トランプ氏、グリーンランドめぐり軍事力行使を否定せず 独首相「理解に苦しむ」【知ってもっと】【グッド!モーニング】(2025年1月10日)

 トランプ次期大統領の過激な発言が止まりません。メキシコ湾をアメリカ湾と呼ぶと言い放ったこと、グリーンランドの獲得に軍事力行使を否定しないことなどで波紋が広がっています。

■グリーンランドを軍事力で?

トランプ次期大統領
「メキシコ湾をアメリカ湾に変える。アメリカ湾。なんて美しい名前だ」

 不法移民問題で対立するメキシコをこう批判したトランプ氏。これに対し、メキシコのシェインバウム大統領も猛反論しました。

シェインバウム大統領
「北米大陸全体をメキシカン・アメリカと呼ぶのはどうですか?素晴らしい響きじゃないですか」

トランプ次期大統領
「国家安全保障のためにグリーンランドは必要だ。デンマークに法的権利があるとしても、アメリカの国家安全保障のために必要なので、諦めるべきだ」

 グリーンランドはカナダの北側、北極海と大西洋に囲まれ、面積は217万平方キロメートル。北海道26個分です。レアアースなど地下資源が豊富な場所としても知られています。

 大西洋を挟んでロシアにも隣接し、アメリカ宇宙軍の基地が置かれる要衝です。中国は「氷上のシルクロード」と銘打って北極海を経由する航路の経済開発を続けています。

トランプ氏は次のように述べました。

記者
「グリーンランドの獲得に向け軍事的・経済的威圧をしないと確約できますか?」

トランプ次期大統領
「できない。中国船もロシア船も、うじゃうじゃいるが、今後そうはさせない」

 軍事的・経済的な行使を否定しない発言について、EUの主要国ドイツのショルツ首相は次のように述べました。

ショルツ首相
「ヨーロッパ各国と話したが、最近のアメリカの発言は理解に苦しみます。国境の不可侵の原則はすべての国に適用されます」

 アメリカのブリンケン国務長官も火消しに追われました。

ブリンケン国務長官
「グリーンランドに関する考えは明らかに良いものではない。しかし、重要なのは、それは明らかに実現しないということです」

 現職の国務長官が次期大統領に苦言を呈す異例の事態です。専門家は次のように指摘します。

上智大学 前嶋和弘教授
「グリーンランドが中国のものになってしまうっていう危険があって、アメリカにとってみれば中国が戦略的に重要なこの場所を一つひとつ取り侵食している」

■デンマーク王室紋章に異変

 トランプ氏の過激な発言に対し、静かな抵抗をしているのかと話題を集めているのが、デンマーク王室です。先月、王室の紋章を半世紀ぶりに変更しました。

 変わったのは、紋章の真ん中部分。描かれている白い動物は、ホッキョクグマです。グリーンランドを象徴する動物として知られています。以前の紋章と比較すると、明らかに大きくなっています。

 デンマークメディアは今回の紋章変更はグリーンランドがデンマークの一部であることを明確に主張していると報じています。

 トランプ氏から「グリーンランドを諦めるべき」と名指しされたデンマークの首相は次のように述べました。

フレデリクセン首相
「アメリカは我々の最も緊密な同盟国で、防衛と安全保障のあらゆる問題で緊密に協力したい。グリーンランドは売り物ではありません」

 就任直前に過激な発言を繰り返すトランプ次期大統領。狙いはどこにあるのでしょうか。

前嶋教授
「就任直前だからできるわけですね。華々しい花火を今上げておいて、実際さまざまな政策を動かすために関税を使っていく。一つひとつの国に出していく内容は変わるのかもしれません。中国に対しては何々、カナダについては何々、日本に関しては『軍事費を上げろ』『アメリカのものを買え』ということかもしれません」

■トランプ氏「全世界一律関税」

 CNNは複数の関係者の話として、トランプ氏が国として緊急事態を宣言し、友好国非友好国かかわらず、全世界に一律で関税をかけることを検討していると報じました。

 現状を日本へかけられている関税としては自動車に2.5%、和牛に26.4%となっています。

 トランプ氏の異例ともいえる関税政策が導入される可能性はあるのか。前嶋教授によりますと、「大統領の権限で日本を含む友好国に対しても関税を課すことができる。全世界に一律で関税をかける可能性はある」ということです。

(「グッド!モーニング」2025年1月10日放送分より)
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