【波うららかに、めおと日和】7話ネタバレ|初めての夜、ふたりを包んだ静けさと鼓動
夜のとりが静かに降りる中、常子の外には 風の気配もなく、ただ遠くで虫の根がかに 泣いていました。淡い明りの元と滝は布団 の上で向かい合って座っています。2人の 間に流れる空気は言葉にできないほどに 繊細で緊張と期待が交差していました。滝 の手がそっと夏みの腕を取ります。その 仕草に驚きつつも夏みは身を委ねるように 寄り添いました。2人の体が重なると自然 と呼吸が近づいていきます。 滝は彼女の瞳をまっすぐに見つめながら そっと顔を近づけていきました けれど唇が触れようとしたその 瞬間待って声はかの泣くように小さく けれど確かな震えを帯びていました。夏み の肩がかかに揺れています。その震えを 感じ取ったはすぐに動きを止め、深く一度 息を飲みました。そしてきちんと彼女の目 を見据えたまま丁寧に言葉を紡ぎます。 なみさん、俺はあなたを抱きたいと思って います。でももしまだ不安ならやめます 。真剣な学志しが夜のしけさの中に輪とし て浮かび上がります。言葉の1つ1つに滝 の誠実さがにみ出ていました 。夏みは戸惑いながらも彼の袖をそっと 握りしめます。その手の力は弱々わしくも 確かな決意を感じさせるものでした。 顔をあらめ、目を伏せがちにしながら やがて彼に向かって小さくけれどはっきり と思いを伝えました。 竹正様の手で触れてほしい。抱きしめて 欲しい。その口付けしてほしいと思ってい ます 。言いたナみの声は震えていましたが、 その方にはほんのりと紅ニーが差し、 まるで月明りに照らされた鼻のような美し さがありました。部屋のしけさが再び戻る と2人の距離が自然と近づいていくのでし た。 滝は夏なみの柔らかな方を見つめ、そっと 唇を重ねます。最初は戸惑いながらも やがてなみもそのぬくもりに身を委ね、 2人の気持ちは1つになっていきました。 優しく唇が離れた後、滝の手が帯に伸びた のを見てなみが小さな声で問いかけます。 あ、あの、ほどんですか?その問いに滝は少し照れたように真顔に戻ります。 そりゃまあ必要なことなので。 あ、分かりました。あの、それならゆっくりでお願いします。旧だと先ほどみたいに構まえてしまってな。なるほど。 2人の方がほのかに紅に染まり、静かに 慎重に滝の指が帯をほいていきます。手元 に宿る熱と緊張を抑えながらまるで心に 触れるような優しさでこんな感じで大丈夫 ですか ?ナみは不安そうにけれど信頼を込めて 頷きます。 滝さ、私はどうしていればいいですか? 何も俺に任せてれば。 そう言いながら滝は再びナみを抱きしめ、その体温を確かめるようにぴたりと寄り添います。いや、俺が触れたところを覚えておいて、そっと手の声で夏みの方をなぞります。 その優しさになみの肩がふるりと揺れまし た。離れている間俺のことを忘れないよう に。はい。あのなみは言葉を切りながらも 自分から手を 伸ばしの手をそっと握ります。それなら私 も滝様に触れたい。うん。触って叩きつい て。やがて正は自分の方を夏みの手に導き ます。ほ、肩 胸源の手が触れるたびに滝は穏やかな笑を 浮かべ、まるでその時間を心に刻むように 目を閉じました 。あなたをいつでも思い出せるように 。再び重なる唇。息が上がるなみの吐息が 夜のしけさをほんのりと熱で包みます 。なみ さん滝は息を整えながら夏みの瞳をじっと 見つめました。 綺麗だ 。夏みの指先がそっと滝の方を撫でます。 もう片方の手はしっかりと彼の手の中に 包まれたまま温かさを分け合っていました 。生子の外には柔らかな突き明かり。静寂 の 中布団のぬくもりと2人の心が寄り添う音 だけがゆっくりと夜を満たしていきます 。