軽くなってゆく/ほおずき色の月
詩:高原 桐、曲:廣澤芙々美
歌 (T):坂寄奏太、箏:城戸さくら、チェロ:倉田俊祐
日本歌曲協会主催( http://www.nikakyou.org )
春のステージ2020<邦楽器とともにー北原白秋、斎藤茂吉から現代の詩人までー>より(動画②)
2022.4.28(木)渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
映像制作 公益財団法人日本伝統文化振興財団
【軽くなってゆく/高原 桐】
このごろ妙にからだが軽い
ゑのころ草の揺れている野原にたつと
ほっと、雲までとんでいきそうだ
このごろ何だかあたまが軽い
大地に立ってじっと目を閉じていると
風の声まで聞こえそうな気がする
このごろとても心が軽い
遠い国に続く海辺に立つと
世界中の人々と仲良くなれそうな気がする
軽くなっていくと
心のなかによい音がする
磨かれた鏡の上に
かがやく真珠の玉を落としたような
美しい音がきこえてくる
【解説】
「軽くなっていく」は、コロナやウクライナの心配がない頃の作品。何かを見届けたという意識はなく、すらすらと言葉が現われた。誰にもきっと訪ずれることのあるこのような心境はしっかり自分の宝物にしたい。素直であれば想像の翼が美しい安寧の世界に誘ってくれる。たった一度の体感を言葉に残した。
(詩 高原 桐)
音楽を聴いているような詩。流れるようで、心が豊かになるような作品だ。この詩から音を紡ぎだすことによって、ずっと友達でいたい。
(曲 廣澤 芙々美)
【ほおずき色の月/高原 桐】
ほっこりと
ほおずき色の月が出た
日本海の入り江にある
知らない町の森かげに
満月に近い
月が出た
きのうより
まあるくなった
ほおずき色の月が出た
東京の空の月よりも
大きく見える
方言であいさつしたくなる
「おばんです。」
ほおづき色の月が出た。
【解説】
幼ない時の故郷の月や大都会の街角から見上げた月など、いつも身近にあった。この幼馴染みのように思える月の忘れがたい景を詩にした。夜の深い闇にほおずき色の黄の月には暖かみを感じて、一層親しみを感じる。
(詩 高原 桐)
絵画を眺めているような詩。暖かみがあり、胸に手をあてたくなる作品だ。この詩から音を紡ぎだすことによって、もっとつながりたい。
高原桐さんの私たちを包み込むような言葉を、歌の坂寄奏太さん、箏の城戸さくらさん、チェロの倉田俊祐さんの透明感があるまっすぐな音楽で表現できること、とても幸せに感じております。2つの詩と音楽が結ばれた空間を楽しんで頂けると嬉しいです。
(曲 廣澤 芙々美)
