女が求めているのは 離縁状なんかではありません 彼女は琰児(えんじ)を破滅させ 天下の人々に軽蔑させたいのです 琰児は太子に立てられたばかりで すぐに離縁を懇願するなど 満朝の文武官僚が聞けば 彼をどう思うでしょう 彼は蕭傾雪の 命を救った恩を持ち出してくるでしょう 琰児に「不仁不義」の 罪名を着せようとしているのです こうなれば 琰児の太子としての地位は 果たして守れるでしょうか 蕭傾雪は本当に抜け目ないですね たとえ守れなくても それは太子が自ら招いたことです もし太子が約束を破らなければ どうして今の状況になったでしょうか 私の言いたいことはこれだけです 長公主府に 引き続き太子を支持してほしいなら 離縁状と引き換えなさい あなたは! さもなければ この太子が別の人に代わっても 構いませんよ あなたは…! 蕭傾雪! 皇后様! 一体どうなされたのですか 王(おう)乳母(うば) 琰児の太子としての地位は もう守れないかもしれません そんなことはございません 太子様は文武両道に 全て精通していらっしゃいます しかも嫡子でいらっしゃるのですから この太子としての地位は彼以外にはありえません いいえ 長公主はもう言いました もし琰児が 蕭傾雪と離縁しないなら 定国公府と縁組すると 睿王(えいおう)はもともと太子の座を 虎視眈々と狙っています もし長公主府の支持まで得てしまえば 私が理解できないのは 琰児が一体どこで彼女を裏切ったというのですか 普通の世家の公子でさえ 妻を三人、妾を四人持つほどなのに 琰児は高貴な太子なのですから 遅かれ早かれ妻妾が群れをなすでしょう 彼女はまさか 琰児が一生涯 自分一人だけを守るとでも思っているのですか 笑止千万です 古来より 一人の人間にのみ忠実な帝王などおりません この晋王妃は医女の出ですから どうしても気が小さいのでしょう 老奴が見るに 皇后様、この機会に 太子様に侍妾を二人お与えになってはいかがでしょう あの晋王妃に この世で誰が主導権を握っているのかを見せてやるのです 乳母の言う通りです 私は信じませんよ 彼女のような取るに足らない医女が 天下をひっくり返せるなどと お嬢様 召し上がってください はい 王妃様! 大変です! 周(しゅう)乳母(うば) 何故そんなに慌てているの 皇后様がお遣わしになり 太子殿下に 二人の侍妾を連れてこられました 今、もう入り口にいらっしゃいます 何の新鮮味もない 拙劣な手口だわ 周乳母 今後このようなことは わざわざ報告に来なくて結構です 皇后様が太子に いくら妃や侍妾を送り込もうとも 私には関係ありません 確かに彼女に言う必要はない 太子殿下 私は尊い太子である 好きなだけ娶っても構わない たとえ彼女が太子妃であろうと 口出しはできない 彼女のような側妃に 口出しする資格などあるものか 出て行け 太子殿下 出て行け! かしこまりました お前も出て行け 夢にも思わないでください 私はお嬢様のお言いつけにしか従いません あなたごときが 私に指図しないでください 何度も何度も 私に逆らうとは 本気で思っているのか 私がいつまでもあなたを容認するとでも 太子殿下は容認する必要などありません あなた! 明月(めいげつ) あなたは先にお下がりなさい お嬢様 心配しないで、私は大丈夫だから はい、お嬢様 何か用があるなら言いなさい 傾雪(けいせつ)、あなたは私を愛したことがあるか? 今になってそんな質問をするなんて 滑稽だと思わない? もう一度聞く 私を愛したことはあるか? おそらく ありません ないというのなら ではなぜあなたはあの時 私と結婚したのだ? あなたがお望みになって 賜婚を求めたのではありませんか? あの時、あなたは広間の外で 一日中ひざまずき ようやく陛下に懇願して あなたと私に結婚を命じさせた まさか忘れたとでも言うのですか? だから だからあなたは一度も 私を愛したことがなかったのか 愛しているかどうかが重要ですか? あなたは口では私を愛していると言いながら 平然と 私を正妻の座から 側室に格下げした そして平然と別の太子妃を娶った しかし古来より 夫を助け子を育て、夫に従うのが 女性の本分である 裴子琰! 言いたいことがあるならはっきり言いなさい そんな無駄口を叩く必要はないわ では無駄口はもういい 今ここで 夫としての責任を果たしてやろう あなた… あなたも武術ができるの? 裴子琰! あなたのその卑劣さは、吐き気がするほどだわ! 吐き気がするだと? よくも私を吐き気がすると言ったな! もし今日のあなたが 本当のあなただというのなら 私はとても幸運だったと思うわ あなたが太子となるのを助けられたことを そして、陛下が あなたのために太子妃を選んでくださったことも でなければ 私はまだあなたに騙されていたでしょう いつになったら あなたの本当の顔に気づけたかわからない 私はお前の夫だぞ もし夫としての 手段を見せつけたいなら 望み通りにしてやるわ 放しなさい! 蕭傾雪、お前! 蕭傾雪! 何を企んでいる! 私を放しなさい お前、武術ができるのか もし私が武術ができなければ 今夜はあなたに 床に押さえつけられて 屈辱を与えられ、強要されたでしょうね もし男がこんなやり方しかできないなら 女を辱めるとは それでは 男としての背骨すら 品性のかけらもない 裴子琰(はいしえん) 男を名乗る資格はないわ あなたは溝のネズミにさえ 劣る 明月(めいげつ)が武術を心得ている お前も武術を心得ているとは 蕭傾雪(しょうけいせつ) 実に見事に隠し通したものだ 言え お前は一体どれほどの事を 私に隠している? 私に隠している? 優しく情が深いというのは 最も油断させやすい こういう時こそ 自分のために残しておくべきだ 身を守るための切り札を さもなければ 奈落の底に突き落とされて 生き地獄を味わうことになる 蕭傾雪 お前はずっと私を警戒していたのだな 私があなたを警戒してはいけないとでも? もし警戒していなければ きっとあなたに この屋敷の奥に閉じ込められ あなたに嬲り殺されていたでしょう 蕭傾雪 私を一生縛れるとでも? 忘れるな この大雍(たいよう)朝は裴(はい)家のものだ お前がどこへ行こうと 私の手からは逃れられぬ そうかしら それなら、お手並み拝見といきましょう そうかしら それなら、お手並み拝見といきましょう あり得ない 蕭傾雪 生きては私の人 死しては私のものだ 私が一日でも死なない限り 私から離れるなどと思うな それはあなたが決めることではないわ 裴子琰 あなたがただの皇太子だというならまだしも たとえあなたが帝位に就いたとしても この件は あなたが決められることではない 今すぐ離縁状を書いてあげる どういう意味だ 蕭傾雪 はっきり言え 同意するわけがない お前が十枚書こうが百枚書こうが そのくだらん離縁状に 私が署名することはない その考えは捨てろ 誰か 皇太子殿下、そのようなお好みでしたのね 早く仰ってくだされば うちのお嬢様はこんなにもお優しいのですから きっと考え出してくださいますわ 十八通りの趣向を あなた様を満足させるために きっ…このはしためが 明月、縄を解いてあげて お嬢様 このまま見逃すのですか? 分かったわ どうせお嬢様の前では あなたも何もできないでしょうし 誰か 死んだのか 皇太子殿下です 私を宮殿へ 侍医を呼べ はっ 蕭傾雪 離縁状を書いても無駄だ お前は一生私から離れられない 行くぞ はっ 直ちに人を遣わして調べさせよ 大雍朝の全ての名家を 蕭(しょう)姓で医術を心得て 家を出て 三年戻らぬ娘がいないか わずかでも手がかりがあれば 決して見逃すな はっ、殿下 誰だ 長らく会わぬうちに 随分と度胸がついたものだな 誰だ、お前は 旧知の者だ 皇太子殿下に拝謁いたします 皆、立て 王妃は? 皇太子殿下にお答えします 王妃は室内に 出てきておりません もう昼だというのに 傾雪(けいせつ)がまだ起きていないと? では霜雪院(そうせついん)は 今日は食事を運んでいないのか 運んでおりません おかしい 傾雪 どこへ行った? これは… 聞いている 王妃はどこへ行った 存じません 役立たず これほど大勢で見張っておきながら 逃がすとは 早く見に行け 明月というはしためはどこだ はっ、すぐに行きます 蕭傾雪 逃げられるとでも思ったか 私の手から 見つけたら お前の両足を へし折ってやる まだ逃げられるか見てやろう 皇太子殿下 皇太子殿下 皇太子殿下 何をそんなに慌てている 輔都(ほと)より知らせが 兵糧の調達計画に 問題が発生しました 以前、手配済みだったはずでは? なぜこの肝心な時に 問題が起こる あちらは… 皇太子殿下 明月…明月さんが 彼女も姿を消しました 晋(しん)王妃とあのはしためが 消えただと? いつのことだ 探せ たとえ地面を三尺掘ろうとも 必ず人を見つけ出せ もし見つけられなければ 首を差し出せ はっ、ただちに 殿下 雲(うん)少将軍 王妃の失踪の件は 皇太子殿下、ご安心を 臣が保証します この件は絶対に 他の者には知られません 先ほど言っていた 輔都の兵糧に問題が起きたと はっ 現在、南境の兵糧が不足しており 以前、輔都の范(はん)家が承知しました 四日の内に 第一陣の兵糧を調達し 南境の関所へ送ることができると しかし今朝、知らせが入り 范家の当主が急病に倒れ 意識不明だと 范家は今、采配を振るう者がおらず それに 以前范家と協力していた穀物商が 皆、値を上げました 価格は現在の三倍にまで高騰しています 范家の息子たちは 独断で決める勇気がなく それで人を寄こして 私に別の策を講じるよう伝えてきました 范家の当主が回復した後 改めてお詫びに伺うと 以前の兵糧は 全て范家が担当していたのか 全てではありません 容州(ようしゅう)の陳(ちん)家もです しかし陳家は以前 すでに二度兵糧を調達しており 今回、協力を承諾してくれたとしても 恐らく時間がかかるでしょう 他に何か方法は? 