こうして滝と夏見の夜は深く優しく吹け ていきました 。翌朝の空は泡くらみ、紐の名残りが窓 ガラスに薄く浮かんでいます。台所では 湯気が立ちのり、炊きたてのご飯の匂いが ほんのりと部屋に満ちていました。罪は 手早く味噌汁をに襲いご飯を茶碗に 盛り付け焼いた鮭と漬け物を小皿に並べて 茶ブ台の上に慎重に置いていきます。その 動作1つ1つに落ち着きがないのは眠れぬ 夜を過ごしたせいでした 。頭の隅に残るのは咲夜のぬくもり。手の 感触唇の感覚。 抱きしめられた時の心臓の高成が今も胸の奥にこだましています。私はなんてことをしてしまったのでしょう。 食器を並べながら夏みの方が見る間に真っ赤になります。手に持っていた橋をうっかり落とし、慌てて拾い上げながらも頭の中は昨晩の出来事でいっぱいでした。 ああはなんてだらな付けをして抱きしめてさらにはこをしてまったから両手でおい、茶ぶ台の隅丸くなるように座り込みます。滝 様に別されてしまう。そんな風に慌てふめいいていると奥の部屋からふを開ける音が聞こえが姿を見せました。 寝起きの乱れた髪を軽く整えながらどこかぎこちないお持ちで挨拶をします。なみさん、おはようございます。 た、た様おはようございます。お食事の準備ができています。顔を合わせた瞬間 2 人の視線が一瞬絡み、それぞれが一歩引いてはまた近づくような妙な空気が流れました。 あ、ありがとうございます。滝はそっと 茶ブ台の前に座り、星座の姿勢を整え ながら深く呼吸をつきます。よし、なんと か平常心を保っている。このまま平常心、 平常心。夏みも対面に座り、湯気の立つ 味噌汁に視線を落としながらごく自然を 予想手を合わせました。いただきます。 いただきます。 静かに箸を持ち、ご飯を一口、そして味噌 汁をすすった瞬間、滝の顔色がびっくりと 変わります。しょっぱ声には出さず内心で 叫びます。次に米を噛むと芯がしっかりと 残っており、パサついた食感が下に残り ました。さらに鮭に橋をつけると中はまだ 生っぽく川の香ばしさもありません。 米は芯が残っている。魚は生やけ。まさかこれは昨日のことが嫌だったので無言の抵抗。 日汗が背中を伝います。おるお恐る夏みの表情を伺うと彼女もまた沈んだ顔で味噌汁を見つめていました。滝の頭の中で警報が成り響きます。 まずい。何か地雷を踏んだのか。 いや、そもそも俺が押し倒したのが悪かっ たのか。いや、でもあれは合意がいや、で ももはや橋を動かすことよりも胸のざつき の方が勝っていました。茶ブ台を挟んで 向き合う2人の間には湯気と気まずさが 立ちっているようでした。だとしたら謝る べきか。滝は茶碗を見つめたまま心の中で 葛藤していました。 咲夜のあれが無理をさせたのかもしれない と思うたびに喉が詰まりそうになります。 一方の夏みもまた鮭に橋をつけることなく じっと昨晩の記憶に囚われていました 。 昨日あの腕と胸の中で滝の顔を盗み見る ように視線を送り、ついで胸源に目をやる とほが一気にほてっていきました。朝から なんてことを考えているの?箸を強く 握り直し自分を叱るようにして味噌汁を口 に含み ます下に染みたのは塩の強すぎる味。 しょっぱ心の中で悲鳴をあげながらワンの 中を見つめました。ちゃんと味みはした はず。いや、その時は考え事をしていた から。ちらりと滝の様子を伺います。彼は 黙ったままご飯を口に運んでいるようでし た。どうしよう。作り直しとしても豆腐は 全部使っちゃったし。それより滝様はどう して何も言わないの?気まずさが膨らんで いく中、ふとした表紙に2人の目が合い ました。 一瞬の精止昨日の夜の情景がまざまざと脳りに浮かび、お互いの顔にベニが差します。