新型コロナウイルスの感染拡大と猛暑が続き、緊急搬送など医療体制への影響が深刻となる中、東京都が医療現場の負担を軽減するために新たな取り組みを始めました。新型コロナの自主検査で陽性となった人が自らウェブ上で症状を登録し、それを基に医師が陽性かどうかを診断するというものです。当面は20代が対象です。
8月3日から運用が始まった東京都の「陽性者登録センター」は、医療機関に受診する患者が集中することを避けるために設置されました。当面は20代を対象にオンラインで診断を行い、順次、対象年齢を拡大していく方針です。
その仕組みは、まず自主検査で陽性だった人はウェブで自らセンターに症状などを登録します。それを受けてセンターでは、医師が登録内容から改めて陽性かどうかを診断し、陽性だった場合、保健所に発生届を提出します。センターの態勢としては医師2人と看護師15人ほど、さらに事務処理の50人程度で、1日におよそ3000人の診断ができるということです。対象は基礎疾患がない20代で、申請する時には軽症か無症状であることが条件です。また、センターでは薬は処方しません。東京都福祉保健局の本間義崇課長は「医療機関を必要な人が受診できる状況をつくることが必要。軽症の若い人はセンターの利用を検討してほしい」と呼びかけています。
東京都は20代を対象とした検査キットの無料配布も始めていて、登録センターの対象は配布されたキットや購入した医療用キットなどで陽性が判明した人となります。
<“20代限定”オンライン診断開始 仕組みは?>
8月3日から始まった東京都の「オンライン診断」について、まずは対象となっている20代の新型コロナを巡る現状を見てみます。
この日東京都内で確認された新たな感染者は20代が6679人で、全世代の中で40代に次ぐ人数となっています。一方、20代の3回目ワクチン接種率は47%で、半分にも満たない数字です(8月1日時点)。そこで「感染者数は多いがワクチン接種率は低い」という現状の20代を対象に始まったのが、オンラインによる陽性の確定診断です。(これは診断をオンラインで行うものであり、「オンライン診療」ではありません。)
東京都の「オンラインによる陽性の確定診断」の仕組みをまとめました。
まず、20代で基礎疾患がなく、無症状あるいは症状が軽い人が陽性かどうか判断したい場合、東京都から検査キットをオンラインで取り寄せるなどの方法で検査することができます。そして自主検査で陽性となった場合、東京都のホームページからアクセスできる「陽性者登録センター」を通じて検査キットの画像や症状などを申請します。すると、陽性者登録センター内で医師による申請の確認が行われ、正式に陽性かどうかの判定結果が申請した人にメールで届きます。それと同時に、陽性と判定されると保健所には登録センターから発生届が提出されるという仕組みです。その後の療養生活については自宅療養サポートセンター(「うちさぽ東京」)が陽性者の体調急変や支援物資の配送など、療養生活をサポートします。陽性者登録センターの対象は現在は20代のみですが、東京都は今後、対象をさらに拡大していく方針です。
検査キットの配送や陽性判定などについてオンラインを活用した取り組みが始まりました。今回の東京都の取り組み、そして政府の対応について共同通信・編集委員の太田昌克さんに話を聞きました。動画でご覧ください。