今のところ 最も近い薛(せつ)家に頼むしかありません しかし薛家は雍州(ようしゅう)にあります 彼らがすぐに兵糧を調達できたとしても 一ヶ月以内に 兵糧を南境の関所まで届けるのは不可能です それに 最も重要なのは 父上はまだご存じないことです 兵糧の調達に問題が起きたことを もし軍の 通常の食糧供給に従えば 一ヶ月も経たずに 大軍は食糧不足に陥ります その時、敵軍が攻めてくれば 結果は想像を絶します 看来 天下の倉を開けるしかないようだな 皇太子殿下 天下の倉は 我が大雍朝の 最後の希望です やむを得ない状況でなければ 決して開けてはなりません この件は 父上と相談する 殿下 下がってよい 皇太子殿下 臣はこれにて失礼します 傾雪が消えたばかりで 兵糧に問題が起きるとは なぜこれほど都合よく 傾雪 この全てに お前は関係しているのか お嬢様 私が間違っていました 本当に間違っていました 誓います 二度といたしません しないって? 随分と度胸があるじゃない お嬢様、私は… 来たぞ 故郷の熱々の肉まんが来たぞ 熱いうちに食べろ 数年ぶりだが 蕭(しょう)姉さんは昔と変わらないな 威風堂々だ 貴客のお成りだというのに 私、祁淵(きえん)がお迎えもせず どうかお許しを 確かにあなたは罪深いわ 勿体ぶった挙句 勝手に私をさらうなんて お父上にお会いしたら ぜひとも問いただしてやるわ この数年、どうやってあなたを こんなにも大胆不敵に育てたのかと 傍若無人に 好きに言うがいい たとえあなたが言いつけて 私が鞭で打たれることになっても 君をさらったことを後悔はしない あの男は君に酷い仕打ちをした 彼は心変わりし 大胆不敵だ 八つ裂きにしてやりたいほどだ 蕭姉さん あなたは聡明なのに どうして目をつけたのか あんなろくでなしに 祁(き)大将軍 さすがですわ あなたの言う通りよ あの裴子琰はまさに 恩知らずのろくでなしです 私は疑ってます 彼がうちのお嬢様に呪いをかけたと でなければ、お嬢様がなぜ目をつけたのか あんなろくでなしに あなたたち、本当に息が合うわね よし、座りなさい ありがとうございます、お嬢様 故郷の肉まんはやっぱり美味しいわ お嬢様も早く食べて 私たちが 裴子琰という小者に 閉じ込められてから まともに食事をしたことがないんですから 今回は 思う存分食べないと けしからん 今すぐ探しに行ってやる あの裴という男を 俺、祁淵の想い人をいじめるとは 命知らずめ 俺、祁淵の想い人をいじめるとは 命知らずめ 戻りなさい 祁大将軍 あなた、うちのお嬢様が好きだったのね だから言ったのよ あなたがお嬢様を見るたびに 猫がネズミを見るように 目を輝かせてるって 言わせてもらえば あなたはあの裴という男より格好いいし うちのお嬢様とは 幼馴染じゃない あなたたち二人が一緒になれたら 美談ですね 明月、無礼ですよ 私と祁大将軍は姉弟のような仲です 彼がどうして 私に分不相応な思いを抱くでしょうか でも もうやめなさい 二度とこのような冗談は言わないで もし他の人に聞かれたら 損なわれるやもしれません 祁大将軍の名声が 祁淵 今、許嫁はいるのか なら私が戻ったら あなたに気に入る相手を何人か選んであげよう 結構です あなたを慕っているのは確かです ですが、あなたの邪魔はしません 今回参ったのは あなたのお兄上の命令で あなたを連れ戻すためです あの裴という男は良き夫ではありません あなたが彼のために これほど尽くす価値はありません 今はまだ戻る時ではありません 全てお嬢様の指示に従います 店員さん へい これではなく 料理を新しく一式お願い 残りは お詫びの印です かしこまりました、すぐに手配します どうぞごゆっくり では、私はこれで失礼します お嬢様 祁大将軍は今回 かなりお怒りのようですね も、もう言いません 後で食事を終えたら 戻りましょう お嬢様 せっかく出てきたのに 戻るのですか 私と裴子琰は どうあれ夫婦だった仲 たとえ行くとしても すべき別れは しなければ それに見てみたいもの 彼が途方に暮れる様を 待て 見つけたか 探し続けろ お嬢様 あの護衛たち 晋王府の人たちに似ていませんか 気にしないで そうですね お嬢様はもうすぐ 晋王と離縁するのですから これから先 あの晋王府のすべては 私たちと無関係です お嬢様 あれは珍宝閣ではありませんか 装飾品でも見に行きませんか いいわね ちょうど、しばらく 王番頭に会っていないし 聞きたいことがあるの 待ちなさい 蕭傾雪 この間、宮中で 大勢の前で私を叩いたわね まだ借りを返してもらっていないわ 今日 来てくれてちょうどよかった これは雲お嬢様ではありませんか 今日はいったいどうして優雅に 街歩きなど? 分かりました 街歩きに来たのではないのですね 借金を返しに来たのです そうでしょう? 王番頭、お金を 雲お嬢様が借金を返しに来ましたよ よかった 雲お嬢様 珍宝閣でのツケは合計で 白銀二万三千両です 銀票でお支払いですか、それとも あれは 輔国大将軍のお嬢様 雲お嬢様では? 何の装飾品を買ったんだ? 二万三千両分も 買っただと? 聞こえなかったのか 番頭はツケだと言っていたぞ まさか将軍府のお嬢様が 装飾品を買うのにツケとはな この卑しい女め 余計な口出しをしないで 私がいつ 返すと言ったの まさか 堂々たる将軍の娘が 装飾品を買う金も ないなんてことはないでしょうね あなた、未来の太子妃なのに 実にお粗末なこと この卑しい女 誰か こいつの口を叩き潰して この卑しい女 誰か こいつの口を叩き潰して はっ 小桃、あなた さあ いったい誰が 誰の口を引き裂くか見ものね あなた お二人とも、どうかお話で 事を荒立てないでください 今日 きっちり躾けてやるわ この卑しい女を 誰にも邪魔はさせない 王番頭 大丈夫ですか 何度も何度も 私たちにちょっかいを出して 本当に私たちが怖いとでも? 今日こそ お前たち一人残らず 地獄へ送ってやる やめろ 太子だ 太子殿下がお見えになった 太子殿下 今度こそ私のためにご決断を お嬢様、ご心配なく 私がおります 誰もあなたを傷つけさせません お忘れなく 私たちには隠風がいます それに 彼の下手な武術では 私を傷つけられません お前 この卑しい女です 私に無礼を働きました 私を侮辱したのです 彼女は 太子殿下 傾雪 なぜここに ここは皇宮でも 輔国の裏庭でもありません 私がここにいてはいけない決まりはないわ 裴子琰 あなたは口出ししすぎよ 蕭側妃、随分な威張りようですな この卑しい下女を何度も見逃すだけでなく 雪瑶に無礼を働かせ 大勢の前で でたらめを言い 太子を物とも思わぬ態度 あなたの目に王法はあるのですか 雲若将軍 私に罪を着せるおつもりですか 王法を蔑ろにしたという 残念ながら 私に罪があるかどうかは あなたが決めることではないわ 雲若将軍、そんな暇があるなら 妹君の些細なことのために出張るより 早く方法を考えた方がいいのでは? 兵糧調達の問題を解決する 腹が減っては戦はできぬと言います 国境の将兵たちは 腹を満たしてこそ 雑念なく 大雍の国土をしっかり守れるのです そうでしょう? 皆さんはどう思いますか なぜ知っている 兵糧のことを 私が知っているのは 兵糧調達に問題が出たことだけでなく これも知っています 雲若将軍の私的な蔵に 白銀が三十万両もあることを これらは全てここ数年 あなたの父上と戦場でかき集めたものでしょう ただ分からないのは この三十万両の白銀が 食糧の購入に使えるのかどうか 当座の危機をしのげるのかどうか なぜそれを知っている どうやら太子殿下は この件をご存じないようですね 私は雲若将軍が 太子殿下に忠誠を尽くし 何でも包み隠さず話すと思っていました どうやら大したことでもないようですね 太子殿下 雲若将軍は 三十万両もの私的な銀を持ちながら それをただ傍観し あなたが兵糧のことで悩むのを どうお考えです? 