慌てて味噌汁に目を落とし、再びすったその切しょっぱ しょっぱ 声に渡さず全く同じ感想が心の奥でこだましました。茶ブ台の上には味の濃い味噌汁と言葉にできない気持ちが残されていました。 冬の日が低く、大やの生事越しに斜めの光 が差し込んでいました 。風は冷たく乾いており、庭の木々は すっかり歯を落とし、どこか寂しげな 佇まいを見せています 。廊下の隅では雑巾を手にしたナが一生 懸命に柱を磨いていました。その隣では いく子が畑を振い天井の埃りを落としてい ます。 2人の動きに合わせて畳の上に舞落ちる 誇りが陽光に浮かびキラキラと中を漂って いました。はいから大掃除毎年大変そう ですね。額に汗をにませながら夏みがふと 息をつくといく子が手を止めてにやかに 頷きました。そうね。国光さんも時間が ある時は手伝ってくれるから終わるけど。 その言葉になみは思わず目を丸くしました 。え、手伝ってくださるんですか?いく子 は畑を抱えながら少し肩をすめて微笑み ました。そうよ。意外と貴帳面なの。離れ の大掃除はたき君にも手伝わせたらいいわ 。夏みは慌てて手を振ります。さすがに そういうわけには竹正様に掃除なんて 申し訳なくていく子はそんな夏みの様子を 優しく見つめながらふっと息をつきました 。そしてふとけたように言葉を続けます。 なつみちゃん覚えておいてね。海軍の妻は 家の外では3頭兵以下だけど家の中では 高合様の次に偉いのよ。その一言に夏みは 目を見開いて固まりましたけれどいく子の 笑顔に釣られて少しずつ方が緩んでいき ます。高郷様の次なんだか恐れ多いですが ちょっとだけ心強いです。く子はうんうん と頷きながらそうよ寺くらい堂々とお願い すればいいの夫婦なんだから持ちつつ もたれが大切よその言葉に励まされるよう に夏みは胸の奥にポが灯るのを感じました 。冷たい風が廊下を吹き抜けても心はどこ か温かくなっていたのです 。朝の日差しが生事越しに甘く差し込む 日曜日の今。日バの上には鉄便が静かに湯 を立て、新聞を広げた滝は湯みを片手に 背筋を伸ばして座っていました。ページを めくるたびに髪が擦すれる音が静かな部屋 に優しく響きます。一方廊下の方ではなみ が雑巾を手に落ち着かない様子で行ったり 来たりを繰り返していました。羽織りの袖 が揺れ足元で畳が小さくきしみます。 いく子さんには言われたものの本当に 手伝ってもらえるのかな?でもお休みの日 に旦那様に掃除をさせるのはな。頭の中で 瞬々しながらふの前で足を止めたその時不 に新聞の影から声がしました。どうかし ましたか?あ、大掃除をしようと思いまし て、慌てて声の主を見ると滝は新聞を畳み ながら少し首をかしげて微んでいます。 もうそんな時期ですもんね。それであの、 もしよかったらて鉄一瞬言いかけてなみは 言葉を飲み込みました。そしてぎこちなく 笑いながら視線をそらして言い直します。 て、徹底的に掃除したいので縁側で待って いてもらえますか?その言葉に滝は一泊 置いてから静かに頷きました。分かりまし た。 新聞をこに抱え、静かに立ち上がると縁川へと歩いていきます。その背中に向かってなみは深く頭を下げました。すみません。 いえ、問題ありません。ふが閉まった後、ナみは小さく頷き、気を引き締めるように手のひを握ります。掃除は私の仕事なんだから。うん。これで正解。 しかしその決意もつの間タスの上の箱を 取ろうと踏み台に上がったなの腕が小刻み に震え始めます。なみさん、もし俺に 手伝えることがあったら言ってく。声を かけようとふを開けたたの目に飛び込んで きたのはよろけそうになりながら重そうな 箱を抱えるなみの姿でした。 