SHOXX Vol.49 (97.1.21発売) より掲載
◆YOSHIKI Personal Long Interview
昨年11月4日に発売された5年ぶりのフル・アルバム『DAHLIA』をひっさげ、年末の東京ドーム2デイズ〝復活の夜・無謀な夜〟にて、その健在ぶりを盛大にアピールしたエックス。皆様が感動の余韻にひたっていることを祈りつつ、長らくお待たせしたYOSHIKIのパーソナル・インタビューをお届けしましょう。『DAHLIA』の収録曲解説もアリ。ただし、この取材は昨年9月末に行われたことは、ご了承ください。Interview:Fuzuki Watanabe
●ずっと陰で動いていたみたいな感じなんで、そろそろ表に出ていきたい
一まずは、やはり〝DAHLIA TOUR〟(95年11月〜)のことを…やむを得ず途中でキャンセルになってしまった際の、YOSHIKIさんの状況を話していただけますか?
「そうですね……まぁ、分かってたんですよね。というか、〝どんどん体がダメになっていくな〟っていうのは、DAHLIAツアーを始めてから、1本1本確実に分かってて。ツアー中に、何回も点滴を打ったりしてたんですよ。それは、疲労もあったんだろうけど……ツアーをやりながら海外へ行ってレコーディングしたりとか、いろんなことやってたし、家で倒れちゃって医者に来てもらったり、スタジオで倒れちゃって点滴を打ってもらったり、ずっとそんなことをやってたんです。だから、疲労もあったのかな、と。あとは、ドラムに関しても、〝いつまでもこんな叩き方が続かないな〟っていうのを分かってやってたからね。
それで倒れた時っていうのは、やっぱり〝ファンの子たちに申し訳ないな〟って気持ちとか、〝メンバーに申し訳ないな〟っていう気持ちが一番先に立っちゃって。自分の体のことはね、もう、〝終わったな〟っていうか、〝きっと来る日が来たんだな〟っていうぐらいの感じ」
一〝分かっていた〟とはいえ、ツアーの開始にあたっては、〝気力で乗り越えられるかも〟という希望や、〝乗り越えてみせる〟という決意めいたものがあったのでは?
「(問題は)医学的なもんだからね。どうしようもないですよね。実際、やめようと思ったし。〝あぁ、これが最後なんだな〟って。それは医者にも言われたし、母も泣いて〝やめてくれ〟って言ってたし……あれからは、まだドラムを叩いてないんだけど、でも、もう1回挑戦してみようというか。まぁ、次にダメだったら車椅子だ、って言われたからね。もう一生。だから、コワいですよ。ホントに。今回も東京ドームでのコンサート(96年12月30.31日)が決まったんだけど……ドラム叩くの最後かもしれない(苦笑)。ドラマー、探そうかな(ポツリと呟く)」
一ナニッ⁉︎(BY 星子編集長)
「ウソ(笑)。まぁ、ギブスを付けてやろうかとか、いろんなこと考えてるし、ウエイト・トレーニングとかもやってるんですけどね。乗り切れれば、まだ続けていけるのかもしれないし……あとは、自分がどこまで体を犠牲にするか。普通に叩きゃいいんだろうけど、叩き始めるとイッちゃうからね。(年末のライヴが)どうなるか、ホントに分からないんですけど」
一すると、ツアー中は〝今日のステージは何とか終えられた〟という気分の繰り返し?
「でも、けっこう倒れてたからね、僕。そんなに大げさ(な騒ぎ)になってないんだけど、楽屋で呼吸困難を引き起こしちゃったりとか……そんなことばっかりやってから、〝どこまで続けられるんだろう?〟っていうか。ただ、これ(頚椎(けいつい)の異常)がそんなに悪いとは思ってなかった。〝疲労で倒れるんだろうな〟とは思ってて、そっちのほうに頭がいってたから、骨のことをすっかり気にしてなかった。だから、点滴で栄養剤とかを打ちまくってて」
一そこには、私たちの想像が及ばないほどのツラさ、苦しさ、悔しさがあったと思うんですけど、それをYOSHIKIさんはどう消化してたんですか?
「消化してないですよ(苦笑)。そのまま途方に暮れて……まぁ、すぐに入院したからね」
一何日ぐらい?
「4日間。でも、倒れた時は、ちょっと気がふれちゃって。(頚椎が)神経を刺激してるんで、医者に〝触るんじゃない!〟とか文句を言いだしちゃって、麻酔を打たれて……とりあえずは、冷静になるまでに時間がかかった。何が起こったか、(自分では)分かってないじゃん?まずは痛みがきちゃって。
で、2日ぐらいしてから状況が把握できて、そしたら記者会見を控えてるとかで、ミーティングがあって。それも病院でやったんだけど、医者を含めて〝(ツアーの)続行は不可能だ〟ってことになって、そしたら〝すぐにロスへ飛んでくれ〟って言われて。日本にいると、いろんな面で余計な事態を招きかねないからね。で、医者には〝こんな状態で飛行機に乗っちゃマズイ〟って言われたんだけど、どうしようもないから、ギブスを付けて飛行機に乗って。
それで、ロスに到着した翌日に向こうのお医者さんのところへ行ったら、〝どうしても(ライヴを)やりたいなら、体を鍛えて筋肉で補強しなさい〟って。〝でも、保証はないから、やめたほうがいいでしょう〟って言われてね」
一今後に関しては不安な要素ばかり?