裴子琰、裴子琰 これがあなたの育てた 素晴らしい盟友というわけね 太子殿下、私は… でたらめだ 太子殿下 決して信じないでください 彼女の言葉を 彼女は仲違いさせようとしているのです 彼女は私たち雲家と あなたとの間に亀裂を生じさせたいのです でたらめを言っているのは誰か それとも事実なのか あなたの雲家に人を遣わし 雲驍然の私庫を捜索すれば はっきりするでしょう でたらめを言わないで もし兄にへそくりがあるなら なぜ私に装飾品を売らせて 借金を返させようとするの おそらく雲若将軍は 皆さんに あなたたち雲家が 清廉潔白で 私欲がないと思わせたいのでしょう なにしろ 軍資金横領が露見すれば その結果は計り知れませんからね 蕭傾雪 でたらめを言うな もしこれ以上戯言を並べ 我が雲家の名声を汚すなら 今すぐお前を殺す やれるものなら 現王妃の殺害は 死罪だということだけでなく 私がいる限り うちのお嬢様に指一本 触れさせません どうやら雲若将軍は 手を出さないようですね では、私たちはこれで失礼します 明月、行きましょう はい、お嬢様 雲驍然 今日の件 私に合理的な説明をせよ さもなくば 私とお前の妹の婚約は これにて破談とする お兄様 彼女が言っていたことは 本当なの? 本当なの? 傾雪 どうやって知ったのだ 兵糧の調達に問題が出ていると 私が知っているのは 兵糧調達に問題が出たことだけでなく これも知っています もともとあなたたちを助けると約束した 兵糧調達を 輔都の范家の当主が 刺客に襲われ 今は意識不明だと もし范家を当てにするなら 早々に諦めることをお勧めします 今あなたを助けられるのは 雲驍然だけ 彼がへそくりを 出して食糧を買えば あなたたちは最速で 兵糧を国境に運べます さもなくば 国境で食糧が不足し 他国が攻め込んできたら あなたの太子という地位は 危うくなるでしょうね 蕭傾雪 はっきり言え なぜ知っているのだ 兵糧調達に問題が出ていることを それと 雲驍然の私庫に 白銀三十万両が隠されている件 いったいどこから知ったのだ ちゃんと話して 手を出さないで 教えてあげるわ うちのお嬢様は並外れた才能をお持ちだ この世に 彼女が知らないことなどない うちのお嬢様を大切にしなかった罰だ うちのお嬢様を 今頃後悔しているだろう? お嬢様 昨夜はよくお休みになれませんでしたね さぞお疲れでしょう お湯を沸かして差し上げますから ゆっくり浸かってください 傾雪 昨夜はどこへ行っていたのだ? 人妻でありながら 夜通し帰ってこないとは まことに婦道に反するぞ 私がどこへ行こうと私の勝手だ 私があなたに 離縁を申し出たあの瞬間から あなたと私はもう何の関係もない 私がまだ 晋王府に残っているのは あなたが心から納得して 離縁書に署名する日を待っているだけだ 他のことには 口出ししないで 蕭傾雪 私はお前と離縁する気はない 一生諦めろ 私はお前と離縁する気はない 一生諦めろ 傾雪、私が悪かった 私を置いていかないでくれ 離縁しないでくれ 頼む! 約束する これからはずっとお前を大切にする 不満な思いはさせない 信じてくれ どいて! あんたの言うことなんて屁みたいなもんだ 誰が信じる? 警告しておく これ以上うちのお嬢様に触ったら あんたの指を 一本一本切り落として酒に漬けてやる 傾雪 私が悪かった 許してくれ さっき、どうして私が そちらが食糧調達で 問題を起こしたことを知っているのかと 尋ねたでしょう? なぜなら 私がやったことだからよ 何だと? 正確に言えば 以前雲家に供給していた食糧は 名目上は 大手商人たちから調達したことになっているが 実際には 私が自腹を切って購入したものだ もう 雲家に食糧を 提供し続けるつもりはない だから雲家だろうとあなただろうと 食糧が欲しければ 金を出して買いなさい お前はいったい何者だ? たかが医女の身で どうしてそんなに多額の金を 朝廷の食糧調達に使えるのだ? 私の素性を知る必要はない 私が何者かは 知っておくべきは 今回、輔都の范家だろうと 容州の陳家だろうと 雍州の薛家だろうと 誰もあなたたちに 食糧を提供することはないということだ 目下 雲驍然の私財三十万両以外に その私財 選択肢はない お前の言っていることが 真実かどうか、どうして私にわかる? 信じなくてもいい だがもしこの先 国境の軍が食糧不足に陥れば 裴子琰、あなたは大雍全体の罪人となるでしょう あなたは 大雍全体の罪人に 群臣から責められ 民衆から唾棄され この人生で至高の帝位に 上り詰めることなど決してできない 一つ、ずっとあなたに話していなかったことがある 話していなかったことがある 三年前 私が都に来てあなたの病気を治したのは あなたの病気を治したのは 不完全な夢を見たからだ 不完全な夢を見たからだ どんな夢だ? 夢の中で見知らぬ男が私に助けを求めてきたが 私は彼を救えず 結局彼は死んでしまった 彼は死んでしまった その夢が半年間続いた 私はその男がいったい誰なのか 切実に知りたかった それで私は彼を描き 身元を調べさせた そして最後に分かったのは 私の夢に出てきたあの人が まさかあなただったということだ 当初、私はこれが私たち二人の 運命的な絆かもしれないと思い 思い ここへ来た 残念ながら 夢の答えは見つけたものの 見つけたものの その後の展開は、私が想像していたような素晴らしいものではなかった 素晴らしいものではなかった 傾雪、分かるか? 分かるか? 私の生まれのせいか あるいは性格のせいか 私はなかなか男の人に心を動かされない 今でも あなたのどこに惹かれたのか はっきりとは言えない 惹かれたのか もしかしたら、私たちが朝から晩まで一緒にいた情誼からかもしれないし 情誼からかもしれないし あるいは、ほんの少しの憐憫からかもしれない 憐憫からかもしれない だが、もうそんなことはどうでもいい どうでもいい 私たちは円満に別れましょう 蕭傾雪 お前の正体を知った私が お前を行かせるとでも思うのか? 思うのか? 私が誰だか分かるか? あなたがどの名門出身かは知らないが これほど多額の金を朝廷の食糧調達に提供できるのだから 提供できるのだから 食糧調達に 提供できるのだから 決して平凡な人物ではないとわかる 平凡な人物ではないとわかる お前が誰であろうと この人質を手中に収めていれば 手中に収めていれば お前の背後の家族は 私に絶え間なく 食糧を提供するだろう その後の話が、あなたが想像したほど美しくなかったと言ったが 美しくなかったと言ったが 心配ない 私があなたの夢を叶えてみせよう 今すぐ雲家と交渉し 雲雪瑶に 太子妃の座を譲らせよう 蕭傾雪 これが私ができる 最大限の譲歩だ それでは、私はあなたに感謝すべきでしょうか? 感謝すべきでしょうか? 裴子琰、あなたは実に傲慢で滑稽だわ 滑稽だわ 蕭傾雪 お前の背後の家族の勢力がどれほどのものであろうと知ったことではない 知ったことではない 太子妃を一人出すというのは お前の家にとって 最高の栄誉なのだぞ それでも不満なら 私が自ら父皇に願い出て お前の家に 世襲の爵位を授けてもらうこともできる 裴子琰 私は太子妃などになりたいとは思わないし あなたが言った爵位にも興味がない 興味がない 私も興味がない 私が望むのは、あなたに この離縁書に署名してもらうことだけよ ありえない! 蕭傾雪 私がこの生涯で お前と離縁することなどありえない その考えは諦めろ 裴子琰 これは私があなたと 交渉する最後の機会よ あなたが署名しないなら 無理強いはしない でも、後で 決して後悔しないでね 私を脅しているのか? ええ お前… 太子殿下 太子殿下、皇帝陛下のお言葉です 直ちに宮中へ参内なされよ、と お間違いなきよう 何だと? 父皇は、何故私を 宮中に召されると仰せられたのか? どうやら南境から八百里の緊急軍報が届き 南詔の国境に突如十万の兵が増強されたとのこと とのこと 侵攻の恐れがあるかと 突如十万の兵が増強されたとのこと 侵攻の恐れがあるかと 南境は今、食糧が不足している 南詔の国境に突如十万の兵が増強された もし南詔がこの時に攻め入ってくれば まさか… 私はおかしくなったのか たとえ傾雪が どこの名門貴族の娘であろうと 南詔に兵を挙げさせるほどの力などない 力などない 南詔に兵を挙げさせるほどの力などない これはすべて偶然だ ただの偶然だ 大雍の運命が 変わろうとしている 太子殿下、ご到着! 臣は父皇に拝謁いたします 父皇のご多幸をお祈り申し上げます 面を上げよ 父皇に感謝いたします 太子よ 朕が今日、なぜお前を ここへ呼んだか、分かるか? 愚かな臣で申し訳ございません 父皇、どうかお教えください 南境から緊急の知らせがあった 南詔の国境に十万の兵が増強され そのうち二万の精鋭騎兵は 祁淵大将軍が自ら率いているという 祁淵? 南詔国のあの不敗の大将軍か? 不敗の大将軍か? 南詔がまさか彼を派遣してくるとは? 彼らは一体何を企んでいるのだ? 父皇 我々大雍と南詔は これまで互いに干渉せず 前回の戦はもう十五年前のこと 十五年前のこと なぜ彼らは突如として兵を増強したのでしょうか? それは他でもない お前に良い王妃がいるからだ 傾雪? 傾雪と一体何の関係があるのですか? 一体何の関係があるのですか? たかが医女です 南詔国の皇太后が お体が思わしくなく、長らく治療を受けても回復しないそうだ 回復しないそうだ 我々大雍の晋王妃の医術が精妙で 死人を蘇らせると聞き及んだらしい 聞き及んだらしい そこで使者を送ってきて 晋王妃に南詔へ赴き 皇太后を診察してほしいと請うてきたのだ 南詔が十万の兵を増強したのは まさか傾雪を 南詔へ行って 皇太后の病を治させるためだったというのか? 