#中島美嘉 #島崎未来 #傷だらけのラブソング #新宿傷痕戀歌 Ep.08 Clip #高橋克典 #加藤あい 共演 #MikaNakashima #Mika_Nakashima #STARS

「素敵だったわ!」。未来(中島美嘉)はライブで江崎(金子賢)の曲を歌った。「よかったよ」。綾(川島なお美)も江崎も、ステージから降りてきた未来を笑顔で出迎えた。2人はレコーディングの話を切りだした。「歌わないよ」。レコーディングするのは浩輔(高橋克典)の曲。未来の気持ちに迷いはなかった。「悔しかったら、曲作れ!」。ライブ会場から立ち去る浩輔の背中に向かって、未来は叫んだ。
 浩輔がアパートに帰ると、由佳(加藤あい)が手料理を作って待っていた。先日貧血で倒れたのを坂井(石原良純)が心配して、由佳に監視役を頼んだらしい。そこへ工藤から電話がかかってきた。呼び出されたバーには江崎の顔もあった。「江崎君のアレンジを手伝ってもらえないかな」。後輩である江崎のアシスタントをやれというのだ。実は江崎の曲をライブで歌う代わりに、浩輔に仕事を世話すると江崎は未来と約束したのだった。約束を破れば、未来はますますかたくなになるだろうし、浩輔をひきこんでおけば、何か利用できるかも知れないという企みが江崎にはあった。
 浩輔を心配して後を追ってきた由佳にこの件を話すと、由佳は気色ばんだ。屈辱的な申し出を浩輔は引き受けたのだ。「今は音楽の仕事から逃げるわけにはいかないんだ」。浩輔は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
 浩輔は胸のうちを坂井に打ち明けた。「俺の作った曲を未来が歌う。今あの会社から逃げだしたら、俺たちの夢を永久に捨ててしまう気がするんだ」。坂井はそれを聞いて安心した。そして浩輔は坂井に人探しを頼んだ。「俺が前に進むにはどうしてもその人を探しださなければならないんだ」。
 一方、未来は公園で一人ランニングをしていた。「いつかコンサートだってやるんだ。持久力つけておかないと」。いつかそう言った浩輔の言葉を思い出していた。そんな未来の前に、レコーディングのためのレッスン日を知らせに佐和子(畑野浩子)が現れるが、未来はつっぱねた。佐和子が、江崎が浩輔に仕事を紹介したこと、そして浩輔はもう曲作りを諦めたんじゃないかと告げると、未来は走り去った。未来は浩輔のアパートまでやってきたが、やがて背を向けて歩き出した。偶然由佳と会い、未来はためらいながら浩輔の様子を尋ねた。「お兄ちゃんは、曲が作れなくたってそのうち別の道を見つけるよ。私がちゃんと見守るから」と由佳はムッとして答えた。「あいつはきっとあの歌を最後まで作る。私にはわかる」「お兄ちゃんを裏切った奴が偉そうに言わないでよ!」。興奮気味の由佳とは対照的に、未来は穏やかに言った。「妹だったら、信じてやれよ」。
 浩輔はグローバルサウンドの一室で慣れないパソコンと悪戦苦闘しながら、江崎の曲をアレンジしていた。5年間のブランクを実感していた。「今の俺にはお前の才能がうらやましいよ」。浩輔の正直な告白に江崎は思わずつぶやいた。「どうして島崎未来は僕の歌を歌おうとしないんですか。このままじゃ契約を打ちきられる。あなたから、僕の歌を歌うように話してください」。浩輔にとって屈辱的な話だったが、浩輔に頼むことも江崎にとって屈辱だった。
 浩輔は未来を呼び出した。「このままじゃ、俺のせいでお前まで道連れになる」。未来はひるまなかった。「落ちこぼれ同士、一緒に頑張ってきたんだろ。私一人うまくいっても仕方ないんだよ。こんなとこ来る暇あったら曲作れ」。説得するつもりの浩輔が逆に説き伏せられてしまった。
 坂井に頼んでいた人物の消息がつかめた。浩輔はある雑居ビルのバー『ノア』をたずねた。「俺、吉村浩輔です」。店の奥から50代の偏屈そうな男が出てきた。その男こそ、浩輔が5年前に盗作した曲を手がけた川上(マイク真木)だった。「俺の中ではあの出来事はとっくに終わってる。許すも許さないもない」。川上はフッと微笑むと、浩輔の前に酒のボトルを置いた。「曲を作るのも自分を許すのも君自身だ。ま、一杯飲んで帰りな」。
 浩輔の中で何かがふっ切れた。帰宅するとギター片手に一心不乱に曲作りに打ち込んだ。由佳も楽譜の清書を手伝い、ついに曲が完成した。
 浩輔は、由佳と未来を川上の店に呼び出し、ピアノの前に座った。静かにイントロを弾き出し、浩輔は未来のための曲『STARS』を歌い始めた―。