え、驚いた声と共にすぐさか駆け寄るとナみの手から箱を奪うようにして抱えました。ここにしまえばいいですか? はい。ナみは恥ずかしそうに視線を落とし、袖を握りしめます。 言ってくれればいいらでも手伝うのに。 すみません。 申し訳なさそうに頭を下げるなみ。 その姿を見て滝は少し困ったように笑い ました。いや、頼って欲しいだけで家族な んだし。滝の家族なんだしという言葉に なみの表情はパッとました。方には温かな 紅ニが差し、まるで冬の火りのように 柔らかな空気が2人の間を包み込みます。 これでその思わず目をそらしながら言葉を探す滝。その視線の先には変わらぬ笑顔で見上げるナみの顔がありました。とにかく大掃除に関してはなみさんが指揮官です。何でも命令してください。 え、何でもと言われても、あ、では神棚の 掃除お願いできますか?少し戸惑いながら もはっきりと頼むなみに滝は頷きます。 わかりました。では号霊を恒例聞き間違い を防ぐために端的に分かりやすい指示を 出すのが大切です。今回は神棚おろせと なみは思わず目を見開きました。命令 なんてしたことがない。それでも彼の 真っすぐなしを受けて胃を消して深呼吸を しますか。神棚おろせ。思い切ったその声 に滝は背筋を伸ばしまるで演習の号霊を 受けた兵士のように真顔で立ち上がります 。そして一直線に洗面所へと向かい、手と 口を丁寧に清めてから神棚の前で小さく 一連れ、静かに確かな手付きで棚を下ろし ました。その動作の素早さと正確さになみ は思わずポカンと口を開け、心の中で つぶやきます。早いな。神棚を丁寧に畳の 上に置いたたは顔を上げてまっすぐに声を かけます。 ではなつみさん確認をお願いします。確認 問題なければ神棚掃除用意よろしい。掃除 を始める時は神棚を吹け。終わったら神棚 掃除よろしい。神棚あげ。海軍式です。 これで行きましょう。そのきっ張りとした 言い回しに夏みは思わず背筋を伸ばしはい と声を張り上げました。少し戸惑いながら も神棚を確認し、手を握りしめて命令を口 にします。えっと、神棚掃除用意よろし。 神棚を吹け。その号例に滝は即座に反応し 、雑巾を手に取り、真剣なお持ちで神棚を 磨き始めました。指先の動き1つ1つに 無駄がなく、その姿はまるで軍の儀式の ように生前としています。 これは楽しい。心の中で叫びながら竹は 夢中で神棚を磨いていました。その姿を見 ていたなふと微笑みを浮かべながら心の中 で小さくつぶやきます。吹き掃除が終わっ たらよろしいって言って神棚を戻す前に板 吹いてもらっていいかな?いいよね。 あの板がいいかな。心の中をワクワクとし た紅葉で満ちていました。その後も電気の 傘を外して洗い窓ガラスを磨き、廊下に 雑巾掛けをしながら2人は笑い合い言葉を かわし大掃除の1日を共に過ごします。 冷たい風が窓の外を吹き抜けても家の中に は確かなぬくもりと夫婦の静かな連帯感が 生きづいていました。掃除の終わった午後 、冬の日差しが傾き始めた頃、縁側に座っ たナと滝は湯みを手に静かに外の庭を眺め ていました。枯草の匂いが風に乗って漂い 、庭の石に落ちた日が長く伸びていきます 。円側の板の上には先ほど使った雑巾が きちんと畳まれており、2人の間には 穏やかな空気が流れていました。隣合って 腰を下ろし、肩が自然と触れ合う距離で 寄り添うように座っています。ありがとう ございます。おかげで早く終わりました。 ナつみは少し照れながらも心からの感謝を 込めて頭を下げました。これからも何でも 頼ってくださいね。滝は柔らかな声で総開 し、なみの手をそっと取ります。指先の ぬく盛りが伝わり、なみはその手を 包み返しました。