俳優と喫煙シーンの深い関係? 岩下志麻 吉永小百合 渡哲也 石原裕次郎
昔の映画やテレビドラマを振り返ると 小道具のようにタバコを吸う場面が頻繁に 登場していたことに気づかされる。いつの 間にかそうした描写は姿を消し、今では テレビドラマでタバコを吸うシーンを見る ことはほとんどなくなった。かつてタバコ は特に刑事ドラマなどにおいてセリフの 代わりに登場人物同士の信頼や親愛を示す 大切な役割を担っていたものだ。例えば 大都会や西武警察では事件が解決し犯人が 逮捕された後、石原裕二次郎がタバコを 加え、隣にいる渡り徹也が静かにライター で火を差し出す。そんなお決まりの場面が 視聴者にアンドと余因をもたらしたもので あった。しかし禁煙化に伴い喫煙者同士の その人呼吸余裕が失われ、私たちは休まる 間もなく走らされているかのような感じで ある。そしてこうした変化は私たちの生活 の中の心のあり方そのものをも変えている のではないだろうか。タバコとは単なる 空白ではなく人が人として落ち着き自分を 取り戻すための余白でもあった。それを 失うことでどこかで心がすり深い呼吸を する時間を忘れてしまっているのかもしれ ない。だからこそ今の時代に必要なのは かつてドラマの中にあったタバコに火を つける一瞬のように言葉に頼らずとも 伝わる静かな親愛のシーンであり人と人の 間を柔らかく結ぶ余白なのだと思うので あるが
昭和のドラマに俳優とタバコは親密なる関係を示唆する小道具として必要性のあるものであった。
