か「」く「」し「」ご「」と「  想像以上の良作。若い5人の主要出演者の演技に拍手を送りたい

か「」く「」し「」ご「」と「

監督/中川駿
尊く厳かな死(15)
カランコエの花(18)
少女は卒業しない(23)
 朝井リョウの連作短編小説原作

原作/住野 よる(すみの よる)
「君の膵臓をたべたい」でしられる小説家
今作は2017年発行の小説

出演/
奥平 大兼(おくだいら だいけん)
出口夏希
佐野晶哉(さの まさや(Aぇ! group)
菊池日菜子
早瀬憩(はやせ いこい)
ヒコロヒー

引っ込み思案で自分に自信が持てない高校生・大塚京は、ヒロインではなくヒーローになりたいというクラスの人気者・ミッキーこと三木直子が気になって仕方ないが、マイペースなパラこと黒田文と一緒に楽しそうにしている彼女のことを遠くから見つめるだけの日々を送っていた。京の親友で三木の幼なじみでもあるヅカこと高崎博文の存在を通して、卒業まで“友だちの友だち”として過ごすはずだった。そんなある日、内気なエルこと宮里望愛が学校に来なくなったことをきっかけに、5人の思いが動きだす。

と言ったように原作もそうなのだが、出演する5人のそれぞれの物語をうまく1本にまとめている作品。

この作品は中川駿監督…ということもあって、繊細な心の揺れ動きをうまくまとめているのに食わせて、主要な5人の俳優がいい演技を見せてくれる。

京を演じた奥平 大兼(おくだいら だいけん)
MOTHER マザー(20)で長澤まさみの息子役を演じた少年が大きくなって……横浜流星の「ヴィレッジ(23)」にも出演。
前シーズンのドラマ「御上先生」では松坂桃李に正面からぶつかっていく高校生役を演じていたの印象深い
今年公開の「雪風 YUKIKAZE」にも出演している

ミッキーを演じた出口夏希だが、
なんといっても
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(23)」の千代ちゃん役で一気に知られるようになったと思う
その後の「余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。(24)」でも王道ヒロインの役を見事に演じきっている。

まさにヒロインを絵に書いたような清純派の女優として活躍が期待される。

今回は奥平演じる「京」の親友役で出演している佐野 晶哉(さの まさや)。
冒頭からおちゃらけたキャラクターを演じているが、劇中でパラと正面から会話するシーンでの真剣で真っ直ぐな語りのシーンは絶妙
ギャップのよさをうまく演じていた。

パラを演じた菊池日菜子は
ブルーピリオドでは美術部の後輩役でも出演しており、好印象を持っていた女優だが、今回はちょっと不思議キャラで立ち回っている繊細な女子高生役。
5人のなかで、実は一番繊細なのではないかという雰囲気を出す演技はお見事。特にミッキーから鈴をもらったあとの
喜びと嬉しさとちょっとした残念感の微妙な表情の演技は素晴らしかった
繊細な心の情景をうまく演じていた

そしてエル役の早瀬憩
違国日記(24)で新垣結衣と共演。ふとしたことでガッキー演じる高代槙生(こうだい まきお)と同居する女子高生役を演じていた。
あのときの演技の良さは抜群だが今回もかなりよかった。
違国日記のときはまだまだ幼さも感じられる女優だがった今作では年齢相応の約ドコロというのもあって魅力が輝いていた

そして物語は他人の感情が少しだけ見える能力を持っている
というのが各キャラクターの個性をエッセンスになっているが、物語の本質部分は特殊能力は全く関係ない

加えてタイトルが
か「」く「」し「」ご「」と「
となっているが、各キャラクターの能力を隠していること…に目が行きがちだがそれだけはない

隠し持っている能力以外にも隠し持っている感情や思い…のことでもあるのだが、最後のカギカッコが鉤括弧開ひらき「「」で終わらせているところに意味がある。

5人のキャラクターそれぞれに思いがあり能力があるが、それぞれが自身の中で完結をさせている。

だからかぎ括弧が閉じる「」があるのだが、
最後だけ「(括弧開き)で終わらせているのは、相手に伝える言葉あるから…だと感じたしだい。

思っていることを伝える。特に恋愛感情…となるとめちゃくちゃ難しいし、京の「自分が告白しても相手に迷惑になるかも」という気持ちは共感しまくり

ファンタジー感ある設定と青春時代の恋愛を中心に描きつつも、互いを思う気持ちの尊さも描いている良作。

また気持ちは言葉にして伝えないと伝わらないし本当の気持ちは聞かないと判らない
というコミュニケーションの大切さも説いているともいえる作品。

松竹さんはPRがあまりお上手じゃないのかなぁ
こういう作品こそ、高校生向けの特別価格で上映してもいいと思う。