今年の3月末に、千曲川を見に日帰りで小諸に行ってきた。小諸駅の裏の、かつては崖だったのではないかと思われる急な坂を下って、途中、藤村ゆかりの水明楼に立ち寄り、この歌を口づさみながら千曲川のほとりへと向かって歩いてみた。
現代の千曲川のほとりには、現代風の建物、発電所、ダム、幹線道路に架かる橋、さらに数年前の台風における千曲川の氾濫の後に出来た防水害用の真新しい白い塀など、藤村が見たであろう景色は大きく改変しているようだ。
しかしながら藤村時代の痕跡は、その気になれば、あちこちに見つけることができる。その時代の空気の残像を感じることができる。
3月末の小諸は桜が満開の時期であった。千曲川周辺にも桜をはじめ、様々な花が咲いていた。このような景色を藤村も見ただろうか、などと思いながらのそぞろ歩きは楽しいものであったが、しかしそんな気持ちは、帰路にあの急な坂を登ることで消滅した。この坂、昔は絶対崖だったに違いない。
どうにか急坂を登り切り、なんとか気を取り直して懐古園・小諸城址に立ち寄った。ちょうど「桜祭り」が開催中で、園内は平日なのにたくさんの人で賑わっていた。気持ちのよい春の旅でありました。
この「千曲川のほとりにて」の間奏部分は、間奏だけで独立した曲、な感じにしてみた。劇中劇とか、そんな感じ。なぜとその理由を聞かれても、なんとなくその時はそうした方がいいと思った、としか答えようがない。