「ロシアとの合意に価値はない」ロシアへ“割譲案”渦中のドネツク住民の声【報道ステーション】(2025年8月21日)

ウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領が和平の条件として求めているのが、東部2州のロシアへの割譲です。現在、ドネツク州でウクライナ側が防衛できている地域はわずか25%。その地に暮らす市民はどんな思いを抱いているのか、話を聞くことができました。

■“安全の保証”にロシア猛反発

懸案のウクライナの「安全の保証」について、イギリスやフランスなどによる地上部隊の派遣が模索されています。対してロシアはというと。

ロシア ラブロフ外相
「欧州軍のウクライナへの駐留で安全の保証を実現しようとしている。ロシアはそれを絶対に受け入れない」

「軍の駐留はウクライナ領土への外国の介入」とし、ロシア抜きの議論を強く批判。あくまで主導権はロシアが持つべきだとけん制した形です。

ロシア ラブロフ外相
「ロシアは自国以外の利益を主張しない。だが正当な利益を厳格に確保する」

■拡大する露軍の“占領地域”

ロシア軍が公開した動画。最近、ドネツク州西部での戦果を強調するものが増えてきました。プーチン大統領は先日、トランプ大統領にこのように要求したといいます。

ロシア プーチン大統領
「ドネツク州全域の割譲を求める」

ドネツク州の侵略地域は確実に西へと広がっています。現在、ドネツク州の75%を占領するに至りました。では残りの25%は今どうなっているのでしょうか。前線から14キロほどの場所にあるドネツク州ドルジュキウカ地区。18歳以下の家族のいる家は強制避難となりました。ここもじきに戦場になるとみられています。

■「ロシアとの合意に価値なし」

ここに住むオレクサンドルさん(35)に話を聞くことができました。

オレクサンドルさん
(Q.ロシア軍による攻撃の状況は?)
「力で取れないものをロシア軍は破壊します。今日10発の爆弾で空爆された地域もあります。何とか生き延びようとする人がいます。1500人が残されています。水や食事がないことに耐えれず、歩いて避難する人もいます」

ただ、主要道路を通るとロシア軍のドローンで攻撃されるため、逃げるのも命がけだといいます。

オレクサンドルさん
「占領地がどうなるかを見聞きしてきました。ロシア民族の人々が占領地に送り込まれて、以前の住民たちは存在を消されてしまうのです」
(Q.“ロシアから来たロシア人”と占領地の人は友情を育める?)
「平等関係にはなりません。マリウポリの例で明らかです。現地の住民たちは住宅をロシア人に乗っ取られました。彼らにとって占領した住宅は納屋にすぎません」

停戦が協議されようとしている現状については。

オレクサンドルさん
「尊敬するドナルド・トランプ氏。ロシアに出し抜かれてプーチンの言いなりになったでしょう。戦争や捕虜を体験した住民の話を聞いてください。本当の歴史も調べてください。ロシアとの合意が何の価値もないことを理解できます。アメリカを偉大にしたいなら、世界のあらゆるところでどう振る舞うべきか分かるはず。このままの行動だと偉大になるのはロシアです」
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