太子殿下は まさか王妃を手放したくないのでは? まさか! 太子殿下は大雍の皇太子として 当然大局を重んじられるでしょう 重んじられるでしょう それにしても 南詔が今回兵を増強したのは ただ治療を求めるためだったと知って 我々は喜ぶべきです 喜ぶべきです 大雍と開戦するためではなかったと もしそうであったなら、祁淵大将軍がおり 精兵十万を加えては 我々大雍は 手の施しようがなかったでしょう まさか晋王妃の医術がこれほどまでに精妙で 南詔国でさえも 千里の道をはるばる治療を求めて来るとは これほど賢い妻を得たのは 太子殿下にとって そして我々大雍にとっての福運です 一人の命を救うことは 七層の仏塔を建てるよりも尊い ましてや 相手は南詔国の皇太后 身分も高貴です 道理から言っても 晋王妃が治療に行くべきだ 皇太子、どうしたのだ 私の失態です 父上、お許しください 先ほど 南境のために集めた兵糧に 問題が起きました 先ほど突然 南詔が10万の兵を増員したと聞き 私はてっきり 南詔に良からぬ企みがあるのだと ところが まさか治療を求めるためだったとは 私は一時的に気が緩み 失態を演じてしまいました 父上、お許しください 立て ありがとうございます、父上 民を思う心があるのは 良いことだ 今回は そなたが手柄を立てる絶好の機会だ そなたと晋王妃は一心同体 もし今回、晋王妃が 見事に治療できれば 南詔国の皇太后の病をな 朕はこの機に 南詔と条約を結び 両国が友好関係を築けば 民は安寧を得る ゆえにこの件は 失敗が許されぬ 承知いたしました ならば 晋王妃を参内させよ なぜまだ来ない そうだな、随分経つのに 晋王妃はなぜまだ来ないのだ もう 一刻(約2時間)も過ぎたぞ 陛下をこれほど待たせるとは この晋王妃も ますます大胆になったものだ 晋王妃、お成り 陛下 晋王妃、これは 南詔からの国書で そなたを名指しし 皇太后の治療を求めてきたことを知り 父上の前で これほど好き勝手に振る舞っているのか? 晋王妃 まさか父上がそなたを 正妃から側妃に降格させたことを根に持っているのか? 根に持つ? 睿王のお言葉は少々公平さに欠けますわ 信義に背いたのは私ではありません 前言を翻したのも私ではありません 今、皆の前で 私を責めるとは ずいぶんともっともらしいですこと 無礼者! よくも殿上で戯言を申したな 大口を叩きおって 朕がそなたを 罰しないとでも思うか ここ数日、噂が広まっています 晋王妃は父上が 彼女を側妃に降格させた件について 多くの不満を抱いていると 私は当初 誰かが意図的にデマを流しているのだと しかし今見るに 根も葉もない噂ではなかったようだな 晋王妃は皇太子の 命の恩人ではあるが 所詮は低い身分の出 皇太子の側妃になれただけでも 高望みというもの どうして父上に恨みを抱けるのか 全くもって大逆非道だ もうよい そなたたちが思うようなことではない 皇太子殿下はご存じないでしょう 先日 晋王妃と次期皇太子妃が 不仲であるという噂は とっくに市中で 大騒ぎになっていますわ もし事実でなければ 火のない所に煙は立ちませんわ 傾雪 南詔国の皇太后が重病で そなたを名指しで南詔に呼び 治療をさせたいそうだ 分かっている 南詔と大雍は千里も離れている そなた一人の女子を他国へ行かせるのは 確かに酷なことだ 皇太子殿下 国のために尽くすのは 私たち大雍の 全ての民の務めです なぜそんなに説明なさるのです? まさか晋王妃が 勅命に背くとでも? 傾雪 約束する そなたが南詔国へ行き 彼らの皇太后を治療してくれるなら 私は 雲雪瑶との婚約を取り消す これより そなたが私の唯一の妻だ そなたと雲雪瑶の 婚儀は朕が自ら与えたものだ 朕の金言は どうして取り消せようか ましてや 蕭傾雪は そなたの王妃であるだけでなく 彼女は 我ら大雍朝の民でもある 朕の勅命を 彼女に拒む権利はない 晋王妃 そなたはすぐに戻って支度をし 三日後に南詔へ向かえ 朕は皇后に そなたのために 随行の侍女や従者を選ばせる 陛下のお話は終わりましたか そなた 私は体調がすぐれません そんな遠い場所へは行けません 陛下、どうか別の人をお探しください 何だと? 行けないと申しました 長旅の苦労もしたくありませんし ましてや 陛下の一言で 一人で南詔へ行き危険を冒したくありません 蕭傾雪、無礼者! 勅命に背くとは そなたは 首が要らぬのか 私は行きません 誰にも私を強制することはできません 蕭傾雪は勅命に背いた 法によれば 傾雪 傾雪 すべては私の過ちだ もう私に腹を立てないでくれ 頼む 約束する 今世も 来世も そなたはこの裴子琰の 唯一の妻だ 後で朝議が終わったら 雲家へ行き 雲雪瑶との婚約を破棄する 後ですぐに婚約を破棄する お嬢様 彼の罠にはまってはいけません この男は信義に背き 口からでまかせばかりです そうだ、後で 後で雲家へ行き 雲雪瑶との婚約を破棄する これより そなたはこの裴子琰の 唯一の妻だ もう誰も 代わりにはなれない いいでしょう あなたの誠意を待ちます 傾雪 承知してくれたのだな 私が雲家へ行き 雲雪瑶との婚約を破棄すれば もう私との離縁を騒ぎ立てず 大人しく南詔へ行き 彼らの皇太后を治療してくれるのだな 皇太子 勅命に背けぬと知りながら なぜ彼女と条件交渉などする 朕が自ら与えた婚儀を そなたが勝手に破棄できると思うか 雲大将軍が我ら大雍のために どれほどの功績を立てたか そなたがそのような仕打ちをすれば 彼の一人娘に対してだ 雲大将軍の心を 冷やしてしまうとは思わぬのか どうやら あなたでは決められないようね ならば… 父上 どうか人払いをお願いします 私からご報告すべき大事がございます 晋王妃は大逆非道であり 朕に不敬を働いた 禁足を申し付ける 朕の勅命なくして 晋王府から出ることを禁ずる 失礼いたします これって軟禁と同じじゃない どうして 明月 まずは私と帰りましょう でも お嬢様… 安心して そう遠くないうちに 彼らが自ら王府に来て 私に出てきてくれと頼むわ 行くわよ 申してみよ 何をご報告すると 父上 私は 南詔国の皇太后の病の件に 何か裏があるのではないかと 裏がある? どういうことだ 傾雪は医術に長けていますが 彼女は決して 天下に名を知られた神医ではありません 南詔国はどうやって知ったのか 彼女が医術を使えることを そしてどうやって確信したのか 傾雪なら必ず治せると 彼らの皇太后の病を そなたが言うには 治療はただの口実だと? 恐らくは 彼らの狙いは別の所にあるかと 治療は偽りで 大雍を攻め落とすのが真の目的です 父上、お考えください 傾雪は我ら大雍朝の 晋王妃です 身分も高貴 どうして人前に出て 軽々しく他人の病を治療しましょうか 傾雪が南詔国へ行くことを承諾せず 彼らの皇太后の治療を断れば 南詔はそれを口実に事を起こすでしょう 我ら大雍と南詔では 兵力に差がありすぎます もし戦になれば 必ずや敗れるでしょう そなたの言う通りなら これは必敗の局か 必ずしもそうとは 目下 傾雪に南詔へ行くことを同意させ 彼らの皇太后の病を治療させることだけが この局面を打開する道です 傾雪が応じさえすれば 彼女が治せようと治せまいと 彼らの皇太后の病を それは 我ら大雍の誠意を示すことになります もしその上で 彼らがなおも大雍に兵を向けるなら 必ずや天下の人々から 軽蔑されるでしょう この件はそなたに任せる 必ずや蕭傾雪を承諾させ 彼らの皇太后を治療させよ はい、私が必ずやこの件を成し遂げ 父上にご心配はおかけしません よろしい、下がれ 失礼いたします 皇太子殿下 殿下がお越しとは存じ上げず お出迎えもできず どうかお許しください どうかお許しください 立て 立て はっ、殿下 殿下がこの度お越しになったのは 兵糧集めの件でございますか 違う 私は来たのだ 婚約を破棄しに 何ですって? 皇太子殿下 今おっしゃった婚約破棄は 本当ではないですよね? 私に冗談を言っているのですよね そうですよね? 冗談ではない 雪瑶 そなたと私は釣り合わぬ 皇太子殿下 この婚儀は陛下がお与えになったものです 都中に知れ渡っています 今この場で婚約を破棄されれば 雪瑶は合わせる顔がありません 今後 どの殿方が 彼女を娶りましょうか 雪瑶を破滅させるおつもりですか 確かに私が雪瑶に申し訳ない 雪瑶 安心せよ 私はそなたのために 別の縁談を探そう 必ず盛大に嫁がせて みせよう 嫌です 私があなたを慕っていると知っているくせに 陛下もとっくに 私たちに婚儀をお許しになった 私はあなたの許嫁ですよ なのに私を他人に押し付けるなんて なぜそんなに酷いことができるのです 雪瑶 雲少将軍 雲少将軍 私が今日来たのは 口頭で婚約を破棄するためだ ご安心を この縁談は父上がお決めになったもの 誰も背くことはできません 皇太子殿下 どういう意味でしょうか 此事に関わる者が多く 多くは語れぬ 安心せよ 私の皇太子妃は 雪瑶ただ一人だ 先ほどは取り乱しました 殿下 どうかお許しを 皇太子殿下 ご安心ください 兵糧の調達の件は 私が必ず責任を持ちます たとえ家財を売り払ってでも 必ず 国境まで安全に送り届けます 分かった この件で 雲家に多大な迷惑をかけた だが安心せよ 私は必ず雪瑶に 倍にして返す 殿下のそのお言葉があれば たとえ火の中水の中でも 厭いません この件は 私は決して 他人に知られたくない 皇太子殿下 ご安心を 必ず口外いたしません もちろん雪瑶にも目を光らせ 外出させ騒ぎを起こさせません よろしい 私にはまだ用事がある では失礼する 皇太子殿下 お気をつけて あなたの負けよ また負けちゃった お嬢様 さすがです 私が十人いても お嬢様の相手になりません お世辞がうまいわね 傾雪 傾雪 もう一局 傾雪 先ほど 雲家へ婚約破棄を伝えに行った 婚約破棄が私と何の関係が? 