学聖・山田耕作が大衆歌手の中で本当の歌手はごくわずかしかいないといって持ち歌の歌曲をいくつく歌わせている。この頃の伊藤はイタリヤのベルカント唱法をベースにおき、音程はバリトン歌手でいながらテノールの音域が楽に出していた。しかし、昭和27年のこの録音をきいいてもわかるが、イヨマンテから童謡、抒情歌、そして栄冠は君になどのスポーツ歌でもなんでもこなすのは根底にある彼の歌心である。これはクラシックしか歌おうとしない並みの声楽家が反省してみるべき点ではなかろうか。