視聴率分析でわかった「冬のドラマ」珠玉の名ゼリフ。破局した主人公・鈴木奈未(上白石萌音)と宝来潤之介(玉森裕太)。

『天国と地獄』と対照的なのが『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』だ。

個人視聴率全体では微減していた主人公の極熱セリフだったが、何と10代には刺さっていた。

破局した主人公・鈴木奈未(上白石萌音)と宝来潤之介(玉森裕太)。

ところが潤之介のアシスタントだった一太(亜生)に刺激され、奈未はコンテナ倉庫に保管された潤之介の写真を前に、長いセリフを披露する。

「前に言ってくれましたよね。夢に縛られたり、夢を持つことに囚われたりして、それで笑えなかったら意味がない。私、あの言葉に本当に救われたんです」
「でも夢に蓋をして、それで笑えなかったら、それも意味ないんじゃないのかな」
「もしかしたら夢って、いつか一杯いっぱい笑いたいから、今つらくても、今困難でも、見てしまうものなんじゃないかな」
「私はあなたの笑った顔が大好きです」

大人たちには恥ずかしくなるような愛の告白と受け止められたかも知れない。
ところが夢と恋愛の関係をテーマにしたドラマだけに、10代は深くて重い言葉と受け取ったようだ。

2021年冬ドラマは、26日に放送された長瀬智也主演『俺の家の話』最終回をもって全てが終了した。

今クールの特徴は、次第に視聴率が上昇する後半盛り上がり型ドラマが多かったこと。

中盤より世帯視聴率が2~3%上がったのは、『監察医 朝顔』『青のSP』『オー!マイ・ボス!』など。中には『天国と地獄』のように、7%ほど押し上げ20%の大台に乗った作品もあった。

そしてもう一つの特徴は、クライマックスの最終回で、極熱の長いセリフが視聴者を魅了したこと。

しかも珠玉のメッセージは、視聴者すべてではなく、特定の層に強烈に刺さっていた。

どんな人々に、如何なるキラーパスが届いたのか分析してみた。

圧巻は『天国と地獄』

16.8%と高視聴率で始まるも、リアリティに欠ける設定などで一旦は3%以上数字を落とした『天国と地獄~サイコな2人~』。

ところが綾瀬はるかと高橋一生の息を飲む演技、“天国と地獄”の意味が回を追うごとに重層性を増す巧みな構成、そして脚本を書いた森下桂子の骨太なメッセージで、最終回は胸を熱くした視聴者が少なくなかった。視聴率20.1%と今年の最高記録も納得の実績だ。

この最終回で最も熱いセリフは、刑事・望月綾子(綾瀬はるか)による日高陽斗(高橋一生)への取り調べ。

東朔也(日高の二卵性の双子の兄)が自白するVTRを見せても、殺人は自分の仕業と言い張る日高。第5話で披瀝した望月が刑事になった理由を語るあたりから、セリフの熱は一気に急上昇した。

「私は10歳の時、警察官になろうと決心しました。学校で濡れ衣を着せられたからです」
「その私が、誰かが濡れ衣を着せられるのを見過ごして良いと思う。もしこれを見て見ぬふりをしたら、その瞬間、私は私の正義をなくす」
「私に私の正義を守らせて(日高は大粒の涙を流す)あなたは私のために、本当のことを言うべきでしょう」

東芝視聴データ「TimeOn Analytics」によれば、この3分ほどのやりとりで毎秒の接触率は0.1%と微増していた。特に大きくは変化してはいない。

ただしF4(女性65歳以上)に限ると、0.8%と全体平均より8倍上昇している。

他の層では、M4(男性65歳以上)の反応が次に大きい。人生をかけるに値する信念を持ち、その為にすべてを投げ打つ姿勢は、やはり人生経験が豊富な高齢者の心に響くのだろうか。

特に望月という女性刑事の“ひたむきさ”と“無償の愛”を、綾瀬はるかが熱演した点が高齢の女性を突き動かしたのかも知れない。

この極熱セリフをきっかけに、接触率はラストまで右肩上がりを続ける。