言ったではないか 雲雪瑶との婚約を破棄すれば 私と離縁しないと おとなしく南詔へ行き 太后の病を治すと いつ私がそんなことを言ったの? 最初から最後まで あなたの 一方的な思い込みにすぎない 私をだましたのね 先に私を利用したのはそっちよ 私はただ目には目を 歯には歯をってだけ 裴子琰 胸に手を当てて考えてみなさい もし南詔国から文が来て 私を名指しで 太后の治療に当たらせろと 言われなければ なぜ下手に出て 私に話しかけてきたの? あなたたち大雍の皇室は ろくな者がいない 信義を裏切り恩をあだで返す 私が過去を水に流して 南詔に使者として赴き あなたたちの名声を高めるとでも? 夢を見るのも大概にして お前… 蕭傾雪 お前は私が 何もできないとでも? いいだろう 見ていてやる 何日耐えられるか 者ども 皇太子殿下 私の命を伝えよ 霜雪院は 今日から食事を禁ずる 背く者がいれば 容赦なく殺せ 裴子琰 この人でなし! よくも食糧を差し止めたわね… よくも食糧を差し止めたわね 裴子琰 裴子琰 後悔しないといいわね 今日のあなたの決断を 私が最も後悔しているのは 私が普段 お前を甘やかしすぎたことだ 好き放題にさせ 大胆不敵にさせた お前が一日でも 南詔への派遣に同意しなければ ここから出してやらぬ せいぜい反省するがいい 言ったではないか 必ず蕭傾雪を説得し 南詔へ派遣して 太后の病を治させると もう二日も経つぞ どうなった 皇太子が晋王妃を 部屋に閉じ込め しかも食べ物も飲み物も 与えていないとか どうなっていることやら もし彼女に 万が一のことがあれば 我々は一体どうやって 南詔国に説明するのだ 南詔国の太后は 我らが晋王妃が 助けに来るのを待っているのだぞ ろくなことができない役立たずめ 晋王妃を朕の前に連れてこい 陛下 何事だ そんなに慌てて 何事だ そんなに慌てて 南詔の… 南詔国の大将軍 祁淵が 城門の外で晋王妃との面会を求めています 南詔国の祁淵が 三千の精鋭を率い 晋王妃との面会を求めて参った 城門を開け 我が軍を迎え入れよ 彼が祁淵か 南詔で名高い 戦神将軍 まさかこんなに若いとは どうすればいいのだ 晋王妃は今や生死も分からぬ もし晋王妃に 万が一のことがあれば 南詔は 我々に怒りを向けるだろうか 皆さま もう数日お待ちいただきたい 晋王妃は体調がすぐれず 長旅に耐えられません 私が自ら彼女を南詔へ送り 太后様を治療させます 今日 晋王妃に会えねば 今日 晋王妃に会えねば 我が軍の鉄騎は 必ずや大雍の宮門を破り 都を血で洗い 草一本残さぬ 宮門を破り都を血で洗うだと? お嬢様 お嬢様 文が来ました 明月 荷物をまとめて 家に帰る準備を やっと帰れるのね すぐに荷物をまとめます 王妃様 王妃様 どこですか 雲家のお嬢様がお見えです この下女 どきなさい お嬢様 今回は 思う存分やってもいいですか もちろん 向こうから乗り込んできたのだから たとえ死なせたとしても 誰のせいでもない はい 蕭傾雪という女はどこだ 出てこいと言え 王妃を罵るとは目下の者が もう一発お見舞いしてやる この下女め よくも私をぶったな 私を罵るなど 当然の報いだ あんたたち突っ立ってないで こいつをぶちなさい あなたたち… お前… 蕭傾雪 皇太子をそそのかして 婚約を破棄させるなんて なぜ出てきて会おうとしない この度量の狭い 性悪女め 化けて出てやる 死にたいのね 望み通りにしてあげる 何をしている 何をしている 皇太子殿下 どうしてこちらに? 私とお嬢様が元気で あなたに餓死させられていないのを 見てがっかりした? 皇太子殿下 私のために裁きを なぜここへ来た 私は… ただ蕭傾雪に はっきり聞きたかったのです あなたと私の婚約は 陛下がお許しになったもの なぜ彼女が不満を言うのです あなたを脅して婚約を破棄させたと もうよい そなたとの婚約破棄は私の考えだ 傾雪とは無関係だ お嬢様を連れて帰れ 雲少将軍によく見張らせろ もし次があれば 決して容赦はせぬ 皇太子殿下 見えないのですか この顔の傷が 全てあそこの下女にやられました 私のために仕返しもせず それどころか 彼女たちをかばってばかり 私の言葉が聞こえぬか 今すぐお嬢様を… はっ 皇太子殿下 帰りません 帰りません 離して 行け 皇太子殿下 こんな仕打ちひどいです 皇太子殿下 傾雪 明月の好きにさせているのか 雪瑶はいくら何でも 輔国大将軍の令嬢だ 身分も尊い 皇太子殿下 もし雲雪瑶のために 仕返しをしたいのなら お帰りください 傾雪 傾雪 傾雪 南詔の使者が到着した 今 城門の外にいる そなたに会いたいと名指しだ 私と共に行き 彼らを城に迎え入れよ 行かない 傾雪 機嫌を損ねるな 大局を考えてくれ 頼む それが人に頼む態度? うちのお嬢様に頼み事をするなら せめてひざまずくべきでは? 明月の言う通りね 頼み事にはそれなりの態度がある 男の膝は黄金のように貴重だと言うけれど それなら あなたの誠意を見せて 裴子琰 本当に臨機応変なのね これで満足か 今すぐ私と 南詔の使者に会いに行くぞ あなたと一緒に行きたければ 南詔の使者に会ってもいい まずこの離縁状に そして皇帝と皇后に 文武百官の前で この離縁状に 玉璽と鳳印を押させて さらに皇后が 自らこの離縁状を持って来て 私に離縁を懇願させる どれか一つでも条件が 私は決して 南詔の使臣に会いに行かない ましてや 彼らの太后の病気を治すことなど 本当にここまで私を追い詰めるのか 雲雪瑤を妻に迎えるのは 一日も早く 太子の座に就くためだ お前にこれ以上軽蔑されないように 私が無情だと言おうが しかし私と雲雪瑤の間には 私にとっては 私にとっては お前は私・裴子琰の心中で 唯一の妻なのだ 唯一の妻なのだ もし私が将来無事に即位できれば この皇后の座は 必ずお前のものだ 裴子琰 ここでそんなことを言うのは さもなければ もし南詔の使臣が なかなか私に会えず あなた方が故意に怠慢にしていると誤解したら その結果は想像を絶するものになるだろう 私は聞いたよ 南詔は今 国境に十万の兵を駐留させていると 勢いがすごい 一日夫婦百日の恩と言うだろう 皆私を死に追いやろうとしている あなたの心は 泥棒が泥棒を呼ぶ 明明冷酷なのは彼なのに 信義を裏切ったのも彼なのに 今、お嬢様は ほんの小さな要求を出しただけなのに 彼はもう耐えられない お嬢様 あの裴という男は お嬢様の要求を満たしてくれるでしょうか 大雍皇室は面子をとても重んじる たとえ面子を最も重んじる人でも 死は恐れるものだ 皇后はすぐに 離縁状を持って 私に裴子琰との離縁を懇願しに来る 多からず少なからず ちょうど十日 太子殿下、到着 どうだ 事はすべてうまくいったか 父上 祁淵が三千の精鋭を率いて 城門の外に駐留している もし傾雪に会えなければ 我が大淵に兵を向けるという とんでもない 南詔は本当に我々を侮辱しすぎている もし我が大雍の国庫が豊かで 兵力が強大ならば 朕はどうしてここまで人に制約されることがあろうか 父上 今は傾雪に 南詔の使臣との面会を承諾させて 我が大雍はこの難を逃れることができる しかし傾雪は 彼女はどんな条件を出したのか 傾雪は 私に要求したのは 彼女が書いた離縁状を もう一度書き写すこと さらに父上と母后に 文武百官の面前で 玉璽と鳳印を押させ さらに母后が 自ら離縁状を彼女に届け 離縁を懇願することだ 我が大雍が建国されて以来 皇族が離縁した前例はない それなのに彼女は朕と皇后に要求するとは 文武百官の面前で 我が皇室の面目を 今は情勢が切迫している まず承諾するしかない あなたたち二人に離縁を認める そうして初めて南詔を 私は傾雪と離縁したくない あなたは大雍の太子だ 男女の情愛ばかりにこだわるな 国家の大事を重んじるべきだ 朕はあなたに厚い期待を寄せている 朕はあなたに厚い期待を寄せている どうか朕を失望させないでくれ 母后 琰児が来たのね 王嬤嬤 早く台所に準備させて 琰児の好きなお菓子を はい、娘娘 母后、結構です 今日、私が参りましたのは 母后にこの離縁状に 鳳印を押していただくためです さらに自ら離縁状を 晋王府に届け 傾雪に私との離縁を懇願していただくためです 何ですって 琰児 本宮に冗談を言っているのでしょう 南詔が今、城門に迫っている もし彼らが傾雪に会えなければ 兵を挙げて城を攻めると言っている 我々は今 傾雪の要求を承諾する以外に 