その 瞬間タキー緊急事態だ。すぐに出るぞ。庭 の向こうから軍を斜めにかぶった柴原国光 が駆け寄ってきました。 声は鋭くも真剣でその様子からただならぬ空気が伝わってきます。 はい。 滝は即座に立ち上がり、軍人としての表情に戻るとまっすぐに経をしました。その動きには一切の迷いがありません。すみません。これから仕事に行きます。おそらくは 言いかけてナみの方を振り返ります。 夏みも立ち上がり、胸に手を当てるように して言いました。はい、言ってらっしゃい ませ。声は震えがちで目にはうっすらと涙 の光が浮かんでいました。滝はその瞳を 見つめ夏みを優しく抱きしめました。 こえる風が吹いてきてもその腕の中は 温かく静かな決意がこもっていました。神 切ってない。厚みはつくようにぽつりと 漏らしました。目を伏せたまま方が滝の 胸源に触れています。必ず帰ってくるから 待ってて。滝の声は低くけれど確かでなみ の心の真に静かに届いていきました。 肩越しに見える冬の空はどこまでも 住み渡っています。 の言葉の代わりに2人の影が縁側に長く 伸びていきました 。大晦日の夜、外はと静まり、遠くで女や の金を準備する寺の明りがぼんやりと山の 橋に揺れていました。家の中では火を入れ たこたつの上にみかがいくつか転がり、 ほのかに甘い香りが漂っています。での 年末の挨拶を終え、夏と滝は肩を並べて 帰宅します。雑りを脱ぎ玄関を上がると寒 さから逃れるように2人はすぐにこたつに 足を滑り込ませました。今日は日が変わる まで起きていていいですか?甘えるような 声で言ったなみに滝は新聞を畳みながら首 をかしげます。起きていられます。大丈夫 です。 実家ではおみそかは日が変わるまで皆で起きていたんですよ。 ええ。興味深そうに応じながら滝はこたつの中で手を組みゆったりと寄りかかりました。ナみもザ布トンを整えて星座から崩した楽な体勢に変えます。 2人で並んで過ごす時間はどこか穏やかで 言葉がなくても心地よいものでしたけれど 時が立つに連れ夏みのまぶは次第に重く なっていきました。炭のはる音が静かに 響く中、首が小さく傾き始めたなみに 気づいたたがそっと肩を揺らします。 なつみさんもう寝ましょう。え、寝てませ ん。目をパチクりとまた瞬また瞬かせて 慌てるなみの顔に滝は微障を浮かべます。 では日が変わったら起こしますから寝て ください。毎年起きていたので平気です。 そう言いながらもまぶは重そうに揺れてい ました。小実家ではどう過ごされていたの ですか?お話ししたり花札とかカルタとか すごろ6なんかもしてました。 でも持ってきていないので俺も持ってないですね。将棋ならありますけど。将棋はちょっと [音楽] 眉を仕めて苦笑傷するなみに滝もやっぱりなと肩を救めます。こたつの中では 2 人の足が触れ合いナみは小さく声を整えて言いました。このままで大丈夫です。 今日は正様とずっと一緒に過ごすって決め ていたので、そう言うとなみは自分の 両方法軽くパンパンと叩きました。乾いた 音がこたつの中に響き、滝は思わず笑って しまいます。では素ろをしましょう。でも 持ってないですよね。なみは目を丸くして 滝の顔を見つめます。はまるで当然のよう に手を伸ばして机の脇から分厚い長を 取り出しました。ないなら作ればいいだけ の話です。家計簿でした。筆を取りながら 表紙を めくり空白のページをパラパラとめくって いきます。家計簿に書いていいですか? はい。今年分は書き終わってそこを余った ページなのでこたつの上に広げられた 家計簿の使面に滝は器用にマ目を描いて いきます。鉛筆の芯が紙を走る音だけが 室内に静かに響いていました。