【癒しのSAXバラード】ハーフムーン・セレナーデ/河合奈保子
ハーフムーン・セレナーデ
河合奈保子
甘美な調べ、夜に溶ける甘く切ないサックス
バイアスとは恐ろしい。
僕が子供の頃、アイドル歌手は顔だけ可愛くて
歌は下手な人ばかりだ、なんてことを
よく聞いていた気がする。
確かに、今と違って昭和の頃は少々失敗しても
可愛けりゃ許される的な雰囲気があったのは事実。
おまけに「ぶりっ子」が全盛の時代である。
「えーわかんなーいっ」と全力でシナを作る彼女らは
若い男性にはぐっさりと刺さる反面、そこに興味を
見いださない人にとってはネガティブに
捉えられて然るべきであり、それが上記のような
バイアスに繋がったというのは想像に難くない。
殊にいつでも笑顔を絶やさなかった河合奈保子さんは
こういったイメージを持たれやすかったかもしれない。
僕も最近まで、なんとなくそんなバイアスが
心の中にあり、ずいぶん前だが、1997年に
広末涼子氏が「MajiでKoiする5秒前」で
CDデビューしたときは友達と
「『アイドルにしては』超うまくね?」と
話題にしていたのを思い出す。
それはつまるところアイドルは歌が下手、
というバイアスの現れに他ならないわけだが、
そんなバイアスを抱えながら
河合奈保子さんの歌を聴いたとき、
メロディの切なさを最大限引き出す
その歌唱力に自分の持っている価値観が
根底からひっくり返されたかのようで
もう衝撃しかなかった。
しかも、この曲は彼女が書いた曲である。
恥ずかしながら今さら知ったのだが、
自作曲によるアルバムを6枚リリースしており、
さらにはプラハ世界音楽祭で作曲賞を受賞、と
昔のアイドルにありがちな「私こんなことも
できちゃんですよ~」なんてレベルじゃない。
紛う事なき「ガチ勢」であり、胸を張って
シンガーソングライターを名乗っていい人だ。
稚拙ながら僕も作曲・編曲をするのだが、
正直な話、曲を作る「だけ」ならそんなに
難しいことではない。
それなら、今ならBIAB等AIにも出来てしまう。
(BIAB自体はとても便利に使わせていただいてますがw)
しかし、人の心を揺さぶる「いい曲」を作るのは
どんなに難しいことか。
そして、そんなバイアスのせいで今まで
こんな素晴らしい名曲に目を向けなかったこと。
あぁ、今までどれだけ名曲との出会いに
目を背けてきたんだろう。
バイアスはこだわりやポリシーに繋がるものなので
それ自体は悪い物ではないが、たまには
そういうものを捨て去って、一呼吸おいてから
周りを見回してみるのがとても大事なんだなぁと。
特に年を重ねると目線が凝り固まってしまうわけだし。
もう結構前に活動停止してしまっているが、
河合奈保子さん、コンサートやらないかなぁ。
ちょっと無理してでも絶対に聞きに行きたいなぁ。
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