選択の余地はない なんと「選択の余地はない」だ あの蕭傾雪に何の徳があるというのか 母后 どうか大局を重んじてください 母后 もういい 太子がここまで執着するなら 本宮は面目を捨てて 太子のためにこの一歩を踏み出そう 鳳輦の儀仗を整え 母后を宮中から送り出せ 母后はどうかご安心を どうやら 皇帝と太子の決意は固いようだ 本宮は今すぐ 晋王府へ行ってくる 私が 私が母后と一緒に参ります 母后 明月 これらの本もきちんと片付けて はい 王妃 皇后娘娘の儀仗が もう到着しました 王妃は出迎えてください 出迎えろだと うちのお嬢様は今忙しいんです 皇后娘娘 もしうちのお嬢様にお会いになりたいなら ご自身で歩いて入ってきてください もしお嫌なら それでは皇后娘娘には お引き取り願います 王妃 ありのままお伝えください もし皇后娘娘が本当に私に会いたいなら ご自身でここまで来てください 晋王妃、なんて威張っているんだ 皇后と太子以外は 他の者はみな庭で待っていてください 部屋は狭いので そんなに多くの人は入れません あなた 母后 お前たちはみな庭で待っていろ 私の命令がない限り 誰も入ってはならない はい 蕭傾雪 本宮に会ってなぜ礼をしないのか どうやら皇后娘娘は 今日は私に威厳を見せに来たようだ それならば お引き取りください 不届き者 蕭傾雪 本宮に無礼を働くとは 本宮がお前を罰すると思わないか 皇后娘娘 皇后娘娘は まだ状況を 理解していないようだ あなた方が今日来たのは 頼みごとがあるからだ 人に頼むなら 頼む態度を見せなさい どうして あなた方が人に頼みごとをしておきながら うちのお嬢様に 三跪九叩の礼で迎えさせようというのか まったく笑わせる この卑しい下女め 母后、母后 母后 母后 離縁の件は失敗が許されない どうか母后は大局を重んじてください よし、よし 太子が書き写した離縁状を 持って来い 晋王妃に署名を願う これから彼らは男女それぞれ 一切関係ない 王妃、ご覧ください よく目を見開いて見なさい 離縁状にある子琰の名前 本宮の鳳印 そして皇帝の玉璽 すべて揃っている すべてあなたの要求通りに 十分に整えた あなたが受け取ったら これ以上我々を困らせないでくれ 素直に南詔に行って 彼らの太后の病気を治してくれ 皇后娘娘 これが人に頼む態度ですか 傾雪 まさか母后に 低声で跪いて 懇願させようというのか 母后は一国の皇后として 身分が尊い たかが一国の皇后にすぎない 何が尊いというのか たとえ彼女がうちのお嬢様に 三跪九叩の礼をしても うちのお嬢様は絶対に受けるに値する 逆らうとは、本当に天を逆らうとは 母后 あなたを側妃に降格させたことは 我々があなたに申し訳なかった 本宮がお願いする 子琰との離縁を承諾して 南詔の使臣と一緒に南詔へ行き 彼らの太后の病気を治してくれ 両国の国境を 民衆に平穏を取り戻してくれ 明月 筆墨を準備しろ はい、お嬢様 大切にしまっておけ はい、お嬢様 皇后娘娘の離縁状、ありがとうございます 裴子琰 これから私たちは橋は橋 道は道 二度と会わない 傾雪、もっと早く歩いてくれ 南詔の使者はもうずっと待っている もし南詔の使臣に誤解されて 我が大雍が故意に怠慢にしていると思われたら ご安心ください うちのお嬢様が現れさえすれば あの南詔の使臣たちを 皆おとなしくさせて 服従させてみせます 明月 これから南詔の使者の前では 少しは控えめにした方がいい もしあなたがまたこのように勝手気ままに 口を慎まず 私がたとえ天雍の太子として貴くても あなたを救うことはできない 天が崩れ落ちても うちのお嬢様が支えてくれます 太子殿下には ご心配なく あなたは彼女を注意しないのか もし彼女がまたこのように勝手気ままに 口を慎まなければ 南詔の使臣の怒りを買うかもしれない 私はむしろ 明月のような真っ直ぐな性格は 貴重だと思う 利益に目がくらみ 信義を裏切る小人よりは 太子殿下 晋王妃、やっと来られましたね お役人様、間違えました うちのお嬢様は もう太子殿下と離縁しました これからうちのお嬢様にお会いになったら もう彼女を 晋王妃などと呼んではいけません はい それでは老臣はあなたを蕭大夫と呼びましょう 蕭大夫 本当に私たちをずいぶん待たせましたね ご存知ですか、南詔の使臣は すでに城門の外で まる三時間も待っているのです もしあなた一人のせいで 南詔が大雍に怒りを向けたら 聞くが その罪をあなたは背負えるのか あなたたちがうちの姫君に頼み事をしておきながら 態度がこれほど横柄だとは 大雍の皇室は やはりろくな者がいない この卑しい下女めが よくもここででたらめを言えるな 覚悟はいいか 今の急務は 南詔の使臣に傾姫に 蕭大夫にお会いいただき 彼らを城内に迎え入れることだ この件は重大な問題だ 手違いがあってはならない 承知いたしました 祁凰長公主にご挨拶 殿下、千歳千歳千千歳 祁凰長公主にご挨拶 殿下、千歳千歳千千歳 平身 南詔の将士一同、命令を聞け 即刻、本宮に従い 大雍皇帝への謁見に参じるのだ 手違いがあってはならない 末将、謹んで命を承る どうか太子殿下には 城門を開けていただき 我が南詔の将士を城内へとお導きください あなたが南詔国の長公主? そんなはずがない そんなはずがない あなたはただの 小さな医女だったはずだ 本宮は確かに 南詔国の長公主、蕭祁凰である 偽りはない なぜ なぜもっと早く教えてくれなかったのだ もし父上が知っていたなら あなたが南詔国の長公主だと 私に 雲雪瑤との縁組を命じることはなかった ましてや彼女を太子妃に立てることもなかった 私たちがこんな 行き詰まることもなかったのに どうした 太子殿下 後悔しているのか 傾雪 あなたは分かっているはずだ 私が最も愛しているのはあなただけだと ただ父上のご意向であり 従わざるを得なかったのだ しかし今は良くなった あなたは南詔国の長公主 身分が尊い もう誰も あなたが私にふさわしくないとは思わない さあ、今すぐ宮中へ参内しよう 父上に私たち二人の縁組を命じていただくのだ 今後、私はあなたを 盛大に花嫁として迎え入れよう すべての人に知らしめよう あなたが私、裴子琰の唯一の妻だと 我が大雍の 唯一の太子妃だと そんな 深い愛情を見せるふりはやめなさい あの時 あなたはうちの姫君が 権力も地位もないと思い 彼女を塵芥のように捨てた 今になって彼女の身分が尊いと知ると また彼女にしがみつく まったく吐き気がするわ ここででたらめを言うな 孤はあなたに一途な思いを寄せている あなたと離縁したのも孤の本意ではなかった あなたと離縁したその時から 孤は後悔し始めたのだ あなたが後悔しているのは私を失ったことではなく 失ったのは 本来あなたのものだったはずの駒だ もし私があなたの側に留まっていたなら 私の南詔国 長公主という身分があれば あなたは必ずやこの太子の座を盤石にできたはず 私の言う通りだろう 裴子琰 あなたのその計算高い顔つきは 本当にうんざりする 孤があなたの心中で これほどまでに卑しい存在だとは知らなかった しかし構わない 今後、孤はあなたに倍以上の愛情を注ごう 孤の苦労を分かってもらおう 今すぐ父上に 私たちの縁組を命じていただこう 姫君から離れなさい 下がれ 明月 大丈夫か 裴子琰 あなたは気が狂ったのか 狂ったのだ それはすべてあなたが追い詰めたのだ 離しなさい 私を離しなさい その汚い手を離しなさい 離しなさい 蕭姉さん、大丈夫ですか 大丈夫です 裴子琰、見たか 祁淵大将軍こそが うちの姫君の良縁なのだ あなたなんて塵芥同然だ あなたたちは とっくに内通していたのか 道理であなたはいつも 私と離縁したがっていたわけだ 蕭傾雪 よくも私を裏切ることができたな 裴子琰 私があなたと離縁したのは あなたが信義に背いたからだ 他人とは関係ない あの時あなたは約束した 一生側室を置かないと それで私はあなたとの結婚を承諾したのだ 思いもよらなかった 私たちが結婚してまだ二年も経たないうちに あなたは雲雪瑤を娶ろうとし 私たちの過去の約束を すべて捨て去った しかし古来より 三妻四妾は当たり前ではないか 太子、そのお言葉は間違っています 私は長公主に長らく思いを寄せておりました もし彼女を妻に迎えることができれば 私はこの生涯、決して側室を置きません もしこの誓いに背くことがあれば 私は自ら天に打たれ雷に焼かれ 無残な死を遂げましょう 傾雪は私の妻だ 我が大雍朝の太子妃だ あなたが妄想することを許さない ここには太子妃などいない いるのは我が南詔国の 長公主だけだ もしこれ以上長公主に無礼を働くなら 容赦はしない あなた 太子殿下 今、南詔の十万の精鋭兵が 国境に駐屯し うごめいている どうか我慢してください もし万一彼らを怒らせてしまったら 結果は計り知れません 時分も遅くなりました どうか太子殿下には 城門を開けていただき 我が南詔の将士を城内へお迎えください 本宮は自ら謁見いたします あなたがた大雍の皇帝に 承知いたしました 城門を開け あなたたちはここで待機せよ 祁大将軍は本宮に従い 殿中で皇帝に拝謁する 属下、謹んで命を承る 晋王妃、参内 