適当にマス を書くので埋めていきましょう。最初は何 がいいかな?神軍とか顔は真剣そのもの。 しかしその提案になみは少し戸惑いを見せ ます。い、いいですね。神軍にしましょう 。声は小さく、語尾は頼り投げでした。滝 はすぐに彼女の表情を読み取り、筆を止め て柔らかく首を傾けます。いや、2人の 共通の話題の方が良さそうですね。はい。 今度は元気に返事をするなみ。目元がパッ と明るくなり、明りの下で笑顔が浮かび ました。 何がいいだろう?小学校の頃とか。 首をかしげながら提案する滝になみはうんと唸りながら頷きます。共通。それなら始めは結婚式で次は顔合わせで。 あ、じゃあ1か2 が出たら新郎不在1 回休みにしますか。思わず吹き出したナみはクスと笑いながらこたつの上でホをつきました。 [音楽] 懐かしいですね。 あとはマスを埋めつつ決めますか? はい。滝は鉛筆を回しながらふと視線を落とし問いかけます。顔合わせの時はどうでした? そうですね。ちょっとというか結構怖かったかなんて顔を明めながら答える夏みに滝は眉を潜めて苦笑傷します。 かなり怖かったでいいですよ。あの時はナみさんにどう接したらいいかわからずすみませんでした。 そうだったんですね。 小さく頷くなの目はどこか懐かしさを帯びていました。滝は真面目な顔を保ったままや照レ臭そうに続けます。でも今はナみさんほど強くて頼りになる人はいないと思っています。 その言葉にナみの方は再び好調し、少し目を伏せました。強いじゃなくて可愛らしいのがいいななんて。 ぐそうですよね。 考え込みながら滝は鉛筆を握ったまま動かなくなり、小さくつやき始めます。たましい。もうだめだよな。心強い。これも強いが入っているか。 可愛いってなんだ。その独り言を聞き ながらナみはそっと体を寄せ、彼の腕に ぴたりとくっつきました。さあ、どんどん 進めましょう。その無邪気な笑に滝は気を 取り直して頷きます。そ、そうですね。次 は新婚旅行ですかね。あの時はクリーム パンを食べて、夜は一緒に月を見ましたね 。 それからそういえばあの時気づいたら寝ていたんですよね。 3血ででしたっけ? そ、そうでしたね。ナみが微笑いみながら語る思い出に滝も釣られるように目を細めます。翌朝は次の気候日教えていただいて。 それはかけませんよ。 そうでしたね。あ、喧嘩したこともありましたね。 あの時はすみませんでした。 今となってはいい思い出です。あとはうち の実家に帰ってその日の夜 はその沈黙になみはくすっと笑って 言い直します。やっぱりそれはなしで髪を 切ったことは絶対に入れてくださいね。 そうですね。滝が頷きながら記入しようと するとなみがさらに思い出したように続け ました。あとふゆちゃんとせ君が遊びに来 たこととそれは入れなくていいんじゃない ですか。 戸惑いながらも手だけは世話しなく動かし 続ける滝。その筆先には2人だけの記憶が ゆっくりと丁寧に刻まれていくのでした。 家刑簿の余白に描かれたすご録の万丈は 2人の思い出で賑やかに埋まりつつあり ました。鉛筆の走る音とこたつの中から 聞こえる湯の音が2人の空間を柔らかく 包み込んでいます。しまった。を小さくし すぎてページが余ってしまいました。どう しようかな。滝は鉛筆の先でページの端を 差し、少し困ったように眉を潜めました。 大丈夫ですよ。夏なみはにっこりと笑って 炊きを見つめます。その瞳には迷いがなく ほんのりとした決意の光が宿っていました 。この先何年何十年もあるんですよ。 いくらでも埋まります。 その言葉に滝は一瞬言葉をなくします けれどすぐに微笑みを返しながら少し視線 を落としました。そうですね。そう言い つつもどこか寂しげな影が滝の瞳に浮かび ます。