「まぁ、(自分は)破滅型だからね。っていうか、最初から分かってたと思う。ドラムを始めた時から、こんなにいつまでも続くわけないと思ってたし、何回も倒れてるし。やっぱり、叩き方が普通じゃないと思う。病院へ行って、そのお医者さんと一緒にビデオ見てて、笑っちゃいけないんだけどさ、やっぱり笑っちゃうぐらいメチャクチャに叩いてたからね。ただ、母があんなに……毎日電話がかかってきて、泣かれたのはビックリした」
一それに対して、何と答えたんですか?
「自分の人生だから自分で決める。って。だから、やってみようと思ってますけどね。っていうか、コンサートが決まっちゃったから、〝どう乗り切ろう?〟っていう感じで(笑)。今、すごく鍛えてますよ。週に何日もトレーニングやってるし。ドラムに触るのはやっぱりコワいですけどね」
一指のほうは?ずいぶん前になりますけど、ステージから落下して肘を打って、動かなくなっちゃった時期があったと思うんですけど、もう大丈夫なんですか?
「大丈夫ですね。……こうやって話してると、俺って不幸ですね(苦笑)」
一(苦笑)自分の体を酷使しすぎるんですよ。
「でも、ステージから落ちたのは、ただのアクシデントじゃない?だから……イヤなことがいっぱいありますね。もう、何も起こんないでほしい。ホントに。別に、巻き起こしてるわけじゃないから……ねぇ(ため息)……ツラい」
一ツアーがキャンセルになってしまった際、メンバーの方々から心に残る言葉をもらった、ようなことはありました?
「ない!誰も見舞いに来なかったもん(一同笑い)あ、でも、TOSHIからは花をもらった」
一顔を出さなかったのは、メンバーそれぞれに気遣いがあってのことだったのでは?
「そうなんですかねぇ(笑)」
一だって長いお付き合いなんですから。ところで、今日もこの取材の前に、水泳をしていたとか?
「今日は取材が2本あったんですけど、インタビューの合間に水泳をやってて、トレーニング・ジムへ行って来ました。昨日も行ったし、おとといも空港から直行したし」
一少し日焼けして、たくましくなった感じもありますよね?
「たくましいと思うよ(笑)。っていうか、外でトレーニングしてるからね。向こう(L.A)は室内プールじゃないし」
一効果を感じ始めている部分はある?
「(体の状態は)良くなるもんじゃないからね。もう壊しちゃってるから、補強作業をしてるだけで……努力はしてるんですよね」
一L.A.でもトレーニングを重ねていたと思うんですけど、今回の帰国までの、それ以外の時間というのは?
「ずっとレコーディングです。けっこう、こういう(ソファーに横たわったような)状態でレコーディングしてた。耳は聞こえるわけだし、病室で寝てても、途中からイライラしてきちゃってね。レコーディングが遅れてることで、プレッシャーもさんざんあったし」
一ドラム・パートは録り終えていて?
「ほぼ、ね。打ち込みにした曲もあるけど、それ以外は、ほぼ終わってた」
一アルバム完成までに時間がかかったのは、体調面以外にも対処すべき事柄があったからなんですよね?
「何か、たくさんいろんなことがあって……。どういうふうなカタチで発売しようとか、海外盤を作るのか日本盤を作るのか、ってところもあったし。みんな、ソロ活動に入ってるからね。みんなのスケジュール調整もあったし。まぁ(作品に対して)納得できなくて、何回もやり直したこともあったし。だから、いろんなことがあって、単純に何がどうとかは言えない。やっぱり自分でも、レコーディング後半の時に、〝何でこんなに時間がかかったのかな?〟って思ったんですけどね。でも、かかってしまったものはしょうがない、と思い直して。
ただ、マスタリングの最後の瞬間には一人で……メンバーは全員、日本に帰ってたんですけど、エンジニアにもスタジオから出てもらって。それで最後に全部の音を、頭から終わりまで一人で聴いた瞬間には、泣き出しちゃいましたね。いろんな思いが、いっぱいいっぱいあふれ出て。また、バラードがやたらと多かったから、けっこうジ〜ンときちゃったし。だから、良い悪いは置いといて……〝血と涙の結晶〟じゃないですけど(笑)、それに近いようなものがあるかな、と。あとは、妥協があって悔しいところもいっぱいあるし、もっと曲を入れたかったっていうのも、あるような気もするし」
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