その犬の目を大きく見開け あなたの目の前にいるのは 南詔国の長公主、蕭祁凰だ 晋王妃などではない もう一度間違えて告げるなら その犬の命をいただく 承知いたしました 南詔国祁凰長公主 大将軍祁淵、参内 南詔国の長公主 なぜ彼女が来たのだ この南詔国の長公主は 南詔国の 準帝位継承者だ 滅多に国を出ることはない 今日はなぜ来たのだろう 南詔国の太后が危篤状態で 医者を求めるために 来ざるを得なかったのだ 我が大雍は 今回は晋王妃のおかげで 南詔からこのような礼遇を受けたのだ 晋王妃は まさに我が大雍の功臣だ 皇后 今回は朕もお前も見誤った この蕭傾雪は あの雲雪瑤よりも はるかに有能だ 彼女はすでに太子と離縁している さもなければ 必ずや太子のものになっていただろう もし彼女が本当に治すことができれば 南詔国の太后を 大功と認められるだろう その時には 皇帝がご裁断を下し 彼女を太子妃に立てればよい しかしこの離縁は 彼女自身が口にしたことだ 寵愛を争う手段に過ぎない 皇帝、ご覧ください もし彼女が知れば あなたが彼女を太子妃に立てる意向だと 彼女は決して拒まないだろう むしろ感謝して喜ぶに違いない 南詔国長公主蕭祁凰 大将軍祁淵を伴い 大雍皇帝に拝謁する 祁凰長公主 あなたはまさか あなたがまさか南詔国の長公主だったとは これは この度は 皇帝陛下 そして皇后様にご心労をおかけしました 本宮は南詔の長公主 当代南詔天子の実妹 蕭祁凰である 本宮は三年間身分を隠しており 貴国に多くのご不便をおかけしました どうか皆様、大目に見てください 思いもよらなかった 南詔国の長公主が 大雍の晋王妃だったとは 太子殿下は本当に幸運だ 祁淵 明月 皆様にご覧いただきたい 私は貴国の太子、裴子琰と すでに離縁しております 以前の蕭傾雪であれ 今の蕭祁凰であれ 彼、裴子琰とは 何の関係もありません 次に 本宮は皆様と 貴国の太子の 治療代について話し合いたい 本宮はまず一年をかけて 貴国の太子を 鬼門関から救い戻した さらに二年をかけて 彼の体を調子よく整えた この三年間 あなた方は一文の治療代も支払っていない そこで本宮は決めた あなたがた大雍の南境にある 姜岐、昔帰、福安の 三つの城を 本宮の 貴国太子治療の報酬として頂く 皇帝陛下 何かご異議はないでしょうね あなた、あなた 三つの城とは これは法外な要求ではないか 陛下 いけません 臣は絶対に同意しません 皆様、お急ぎにならずに 明月、請求書を持ってきなさい 本宮にはもう一つ請求書がある 皆様にご覧いただきたい 二年前から あなたがた大雍に提供した兵糧は 合わせて八百余万両の銀に上る 八、八百万 八、八百万 八百万もそんなに 多すぎるのではないか そうです 当初はあなたが自ら治療を申し出たのだ その通り 本宮は確かに 自らあなたの治療を申し出た しかし自ら申し出たからといって 報酬を受け取らないわけではない まさかあなたがたの太医院の医師たちは 俸禄も取らずに診療しているのか 太医院が医師に与える俸禄は それほど高くはない あなたがた大雍の医師は どうして私たちの長公主と 同等に扱えるというの? 大雍王朝の太子は とっくに命を落としていたはず 今となっては、ただあなた方に 3つの城を治療代として求めるだけなのに それすらも嫌だと言う どうやら、そなた太子の命は それほど価値がないようだな 長公主 あの時、彼を助けなければよかった 損をしましたね 傾雪(けいせつ) 私とお前は離縁したが とはいえ、我々は夫婦だったのだ 一日の夫婦は百日の恩 なぜそこまで 冷酷なことができる? 6つの城 もしこれ以上絡んでくるなら この私が求めるものは これだけでは済まないぞ 蕭祁凰(しょうきこう)、あんたはひどすぎる この私は考えを変えた この私は城一つも要らない 裴子琰(はいしえん)、あんたの命を奪う あんた… 私を死地に追いやるつもりか この3年間の情は 顧みないというのか? 長公主 これ以上彼に構う必要はありません 私が今、彼を殺します それで全て解決です やめて、太子を殺さないで 太子を殺さないでください 長公主様 どうかご慈悲を 太子を殺さないで 早く何か言ってよ 長公主に命乞いして 母上 何か言ってください 何を突っ立ってるんだ 本当に命が惜しくないのか 母上 この件にはもう口出ししないでください 私見ですが 太子は命をもって 祁凰長公主にお詫びすべきです 太子はお前の兄だ どうしてそんなことが言えるんだ 私はただ 正直に言っているだけです 3年前 もし祁凰長公主が 助けてくれなければ 太子はとっくに死んでいたはず 長公主は彼に恩があるのに 彼は恩返しをするどころか 恩を仇で返した 長公主を正妃から 側妃に降格させたのです 彼のような 不人義な小人は 死んでも惜しくない お前! 武王の言う通りです 父上、私見ですが 太子は 祁凰長公主に処分を任せるべきです ならぬ! 皆、黙りなさい お前たち一人ひとりが 太子の地位を長い間狙っていたことなど この私が知らぬとでも思ったか? お前たち… 南詔の力を借りて 太子を排除しようと企んでいるのだ そうだろう? この私が言っておこう 夢にも思うな この私が生きている限り お前たち誰も 私の琰児(えんじ)を傷つけることはできない 母上 祁凰長公主殿下 私が間違っていました 私が至らぬばかりに あなたを侮辱してしまいました どうかご慈悲を 命だけはお助けください 琰児(えんじ) 裴子琰(はいしえん) 後悔したの? 後悔しています 傾雪(けいせつ)、本当に後悔しているんだ 琰児(えんじ) 母上 全てこの私の過ちです 雲雪瑶(うんせつよう)を太子妃にしたのは この私の考えでした 太子は最初は断固拒否しましたが この私が死を覚悟で迫ったため 彼は受け入れざるを得なかったのです あなたたちは夫婦だったのだ 彼の人間性を一番よく知っているのはあなたでしょう 彼は決して 恩知らずの人間ではありません あなたたちが結婚して2年間 彼はどんな女性にも手を出さず 側室さえ持たなかった 蕭傾雪(しょうけいせつ) 恨むなら この私を恨みなさい あなたが太子を許してくれるなら この私は死んでも構いません 母上 そんなこと言わないでください 私が傾雪(けいせつ)を裏切ったのです 私が約束を破ったのです 私が裏切ったのです 彼女の真心を もしこの私が 今日、南詔の長公主でなかったら あなたたちはまだ 過去にしたこと全てを 悔い改めていたでしょうか? 父上 父上 私見ですが 皇后様は心が狭く 見識が浅い 一国の王妃には相応しくありません 父上 どうかまず皇后を廃し お前! それから太子を殺して 南詔の長公主に報いを与えるべきです 何だと? あなた… どうやら大雍にも ようやく物分かりの良い人物が現れたようだな 祁凰長公主殿下、ありがとうございます 陛下、とんでもないことです! もし祁凰長公主の言う通り 太子を斬殺すれば 我が大雍の尊厳はどこへ行くのですか? もしあなた方が 祁凰長公主の要求を飲まないのなら 我々南詔は直ちに出兵する 半月も経たずに 必ずやあなた方大雍を滅ぼすだろう 祁(き)大将軍 話し合いましょう 何でも交渉できます 交渉の余地はない この3年間 あなた方大雍皇室が 祁凰長公主に対する態度を 我々は全て見てきた あなた方が手のひらを返し 我々長公主の 一片の真心を踏みにじったのだ 彼、裴子琰(はいしえん)は たとえ100回死んだとしても 我々長公主が かつて受けた傷を償うことはできない 祁(き)大将軍 我が大雍は兵力において 南詔には及ばないとはいえ しかし両国が交戦すれば 甚大な被害を被るのは 甚大な被害を被るのは 我々大雍の 兵士と民衆だけでなく 南詔も例外ではないでしょう この将軍の3千の精鋭騎兵は 今、殿外で待機している あなた方の 大軍には及ばないが 3万、5万の兵を殺すには 十分過ぎるほどだ 信じないなら 試してみるがいい 祁(き)大将軍 南詔の兵力は強大ですが 我が大雍の将兵も ただ者ではありません もし両国が交戦すれば どちらが勝つか分かりませんぞ そうか? では今日 よく見ておくがいい 我々南詔とあなた方大雍の 実力の差がどれほどかを 令牌、三軍に命じる! 殺せ! 殺せ!殺せ!殺せ! 殺せ!殺せ!殺せ! どうだ? あなた方大雍の御林軍が この将軍の3千の精兵に敵うと 勝算があると思うか? 祁凰長公主殿下 我が大雍と南詔は これまで互いに干渉し合ってきませんでした 今回は 我が大雍があなたを裏切りました もし両国が交戦すれば 苦しむのは民衆です どうか祁凰長公主殿下 我々を見逃してください 南詔の属国となりましょう 今後は 毎年南詔に貢物を捧げます ただ祁凰長公主殿下には 太子を助けていただきたい 皇帝陛下! 父上! 皇帝陛下! 父上! 太子一人が作った借りを なぜ我々全員が 彼のために償わなければならないのですか? 雍朝の領土は決して 我々個人のものではなく それは我が大雍の 全ての民衆のものです どうしてあなたに 彼の命を救うために 我が大雍をやすやすと差し出すことができるのですか? 黙れ! 