それを感じ取ったなみはパッと顔を 引き締めました。滝様声を張って自分の腕 をぎゅっと曲げ、無理やり力コブを作って 見せます。私は滝様に認められた強い女 です。私のことは心配いりません。この 力コブを見てくだ言いけたところで自分の 腕を見下ろしたナみの顔が曇ります。そこ に浮かぶのはあまりにさやかな力コブと いうにはおがましい丸みでした。あれ? 小さくだれるなみ。その様子に滝が薬と 笑いながら声をかけます。なみさん、滝は 袖をまくり、自慢の右腕を見せました。 筋肉がしっかりと盛り上がり、肩から肘に かけて引き締まった線が浮き立ちます。 きゃ。驚きとテレが入り混じった声を あげるなみ。これが本当の力コブです。 触ってもいいですか?どうぞ。ナつみは 遠慮がちに手を伸ばし、滝の力コブを そっと撫でました。すごい盛り上がってる 。硬い。目を丸くしながら何度も確認する ように触れ、不に声を上げました。6の 続き力コブを見せるって書き加えましょう 。 え、そんなことまですろなら分かりますが、戸惑いながらもまんざでもない様子の炊きまさなら両方書きましょう。 これじゃあ何マあっても足りませんね。 そうですよ。き逃したことがきっとまだまだありますよ。 2 人の声が重なり、家刑簿の上にはこれからの時を描くための余白がまるで未来を待ち受ける舞台のように静かに開かれていました。 日バの炭は静かに赤く生事の向こうに 広がる夜は心々と冷え込んでいます。 そんな時部屋の隅に置かれた柱時計が 小さく勝ちと音を立てました。次の瞬間 ボーンボーンと12回低く柔らかな金の根 がなり響きます。あ、日が変わってなみは 声を潜めながらも背筋をピンと伸ばしまし た。では滝も座り直し真顔になります。 はい。2人は同時に深く頭を下げ、静かに 新年の挨拶をかわしました。あけましてお めでとうございます。今年もよろしくお 願いします。あけましておめでとうござい ます。こちらこそよろしくお願いします。 頭をあげると2人の目が自然と重なりまし た。炭の光に照らされた瞳が穏やかに 見つめ合います。こたつのぬくもりの中、 言葉以上の何かがゆっくりと流れていき ました。数秒後。ふふ。互いに見つめ合っ たままるで同時にこぼれるように笑い声が 漏れました。こたつの中で指がそっと 重なり、年の初めのし付けさの中に2人 だけの温かな風が流れました。最後までご 視聴いただきありがとうございました。 コメントを残してくれると嬉しいです。 チャンネル登録、高評価もお願いします。 またよければチャンネルメンバーになって いただけると大変公栄です。是非とも応援 をお願いいたします。
※この動画はNHKドラマ『波うららかに、めおと日和』第7話のネタバレを含みます。
第7話では、ついにふたりの心と身体が重なる“初めての夜”が描かれます。
緊張と恥じらいのなかで、そっと寄り添いながら育まれる想い。
翌朝の気まずさと、塩辛すぎた味噌汁に込められた微妙な心の揺れも、繊細に描かれました。
また、大掃除をめぐるふたりのやりとりには、くすっと笑えるユーモアと、確かな絆の芽生えが光ります。
「神棚を拭け!」「進軍すごろく」「力こぶ見せて」――
夫婦の距離が縮まる何気ないやりとりに、胸が温かくなる回となりました。
そして迎えた大晦日の夜。
こたつの中で紡がれる小さな約束、家計簿に描かれるふたりだけの“すごろく”が、静かに新年のはじまりを祝福します。
「この先、何年、何十年もあるんですよ」
なつ美の言葉が、未来へ向かうふたりの道を照らします。
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