朕は一国の君主である この国は朕が与えたい者に与える お前が口を出すことではない 私はずっと言ってきたはずです 裴子琰(はいしえん)は 全く太子になる資格がないと しかし父上は あえて彼を このような役立たずを皇太子に立て 今となっては さらに彼の命を救うために 我が大雍をやすやすと譲ろうとしています あなたは考えたことがありますか? 今日のあなたの愚かな決断が どのようにして あなたを支持する民衆に顔向けできるのか いつか もし黄泉の国へ行った時 あなたはどのようにして 裴家のご先祖様方と向き合うつもりですか? お前! お前! 皇帝陛下! 皇帝陛下!皇帝陛下! 皇帝陛下! 皇帝陛下! 陛下をお守りせよ! 陛下!陛下! 父上 もし私が 罪を償いたいと 行動をもって 私の決意をあなたに示すと言うのなら どうか過去の情を 考慮して 償う機会を与えてくれませんか? 長公主は身分が高貴な方だ 立って話す資格などない お前は自分の身分を よくわきまえるべきだ 今のあんたは 跪いて 我らが長公主に話しかけるのがせいぜいだ 琰児(えんじ) 傾雪(けいせつ) あなたはただ黙って 彼が私をいじめるのを見るだけなの? 以前は 私が少しでも傷つけば あなたは心配で夜も眠れなかったのに 今となっては… 裴子琰(はいしえん) 裴子琰(はいしえん) あなたは卑しくないの? もし少しでも気概があるのなら このように卑屈に この私に許しを請うべきではない あなたは高慢な態度を 維持し続けるべきだ 結局のところ あなたは常に正論を主張し 自分が間違っているとは決して思わないのだから 傾雪(けいせつ) 私が死ななければ 許してくれないのか? 我が大雍を許してくれないのか? 今生に悔いはない もし来世があるのなら 必ずあなたを大切にする やめて 祁淵(きえん) 彼を解放して なぜ? 彼があなたにこんなことをしたのに こんなに簡単に彼を許すのか 長公主様 まさかあなたはこの裴(ぺい)という男に まだ未練があるんじゃないでしょうね? 私が思うに 彼を生かしておいても死んだ方がましな状態にすることこそ 彼にとって最高の罰よ 皇帝と皇后にひざまずく 結婚式の日なのに まだ大人しくしないつもりか 落ち着いてください きっと誰かが彼を懲らしめます 厚かましい奴め さっさとひざまずきなさい もし吉時を遅らせたら 許さないわよ 不届き者! お前のような下女が 竟(あろう)ことか太子に無礼を働くとは 私が今すぐにでも お前を罰することができるとでも思っているのか? 太子? 何が太子よ 彼は私の黄蓉(こうよう)の ただの男妾よ 私たち黄(こう)家の 子孫繁栄のためにいるだけ 陛下! 陛下! まさかこのまま 彼女が 太子を軽んじるのをご覧になっているのですか? 突っ立ってないで何してるの? さっさとやりなさい! 儀式完了! 待って まだ儀式は終わってないわ 起きてください 祁凰(きこう)長公主、ありがとうございます 私たちの仲を取り持ってくださり 長公主様 私たちの拝礼を受けてください 早く! 黄夫人、ご謙遜を 黄夫人は大雍(たいよう)の皇商(こうしょう)として 太子とは身分が釣り合っています 私が あなたたちの仲を偶然取り持ったに過ぎません 黄夫人からのこれほど丁重な拝礼を受けるには及びません 黄夫人、今や良き婿を得られたのですから 早く彼との間に子を設け、子孫繁栄に努めるだけでなく 彼をしっかり教育することも忘れないでくださいね 長公主様、ご安心ください 後で屋敷に戻ったら 彼に「三従四徳」を 全て百回書き写させます きっと心に刻み込ませます 黄夫人、夫を御する術に長けていらっしゃる 私も感服いたしました 長公主様、お笑い草です ただの取るに足らない小細工に過ぎません 長公主様 他にご用がなければ 私めはこれにて失礼いたします 春宵一刻は千金に値しますからね 何を見てるのよ さっさと行かないと 黄夫人、お急ぎなく 実を申しますと一つ 太子殿下のご臨席が必要なことがあり それがなければ終わりません 長公主様 この二つの聖旨は 皇帝陛下が もう玉璽(ぎょくじ)を押されたのですよね? では、詔を読み上げなさい 太子、詔を拝聴せよ! 奉天承運(ほうてんしょううん) 皇帝は詔(みことのり)を下す 太子裴子琰(はいしえん)は 行いが不適切で 振る舞いが常軌を逸している かつての太子の位は 本来、国家の基盤と 民衆の期待を背負うものなり しかし、その徳行には欠陥があり 国家にとっての幸いとは言えず 今、その太子の位を罷免し 庶民に貶める 衆人に戒めとするためなり しかし、その罪が極悪ではないことを考慮し 過去の過ちは追及せず 特に婚姻を賜る 大雍(たいよう)の皇商(こうしょう)である黄氏の娘、蓉(よう)に 彼女の第十番目の男妾となるべし 欽此(つつしんでこれを承る) 陛下に感謝いたします あなたたちにはもう用はないわ 下がりなさい さっさと行け 二つ目の聖旨も 一緒に読み上げなさい 睿王(えいおう)、詔を拝聴せよ! 奉天承運(ほうてんしょううん) 皇帝は詔(みことのり)を下す 朕(ちん)は天命を受け 万邦を統治する しかし、民衆の重責と 時勢の変化を鑑み 今、大雍(たいよう)は南詔(なんしょう)と 兄弟の国となることを望み 永く太平を享受する これより後 大雍(たいよう)は南詔(なんしょう)の属国となることを望む 毎年以下の歳貢(さいこう)を献上する 崑崙(こんろん)の暖玉(だんぎょく)一方 東海(とうかい)の明珠(めいしゅ)五つ 万年霊芝(まんねんれいし)三株 天山(てんざん)の雪蓮(せつれん)十輪 翡翠美玉(ひすいびぎょく)百斤 南疆(なんきょう)の良馬百頭 これら全ての貢物(こうぶつ)を 毎年絶やすことなく 誠意を示すものとする 今、国勢は新たに定まり 睿王(えいおう)に位を伝え 大統を継がせる 元号を初熙(しょき)と改める これを新君とする 朕(ちん)と皇后は今日より 太上皇太后(たいじょうこうたいごう)を尊称とし 静慈寺(せいじじ)に遷居し 心を清めて世の平安を祈り これより朝政には関与せぬ 欽此(つつしんでこれを承る) 主の恩寵に感謝いたします 皇帝陛下 これからは 私たち南詔(なんしょう)と大雍(たいよう)は まさに兄弟の国 私めは陛下と心を一つにして協力し 共に太平の世を築きたいと存じます どうか今後、国境に戦火が再び起こることなく 百姓が安らかに暮らし 国家が永く泰平でありますように 睿王よ 詔を受けなさい 祁凰(きこう)長公主、ありがとうございます 我が大雍(たいよう)は南詔(なんしょう)を尊びます この心は明らかで 天地が証人となるでしょう 南詔と大雍が 山河永遠に結ばれ、代々心を一つにすることを願う 大雍と南詔が 山河永遠に結ばれ、代々心を一つにすることを願う 陛下万歳、万歳、万々歳! 陛下に感謝いたします 奏上することのある者は進み出よ なければ退廷する 臣は奏上する事がございます 奏上を許す 陛下が即位されてから半年が経ち 天下もようやく定まりました 今、喫緊の課題は 後宮を充実させることでございます 各大貴族の適齢男子の肖像は 臣らがすでに用意しております 陛下の御覧になり、お選びになるのを待つばかりです 今はまだ朝政が安定しておらず 朕(ちん)がどうして色恋沙汰に 心を乱されてよいものか この件は一旦保留とせよ しかし陛下 退廷! 臣一同、陛下をお見送りいたします 陛下万歳、万歳、万々歳! 祁(き)大将軍 宮中に無断で立ち入るとは 罪に問われると知っているのか 末将(まっしょう)、罪を承知しております しかし末将は 陛下の悩みを解消するために参りました 陛下、どうか罪をお許しください 朕(ちん)が何に心を煩わせているか、お前は知っているのか? 末将、恐れながら 陛下は妃選びの件で お悩みではございませんか 戸部尚書(こぶしょうしょ)が 近日、陛下の為に用意したと聞きました 貴族の子息たち 王侯貴族の子弟まで 全て揃っていると ただその質が 少々心配でございます 国公府の若様は 容姿端麗で 体格も立派ですが 度胸が少しばかり小さいようで 礼部侍郎(れいぶじろう)の息子は 弁舌爽やかですが 最大の趣味が 酔仙楼へ行き 詩詩(しし)嬢の琴を聞き 彼女と酒を酌み交わすことだとか 戸部尚書(こぶしょうしょ)が朕(ちん)のために選んだのは どれもこれもろくでもない者ばかりだ あともう一人 この者は玉樹臨風(ぎょくじゅりんぷう)のごとく麗しく 陛下がお許しくださるなら 末将(まっしょう)はすぐに鎧を脱ぎ印綬を解き 髪を結って入宮し 日々陛下の寝台前で悦びを奉仕いたします 祁淵(きえん)! お前が何を言っているか分かっているのか もしお前が宮中に入れば もう兵を率いることはできなくなる 南疆(なんきょう)での十年の功績も水の泡となるのだぞ 末将は十年戦ってきましたが 軍功のためではございません 陛下と共にいられるのなら たとえ 寝床を温めるだけの男妾に過ぎなくても 末将は甘んじてそれを受け入れます 陛下、どうぞお試しください 祁淵(きえん)! お前は身分をわきまえぬ行為をしているぞ 末将、罪を承知しております 陛下、どうか寛大な罰をお願いいたします

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